2016/02/17

BOULANGERIE TERROIRS D’AVENIR

2000年からフランスで活動されている稲垣信也さんがパリの地でご自身のお店を開店されると聞いたのが昨年の秋でした。その際のお話どおりに2015年12月にお店はオープンされたのですが、なかなかご挨拶に伺えずじまいでした。やっと、2月はじめにご挨拶できる機会をいただきまして、お店を訪問させていただきました。

稲垣さんは2000年に渡仏され、フランスの田舎には見られる形態ですが、農家が兼業で営むパン屋さんなどで修行をはじめられた方です。その後、パリに来られてからグルニエ ア パンなどで長年勤務されました。

念願のご自身のお店ですが、パリのレストラン300店以上に商材を卸している問屋業をメインに営み、パン屋さんと同じ通りで小売業もされているTERROIRS D’AVENIRさんとの共同出資とのことで、今回出店されたブーランジュリーの屋号にもTERROIRS D’AVENIRが冠されています。

私が訪れた日はお店のあるRUE DU NILでレストランやワインバーを展開するFRENCHIEさんとの一緒になって取引のある生産者などを招いたお祭りが開催されており、通常営業ではありませんでした。

(通常営業ではないため、レジなどに布がかかっています。棚もパンで埋まっていません。後日、きちんと通常営業の際にお伺いして写真を取り直すべきですが。稲垣さん、大変申し訳ありません)

お店はビオの小麦粉のみを使用したオーガニックのブーランジュリーです。古代小麦なども積極的に使用されています。これら小麦粉の生産者はかつて修行された農家ブーランジェでの付き合いから仕入れが認められたものもあるそうで、15年も前の人脈が今に生かされているところなど、稲垣さんのお人柄すべてを表しているといっても過言ではありません。

バゲットやヴィエノワズリー以外にもこだわりをもった材料で多くのパンを焼かれています。一部を試食させていただきましたが、どれもとても暖かみ味のある、やさしいおいしさのパンでした。

フランスではパンといえば、毎日の食事に欠かせない主食です。もちろん各人、ひいきのお店があるのですが、どちらかといえば、半ば義務的に家や職場の近所のパン屋さんでバゲットなどを買って食べている、それが毎日の光景です。多くの人はそこに特別な思いはない、というのが現実かと思います。

稲垣さんは作り手として、ただ単にお客様にパンを提供するのではなく、そこで自身の思いを伝えたい、という哲学をお持ちの方です。お店の販売担当の方も稲垣さんの思いをきちんとお客様に伝えることのできる方とのことで、それを実践されています。

個人的にはこういう良いお店が家や職場の近くにあれば、毎日の食事がよりいっそう楽しくなるのに、と感じました。

経営者としてお店の売り上げを管理したり、従業員の管理をしたり、パンを焼くということ以外に多くのことに目を行き届かせなければならず、フランスの地で一筋縄ではいかないことも多いと思いますが、これからますますのご活躍を期待したいお店です。

BOULANGERIE TERROIRS D’AVENIR

 

3, RUE DU NIL 75002 PARIS

http://www.terroirs-avenir.fr/

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