春(復活祭)を彩るパン

日仏商事の研究開発部スタッフが主催する、製パン講習会を東京、神戸の2ヶ所で開催しました。開催テーマは「春(復活祭)を彩るパン」とし、復活祭(英語でイースター、仏語でパックと呼ばれる)の時に世界各地で作られるパンの実演を中心に、復活祭にまつわる話を交えながら講習会を開きました。

次回の日仏製パン講習会は東京・神戸で7月中旬以降に開催を予定しています。 講習内容は「フランスパンのテストベーキング(仮)」です。講習会の詳細は弊社ホームページのINFORMATIONで受講者募集と合わせて6月初旬にご案内させていただきます。皆さんのご応募お待ちしております。

レシピは全部で8品
レシピ画象01
カンパニル・コルス

コルシカ島で復活祭の時に食べる伝統的なクーロンヌ型のブリオッシュ。
食べる人数分の殻付きのゆで卵を生地にのせ、さらに卵に生地を十字にかぶせて
焼成します。

レシピ画象02
フーショベチ・ションカッシュ・カラチ

ハンガリーの伝統的なパンで復活祭の日曜日に食べられます。
このパンの生地には、ハンガリーで料理によく使われるパプリカが練り込まれています。
さらに、絶食の時期の終わりを祝いリッチなものを食べるという伝統どおり、
冬に作った豚肉のハムを巻いて焼き上げられています。

レシピ画象03
ホット・クロス・バンズ

イングランドでは聖なる金曜日に温かいうちに供される
伝統的なプチパンです。十字架のシンボルとなるクロスが描かれているのが特徴です。
サクソン人たちはイースターの女神に敬意を表して、このバンズを供します。
十字架は月のカトルキャールをシンボルにしたといわれています。
ギリシア人やローマ人にとっては、四季を表していると言われています。

レシピ画象04
クーリッチ(クリーチ)

ロシアの復活祭の伝統的なブリオッシュであるクーリッチは
ゴルゴタ山(別名で骸骨山)のシンボルです。
聖なる金曜日もしくは復活祭の土曜日に準備され、日曜日の四旬節の終わりとなる
復活のミサの後に供されます。
このパンは高さのある円柱形で、サフランなどのスパイス、ドライスフルーツ、
ナッツなどが入っており、上部にグラサージュされていてXB(ロシア語でキリスト
復活の意味)と飾られているのが特徴です。

レシピ画象05
ガレット・パコード

数百年前からヴァンデ地方に存在するブリオッシュです。このブリオッシュはかつて、
復活祭の日曜日を祝うために聖なる土曜日に作られたものでした。
もしくは家族間のお祝い事、結婚やコミュニオン(聖体拝領)の際に作られています。
(訳注:復活祭の前の週1週間は「聖なる週」にあたり、復活祭の準備をする期間とされています)。中世、ヴァンデ地方ではこのブリオッシュのことを「ガレット・パコード」もしくは「アリーズ・ヴァンデエンヌ」と呼んでいました。
アリーズとは形容詞であるアリザイという言葉の語根で「発酵不足」を意味しますので、このパンは発酵する前に焼成するのが基本です。

レシピ画象06
ブラッサドー・ド・パック・プロヴァンサル

南フランスのプロヴァンスのパンです。復活祭の前後に食べられるパンです。
茹でてから焼くという工程があり、ベーグルに似ていますが、
アニスの香りが漂う個性的なパンです。ブラッサドゥーとはブレスレットの意味です。

レシピ画象07
バブカ・ド・パック

ポーランドからフランスに伝わったパンです。北フランスでは炭鉱が多くあり、
その働き手としてポーランド人がフランスに来たときに伝わったそうです。
ポーランドではけしの実のペーストを生地に塗ったりしますが、
フランスではシナモンシュガーとチョコレートという組み合わせになります。

レシピ画象08
フワス・デ・ラモー

フランスでは復活祭の前の日曜日に作られます。
長い冬の後の春の訪れを祝う時期に作られるパンで、南仏のラングドック地方の南部と南西部で作られ、白ワインとともに食べるのが古くからの伝統、とカルベル先生の本にあります。
このパンは家庭でつくられる事が多かったが、家庭で作らない人のために
パン屋でも作っているそうです。家庭で焼けなくても、種生地をパン屋からもらい、
それで自宅で捏ね、発酵させて再びパン屋に持って行き焼き上げてもらうという
スタイルもあるようです。大きいものでは1.5kgのフワスをその年にできた
新酒の白ワインの試飲のときに一緒に食べるそうです。

TOPへ戻る
春の訪れを祝う「復活祭」とは?

復活祭はキリスト教の祝日として最も重要な祝日の一つです。十字架にかけられて亡くなったイエス・キリストが3日後に復活したことを記念する日です。また長い冬が終わり、春の訪れを祝うお祭りという意味もあります。
英語ではイースター(EASTER)と言われるので、そちらの名前のほうが良く知られていると思いますが、フランスではパック(PÂQUES※1)と言われます。この語源はパスハ(PESACH)というユダヤ教のこの時期のお祭り(※2)からきていて、それがフランス語になるとパックとなるようです。パックは移動祝日になります。春分の日の後の最初の満月の次の日曜日がパックの日なので毎年、日にちが変わる祝日です。(※3)
パックの日には復活の象徴である卵(卵にも様々なペイントをします)を食べたり、卵が多く使われるパンや菓子を食べたり、卵をかたどったチョコレートなどを食べたりして盛大に祝います。(※4)また肉は子羊を食べることが多いようです。春の訪れ、復活を意味するものには多産な動物もあり、ウサギやにわとり、犬の形のチョコレートなども店頭に並びます。
アルザス地方ではアニョーパスカルという羊の形をした菓子をこの時期に食べます。独特の子羊の陶器を見たことがある方も多います。アルザスではチョコレートもうさぎだけではなく、羊の形もあるようです。(※5) ローヌアルプ地方では牛の形、白い大きな牛の品種が多く、子羊ではなく、牛を食べます。もちろんチョコレートで牛の形にしたのもあります。
大きなチョコレートの中にはキャンディーや小さなチョコレートなどが入れられ、子供たちにプレゼントします。庭のある家では、卵のチョコレートやお菓子を庭に隠し、子供たちがどれだけ探せるか、という遊びをします。(※6)子供たちにはウサギが庭に卵を隠しに来る、と言うそうです。南フランスやイタリアの地域によってはウサギが運んでくるのではなく、教会の鐘が運んでくる、と言われています。(※7)
パックの日には卵を食べるという風習から、パンでも卵を多く使ったパンが出まわります。

※1 英語でイースター(Easter)、ドイツ語でオーステン(Ostern)でゲルマン神話の春の女神(エオストレ、Eostre)に由来していると言われる。つまり春の訪れを祝うという意味があります。

※2 ユダヤ教でいう過越しの祭りです。ユダヤ教はキリスト教よりも古くからあり、キリスト教になる前は多くの人はユダヤ教徒で紀元前からそういった春の訪れを祝うお祭りはあったようです。

※3 また国や教会の宗派によっては日にちが違ったりします。フランスでは、2011年は4月24日、2012年は4月8日、2013年は3月31日です。

※4 イエス・キリストが復活したことと卵からヒナが生まれるのを同じような意味合いで捉えています。また卵から生まれる、生命の誕生、それが春の訪れを表すようです。

※5 子羊の肉を食べるのは、昔はお祈りをするときに生贄を捧げたそうで、そのときには子羊を奉ることが多かったそうです。そしてイエス・キリストは、十字架にはり付けられ亡くなったことから、天に召した、民の犠牲になった、子羊も同様に生贄として犠牲になった、というところからイエス・キリストと子羊の関係があるようです。

※6 クリスマスプレゼントをサンタクロースが運んでくるというような話と似て、イースターバニーといわれるウサギがこの時期に家の庭に卵のチョコや、キャンディーを隠しにきて子供たちがパックの日にそれを探します。子供絵本でピーターラビットのウサギでもそういったシーンがあったりしますし、ディズニーランドのパレードでもイースターパレードといって春の時期にウサギが多くでてくるパレードもあります。

※7 教会の鐘については、イエス・キリストが十字架にかけられてから復活する前日の聖土曜日までの3日間は教会も鐘を鳴らさないことから、親が子供に説明するときに、この3日間は教会の鐘はローマにプレゼントを取りに行って、みんなの庭にプレゼントをばらまきながら帰ってくる、という説明をするそうです。このように国、地域によって、復活祭の「シンボル」は違ってきます。 ドイツでは、白いウサギ、英語圏では、野うさぎ。スイスでは、カッコウです。ウサギは一番繁殖力があると言われているので春の生命を連想させるようです。

TOPへ戻る