2022/04/07

SNSのトレンドがぎっしり!
フランスの人気パティシエに学ぶインスタグラム運用術[前編]

今やすっかりおなじみのインスタグラム。
その役目は単なるSNSにとどまらず、新たなマーケティングのツールとして多くのパティスリーにも愛用されています。

美食大国フランスのパティスリーたちは、どうやら本業だけではなくインスタグラムの運営もお得意の様子。インフルエンサー並のフォロワーを持つ彼らが、一体どのような投稿をしているのか気になりませんか?日本の文化との違いも織り交ぜながら、前編後編と2回に分けてご紹介していきたいと思います。

世界各地のパティスリーでは、数千人規模のフォロワーを持ち、地域顧客への新製品案内など、情報発信の手段としてインスタグラムなどのSNSを活用しています。

日本で多くのフォロワーを持つパティスリーのアカウントを覗いてみると、オーナーである有名シェフ自らがカメラマンとなり、動画撮影やイベントの紹介などしている場合が多く見られます。

そこまで身を粉にして頑張っても、フォロワー数はせいぜい1万を超えれば多い方…。しかしフランスに目を向けてみると、世界中から数十万以上のフォロワーを持つパティシエが存在しているのです。さぁ、さっそく彼らの投稿を覗いてみましょう!

 

パティスリーのインスタグラム、日本とフランスの違い


フォロワー数、数万超えのカウントに見られる特徴は、何といっても「プロによる写真」が投稿の大半であること。シーズンに合わせたお菓子が華やかに投稿されていますが、コンセプトやシーンが一目で伝わって来るイメージビジュアルが中心。

これは大企業のアカウント同様、インスタグラムを自店の情報発信としてではなく、「自身のイメージ戦略の一つ」として捉えていることがうかがえます。

もうひとつ、日本のインスタグラムではあまり見られない特徴として、シェフ自らが登場するイメージポートレートがあげられます。時にユニークに、時にスタイリッシュに。タイムラインに登場する魅力的な彼らは、自店のブランディングにもひと役買っているのです。

▲ジェローム・ドゥ・オリヴェラ氏のインスタグラムより https://www.instagram.com/jeromedeoliveira/

 

「人と人の交流」というインスタグラムの本質に立ち返って考えてみれば、オーディエンスは「シェフ自身をよりよく知りたい」と感じているからこそフォローをしてくれています。

本人自らが登場してお店や作品を紹介してくれるアカウントであるということは、ファンにとってかなり重要なことなのかもしれません。

お国柄の違いとはいえ、自分の魅力をてらうことなく発信しているフランスのシェフたちを見ていると、そのセルフブランディングの巧みさには感心してしまいます。シャイな日本人には難しいかもしれませんが…

お店で販売しているお菓子の作り方を短く編集した動画も人気ですが、あたかも「自分でも作れそう」に見せることがコツ。

最近のお菓子は仕上げこそシンプルになっていますが、実際には非常に複雑な構成を持ち、繊細な味のバランスで成り立っているという点では昔と変わりません。

実際は素人が作ろうと思っても難しいはずなのですが、そこは編集の腕の見せどころです。鮮やかな腕前で次々にお菓子が出来上がっていく様子は、インスタグラムを流し見していても途中で手を止めて引き付けられます。

 

まとめ


日本では「お客様との連絡掲示板」として活用されていることも多い、パティシエのインスタグラム。ただでさえ多忙な中、フランス人たちのコンテンツをそのまま真似るのは無理があるかもしれません。

しかしアカウント全体を「コラージュ作品」としてとらえ、画像や動画のトーンを統一していくだけでも、お店のイメージはぐっと伝わりやすくなります。次回はフランス人パティシエたちの中でも、抜群の人気を誇るアカウントについてご紹介いたします。お楽しみに!

▼出典元
“世界の菓子 「PCG」2021年9月号掲載記事(日仏商事株式会社・PCG編集委員/上村 究 執筆)”
公式サイト: http://pcg.or.jp/pcgm/new.html
紙面情報などは、ぜひ上記URLからご覧ください。

※この記事は 「世界の菓子 PCG」より許諾を得て紙面の一部の内容を転載しております。

ページ先頭へ戻る