2019.04.10

お茶専門店から学ぶ、羊羹のあたらしい魅せかたとは【採用事例】

ある日、N&Fマガジン編集部に面白い情報が入って来ました。
それは、『カヌレ型』の羊羹(ようかん)を販売しているお店があるとのこと。

羊羹というと、どうしてもトヨ型をイメージしてしまうだけに、『カヌレ型』と聞いた時はびっくりしました。

そもそも何故、カヌレ型にしたんだろう?
と考えていても始まらないので、実際に商品を販売しているお店に行ってみました。

 

【インタビュー】お茶の専門店から生まれた『カヌレ型』羊羹とは


早速、本社がある神戸市から車を走らせました。
そのお店は、姫路城で有名な姫路市の的形(まとがた)町という場所にあります。

高速道路を降り、カーナビを頼りにお店に向かっていると、周辺には風情のある古民家が増えて来ました。
道幅もどんどん狭くなり、本当にお店があるのかとやや不安を感じつつも道を進みました。

お店に行くまでの道路。普通乗用車の幅ギリギリで運転もヒヤヒヤ

さらに道を進むと、「井上茶寮(いのうえさりょう)」と書かれた暖簾が見えてきました。
えっ?お茶屋さんで羊羹を販売しているの…とさらに疑問が深まってきました。

暖簾をくぐると、そこには高級料亭を思わせる雰囲気が広がります。
素敵な門構えに心躍らせながらお店に入ると、店主の井上さんが出迎えてくださり、客席へ案内されました。

そこには、先程の和の雰囲気とは変わってモダンな空間が!
門構えから畳の上でお茶をいただくというイメージをしていただけに、いい意味で裏切られました。

簡単な挨拶を終え、「まずはこれを」と井上さんから差し出されたのが、本題でもあるあの『カヌレ型』羊羹でした。
羊羹と言われなかったら洋菓子にしか見えず、この形になったルーツやお店で羊羹を提供し始めた理由など、聞きたい事がどんどん頭に浮かんできてワクワクしていると…

そっと井上さんから「これはカヌレ型のショコラ羊羹です。まずご賞味ください」とご説明いただきました。

一口食べると…コクのあるホワイトチョコレートとほのかに香るキャラメルの風味が口に広がり、コクのある味わい。
羊羹と聞いていたので固い食感かな?というイメージで食べましたが、予想を裏切り非常に滑らかな食感で、和菓子屋さんによくあるしっかりと固さのある羊羹とは違った和でも洋とも言い切れない【新しいお菓子】と感じたのが私の感想です。

この羊羹の美味しさから更に興味が増した私は、店主の井上さんにお店のコンセプトや『カヌレ型』羊羹の開発意図についてお聞きしました。

 

インスピレーションはどこから?『カヌレ型』羊羹の開発秘話とは


筆者:
井上茶寮はお茶専門店と聞いていますが、お茶だけでなく先程いただいた羊羹も販売されていますよね。
お茶以外に羊羹を販売されている理由も含め、お店について詳しく教えてください。

井上さん:
このお店はお茶の専門店としてここ姫路の的形に2017年3月にオープンしました。
お店はあくまでもコンセプトショップとしての拠点と考え、オンライン・催事での商品販売、飲食店への卸売りがメインとなります。
卸売りをする際は、商品の質や井上茶寮のコンセプトを理解していただける店舗さんに卸しています。
井上茶寮はお茶専門店ではありますが、お茶に合うお茶菓子(お茶請け)も自分で提案したかったのがお茶だけでなく羊羹を販売する理由です。
お茶菓子としては洋菓子でも良かったのですが、お茶との相性の良さや、一貫性のある世界観の打ち出しには、やはり和菓子が良いと思い現在に至ります。

筆者:
例えばお菓子の卸先ですが、やはり和をイメージしたお店が多いのですか。

井上さん:
決してそうではないです。
卸先としては、コーヒーショップやカフェ、お茶をメインにしている店舗、セレクトショップでカフェを併設している個人店さんが多いです。

筆者:
井上茶寮さんのお店の周りには、古民家が並び風情のある街並みですが、この場所を選んだ理由を教えてください。

井上さん:
この周辺は昔から塩田産業が昔盛んだったこともあり、塩田庄屋が多かったそうです。
現在のお店がある建物は、持ち主が去った後もずっと空き家のまま活用されずに残っていました。
この風情ある素敵な建物を何かに活用したいと思い「井上茶寮」を始めました。
的形地域に17代にわたり塩田庄屋として受け継がれてきたこの「旧植田邸本家」。
歴史や古い建物が好きな私が、歴史ある書院造のこの建物に惚れ込んだのも理由の一つです。

 

筆者:
こんな素敵な空間と商品を展開される井上さんは、これまでどんなお仕事を経験されたのでしょうか?

井上さん:
私は、フレンチの料理人やパティシエ経験を積み今に至ります。
元々茶道を学んでいたこともあり、お茶には非常に興味があったことからお茶の専門店をオープンしました。
お店の名前も、お茶の深さを再認識していただきたいという思いから「茶寮(さりょう)」という言葉を選びました。

筆者:
定期的に海外にも行かれているそうですが、海外進出なども考えられているのですか。

井上さん:
そうですね、ゆくゆくは海外でお茶の販売・卸売りをしたいです。
先日もフランスで井上茶寮のプロダクトをPRする為、現地の方に集まっていただきお茶のデモンストレーションをしてきました。
海外の方はお茶に対して関心が高く、行くだけでも刺激になります。

筆者:
フレンチでの料理人やパティシエとしての経験もあり、海外にも精通している井上さんの感性があったからこそ『カヌレ型』羊羹が生まれたように思いますが、何故この形にされたのですか。
また形以外にもこだわっている点はありますか。

井上さん:
『カヌレ型』にした理由ですか…
一番の理由はよくあるトヨ型にしたくなかったということです。
私は、パティシエ経験もあったことから色々な型を持っており、フィナンシェ型やカヌレ型ピラミッド型など、試作に試作を重ねました。
最終的に『カヌレ型』に決めたのは、実は思いつきというかインスピレーションで決めました。

また使用する素材にもこだわりがあります。
例えば羊羹の色合い。
写真映えさせるために、ヴィヴィッドな色を出すというのは、私のコンセプトから外れています。
素材を生かした自然な色合いを出す為、合成着色料は使用せず、素材本来の色を活かすようにしています。
例えば、春であれば、サクラを使ってやさしいピンク色にするなど、変化をつけています。

カヌレ型のショコラ羊羹(バレンタイン限定商品)

筆者:
素材にも非常にこだわられているということですが、今年のバレンタインデー時季に、チョコレートを使った『カヌレ型』のショコラ羊羹を販売されたと聞きました。
なぜ羊羹の材料としてチョコレートを使われたのですか。

井上さん:
今までに、お酒やコーヒー、野菜などを使った羊羹を販売・OEM商品として提案してきました。
その他に、フルーツやチョコレートなど様々な素材を使い試作をした中で、チョコレートとの相性が非常に良かったからです。
その理由の一つとして、チョコレート自体に凝固する力がとても強い点です。
通常、羊羹は寒天の力で固めることが多いのですが、私の羊羹はチョコレートの凝固する力も利用して固めている為、寒天の使用量はだいぶ少ないのです。
そのためイメージしている固い羊羹では無く、滑らかなとは違った食感に仕上がっているかと思います。

筆者:
ショコラ羊羹のラインナップの1つに、弊社が取り扱うカカオバリー®の「ゼフィール」をご使用いただいたとの事ですが、数あるチョコレートの中でなぜこの商品を選ばれたのですか。

井上さん:
この羊羹を試作する際に、カカオバリー®のチョコレートをサンプルで何種類も取り寄せました。
その中で、ギフトセットの中に一緒に入れる他の商品とのバランス(味・風味・コク・完成した時の色合い)を見極めた結果、とても滑らかでミルクの風味が豊か、そして甘さ控えめであるゼフィール(ホワイトチョコレート)を採用しようと思いました。
ギフトセットには、パンチのある商品が一緒に入っていますが、それぞれ個性のあるショコラ羊羹となりました。

イラスト一番右のショコラ羊羹にカカオバリー®の「ゼフィール」が採用されました

筆者:
最後に、井上さんの今後の構想について教えてください。

井上さん:
井上茶寮としては、やはりお茶に力を入れたいです。
メインは、卸売り・オンラインでの販売ですので、卸売りの場合は、おもたせやギフトとして使用されるように高価格帯の商品も検討しています。
オンライン販売も同様でギフトのシーンで使っていただけるような商品を増やしていきたいです。
また、井上茶寮の活動だけでなく新たなブランド展開も考えています。
お茶の文化やライフスタイルを提案できる立場として異業種のクリエイターとのコラボレーションで、多様な視点を取り入れながら活動を広げていく予定です。

取材後記


お店のコンセプトもそうですが、井上さんはお茶やお菓子だけでなく芸術作品にもご興味があり、また海外にも精通されている。
常識にとらわれず、広い視野で様々な物事を吸収されている井上さんの感性があったからこそ『カヌレ型』羊羹が生まれたのではないでしょうか。

『カヌレ型』はインスピレーションで決めたと言われていましたが、
・インパクトのある形
・お店のコンセプトに沿った材料選定
・お茶請けとして絶妙なサイズ感(大きすぎず、一口でいただける)
・サイトやSNSでのPRの仕方
その全てが計算されて生まれた商品ではないかと思います。

『カヌレ型』羊羹の材料としてカカオバリー®の「ゼフィール」をお使いいただいた事に深く感謝いたします。


店舗プロフィール


井上茶寮(いのうえさりょう)
郵便番号:671-0111
住所:兵庫県姫路市的形町的形1997
営業時間:11:30~17:00
TEL:079-254-0075
定休日:水曜日
HP:https://www.inouesaryo.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/_inoue_saryo_/

関連URL
カカオバリー®
https://www.nichifutsu.co.jp/products/foods/brand/cacaobarry/

カカオバリー® ピストール ゼフィール
https://www.nichifutsu.co.jp/products/foods/barry_ze/

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