フォロワー数225万人!!
フランスの人気パティシエに学ぶ
インスタグラム運用術[後編]
今やすっかりおなじみのインスタグラム。
その役目は単なるSNSにとどまらず、新たなマーケティングのツールとして多くのパティスリーにも愛用されています。
前編では主に、パティスリーのインスタグラムにおける日仏の文化の違いを比較いたしました。
今回はフォロワー数、驚異の200万人超えというフランス人パティスリーをご紹介します!
ミシャラク氏やエルメ氏をしのぐフォロワー数を持つのは…
「225万人*」という圧倒的なフォロワーを誇るのが、「ホテル ムーリス」のシェフを務めるセドリック・グロレ氏。TVや雑誌でよく目にし、お菓子好きのフランス人なら誰でも知っているクリストフ・ミシャラク氏で98.8万人*、日本でもおなじみピエール・エルメ氏で74.2万人*ということから比較しても、グロレ氏のフォロワー数は圧倒的です。
▲セドリック・グロレ氏のインスタグラムより https://www.instagram.com/cedricgrolet/
前出のミシャラク氏やエルメ氏が世界中に多くのファンを持つのは、彼ら自身が世界各国を飛び回ってビジネスを拡大した功績によるもの。これに対し、インスタグラムによって自らのブランディングを確立したグロレ氏は、新しい形の成功を収めているパティシエと言えるのではないでしょうか。
プロの手によると思われる美しいお菓子やパンの画像、リラックスしたファッションに身を包み、優しい笑顔で魔法の様なお菓子作りを披露しているセルフポートレートは、まるで現代の御伽噺のよう。
仕事関係のみならず、パートナーや愛犬まで一緒に登場するタイムラインは、どれも愛や幸福、美しさに満ち溢れていて、彼自身や作品のフィロソフィーを見事に体現しています。
▲セドリック・グロレ氏のインスタグラムより
https://www.instagram.com/cedricgrolet/
中でも注目度が高いのは、インスタグラムのためだけに作られるイベント用の特製ケーキ。
例えば「サントノレ」というお菓子誕生60周年を記念して「60」の形をした巨大サントノレを作ったり、バレンタインの告白のために大きな真っ赤なケーキを作って、エッフェル塔を背景にポーズをとったり…。
普段の投稿に対する反応が数万イイねであるのに対し、これら晴れの日の特別なケーキには10万を超えるイイねが付くことも。
一見ただの「インスタ映え」狙いに見えるかもしれませんが、笑顔の裏では実際のところ、フォロワーを飽きさせないための相当な努力がなされているのです。
まとめ
さて、美しいイメージ写真や本人登場のおしゃれポートレート、こまめなファンサービス…とフランス人たちのSNS運用術を紹介してきましたが、実は彼らの膨大なフォロワー数はフランス人にとってお菓子がいかに生活に根差した大切なものであるかを表してもいるのです。そこには単なるテクニックの問題を超えた、文化の違いが影響しています。
日本ではイベントや記念日 、お客様の時に買うことが多く「女性のもの」という考えも根強かったスイーツですが、フランスでは年齢や性別を問わず、毎日の生活にはかかせない存在。
▲ヤン・クルヴー氏のインスタグラムより https://www.instagram.com/yanncouvreur/
「パリで出会った中年男性のタクシードライバーが、市内の有名パティスリーにとても詳しくてびっくりした!」
フランスのそんな日常は、ヨーロッパ出張をした弊社社員のエピソードからもうかがえます。日常に溶け込むパティスリーや洋菓子…老若男女すべてのフランス人にとって、スマホでお菓子の写真を眺めることは、私たち日本人が感じる以上に至福の時間なのかもしれません。
*2022年2月現在の数値です。
▼出典元
“世界の菓子 「PCG」2021年9月号掲載記事(日仏商事株式会社・PCG編集委員/上村 究 執筆)”
公式サイト: http://pcg.or.jp/pcgm/new.html
紙面情報などは、ぜひ上記URLからご覧ください。
※この記事は 「世界の菓子 PCG」より許諾を得て紙面の一部の内容を転載しております。