2018/09/24

フランスのBio(ビオ)志向の高さは??【パティシエ通信Vol.08】

フランスのビオ(Bio)市場は右肩上がり!?その理由について迫ってみました

フランスのビオ(Bio)

 

フランスの”Bio”についてレポート!!


皆さまBonjour!!
パティシエ通信レポート担当の岸です。

日本でもまだ暑い日が続いているかと思いますが、今年はフランスも異例の暑さが続いています。
しかもこの時季は夜10時頃まで日が昇っているので、とても寝苦しい日々を過ごしています…

そんな暑い中ですが、
パティシエは体力が資本なので体調管理には気を付けています!

特に異国の地での1人暮らしは病気になると心細いですし、病院には極力お世話になりたくないです
ので食事と運動と睡眠はしっかりするように心掛けています。

その中で今回私が一番気を付けている「食事」についてご紹介します。
私は普段から食事にもこだわりがあり、そのこだわりからフランスで出会ったのがBio(ビオ)。

今回は、
フランスの健康志向の高さを感じる”Bio”についてレポートをしたいと思います。

 

フランスでの”Bio(ビオ)”って??


フランスのビオ(Bio)

本題に入る前に、そもそもBio(ビオ)とは何ぞや!?
という話しですよね。

Bioとは、
Agriculture Biologique(アグリクルチュール ビオロジック)の略です。
日本で馴染みのある類似の言葉でいうと、オーガニックのことです!

何を隠そうヨーロッパはBio先進国が多く、日本とは比べようもない位Bioが浸透しています。
認定された商品には、Bioのマークが必ず付いています。
このマークは、非常に厳しい検査を経てやっと付ける事ができるマークなんですよ!!

Bio認定商品に付いている「AB」マーク

Bio認定商品に付いている「AB」マーク

それだけにBioマークの付いている商品への信頼は厚く、消費者は安心して商品を買うことができるんです。

ちなみに少し古いデータですが、2011年に日本の農林水産省が調べた、世界のBioの普及率を数字で見てみるとこうなります。
・イタリア (8.6%)
・ドイツ (6.1%)
・イギリス (4.0%)
・フランス (3.6%)
・カナダ (1.2%)
・韓国 (1.0%)
・アメリカ (0.6%)
日本はというと…0.4%なんです。

数字にするとフランスの3.6%は「たったの!?」って思いますが、フランスで生活しているとあたり前のように”Bio”の文字を見るくらい浸透しています。

日本に住んでいる時は、日本は何でも進んでいるかのように感じていたのですが自然やエコのことに関しては意外にも遅れていることが分かります。
これは日本を離れて初めて知った衝撃でした。

ヨーロッパのBio普及率は右肩上がりということで、フランス国内にもどんどんが普及していることが分かります。
というのもEU圏やそれぞれの国をあげて有機農業者に補助金を支給したりとBioを後押しする政策が立てられているので、納得の発展ですよね。

Bioの専門店はもちろんのこと、どんなに小さなスーパー でもBioコーナーが設けられています。
価格も一般商品と比べると10~15%割高なだけで日本と比較すると、とてもお手頃に商品を買うことができます。

スーパーのBioコーナー

スーパーのBioコーナー

そもそもBio商品が何故割高になるの??
その理由は、次のような事が考えられます。

・農薬を使わないため人手が必要になる
・小ロットの為物流コストが高くなる
・Bioを証明する検査費がかかる
というのが代表的な理由ではないでしょうか。

訳の分からない付加価値ではなく、切実な理由があり割高になっているにも関わらず10~15%程度で抑えられているところにBioの誠実さを感じられます。

パリで開催されるBio限定のマルシェ

パリで開催されるBio限定のマルシェ

“Bio”が誕生したのはいつ頃??


今となっては、フランスの一般消費者にすっかり定着しているBioですが、フランスで公に紹介され
始めたのが1970年頃からということです。
1970年に公にフランスで紹介されるまでは、長い道のりがあったそうです。

私が調べた情報ではヨーロッパでのBioを語る上で外せない重要な人物と提唱された農法があります。
それは何と19世紀まで遡ります。

①ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)
自然と宇宙との調和を重視したバイオダイナミック農法を提唱。

②アルバート・ハワード(1873-1947)
東洋の伝統的な農業を学んだことにより化学薬品で害虫や雑草を除去せず自然を尊重することで自ずと
それらが消えていく農法として提唱した、オーガニックファーミング

③ハンス・ミュラー(1891-1988)
先程の2つの農法とオーストリアの医師ハンス・ピーター・ラッシュ(1906-1977)について学んだ
ハンス・ミュラーがスイスで有機生物学農業(有機農法)を発展させた。

これによりBioが急速にヨーロッパに広まるかと思いきや、第二次世界大戦が勃発。

戦後は食糧を大量生産することに力を入れ始めました。
そのため自然のサイクルに合わせた丁寧な有機農法に目が向けられなくなり水質・土壌汚染が深刻な問題に
なったということです。

このようなこともあり、農業の在り方を見直す団体が次々と形成されて、ついに!!!
1970年、国の後押しもありBioがフランスで公に紹介され始めました。

Bioが目指すのは「人工的に手を加えずに、自然のままにする」こと。

そして、Bioの良いところは、
・自然・動物・人にも優しい製品作り
・加工の違いや農薬を散布しないことで本来もっている素材の栄養素が破壊されないため、高い栄養素
が維持される
・添加物に頼らず、なるべく手を加えないBioは「模造品」が作られにくい

パリで開催されるBio限定のマルシェ

このようにEU圏内でさらに発展を遂げるであろうBioですが、上を目指せばもちろん課題も出てきます。

例えば…
・人工的にミネラルやビタミンを添加しない為、加工の段階でなるべく失われるものを減らす方法を
開発して品質を高める必要がある
・栄養素の重要性がおろそかにされてきた為、栄養素の表記が少ない

これらを強化することによって栄養面からBioを購入する人が増えるのではといわれています。
私は乳製品と野菜は、ほぼBio認定製品を買っています。
牛乳や卵に関しては、動物たちの飼育環境を支持する意味もあります。

パリで開催されるBio限定のマルシェBio認定商品の乳製品

Bio認定商品の乳製品

野菜は若干小ぶりな気がしますが、ちゃんと野菜本来の味がします。
人参は味が強すぎるくらい!!

マルシェで販売されているBioの野菜

マルシェで販売されているBioの野菜

そして、お菓子にもBioがあります。
ポテトチップスも「芋!!」がしっかり伝わってきて、素材が生きてるって感じがしますね。

最後に


今回のレポートでは難しい話が多くなってしまいましたが、このレポートを見て少しでも皆さんにBioに
関心を持っていただければ嬉しいです。
いつか日本にもBio商品が手頃な価格で何処のお店でも購入できる環境が生まれたらいいのにといつも
思います。

フランスにはBioの専門店が各地にありますので、フランスに来られた際は観光やパティスリー巡りだけ
ではなく「Bioを探す!」というのも是非していただきたいです!

Bio関連商品の豊富さに感動すること間違いなしですよ。
ではまた次回のレポートでお会いしましょう。

Merci à bientôt~

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