2017/10/12

発酵途中のぶどうジュースの味は・・・

ワイン情報です。

先週、ワイン生産者を訪問してきましたが、ぶどうの収穫直後だから体験できる貴重な体験を今回はお伝えさせていただきます。

今年収穫されたぶどうのジュースは現在、ワインになるため発酵を続けています。ステンレスやグラスファイバーのキューブ、木樽などに入れられて発酵の途中にあるわけですが、どの生産者でもこの発酵途中のぶどうジュースをテイスティングさせてもらいました。

収穫が9月頭に終わっている状態のもの、10月頭に終わっている状態のもの、それぞれ発酵の進み具合が違うわけですが、ぶどうが本来持つ糖分をぶどうの皮などについていた土着の酵母がアルコールに変えていきます。この時期では早いものですとアルコール度数が7~8度くらいまで上がっていて、この後約半年から1年くらいかけてゆっくりとワインに変化していきます。

そして、この発酵途中のぶどうのジュース、実はとてもおいしいのです。現場でしか飲めないワインになりかけているぶどうジュース。皆さんに味わっていただけないのが残念なほどおいしいぶどうのジュースで、この時期に生産者を訪問した者だけの特権です。

発酵途中のにごりぶどうジュース(白)

発酵途中のにごりぶどうジュース(白)

発酵途中のぶどうジュース(赤)

赤もおいしいですよ

これぞ、ぶどうジュースというものもあれば、りんごジュースかと思うほどフレッシュ感のあるものや、ポワール(洋ナシ)をかじっているような熟成感のあるもの、さまざまな味わいのものがあり、ぶどう100%から出来ているのに、非常に神秘的なものを感じます。

そんな自慢話ばかりではなく、日本まで輸入してください、との声が聞こえてきそうですが、それができません。発酵途中のジュースはガスをゆっくり生成しますので、瓶詰めしてコルク栓ができません。日々発生するガスのせいで破裂の危険性があるためです。このため、皆さんにお届けすることができないわけですね。一部、ドイツやオーストリアなどはこの状態でフィルターがけをして酵母を取り除き、発酵するリスクをなくして、販売するところもありますが・・・。一般的にはこれはしません。

ただ、フランスでは多くのワインの生産地で朝市などにこういう発酵途中のぶどうジュースを売っているところもありますから、ぜひこの時期に来られた方は探してみて下さい!

今回は収穫直後に生産者を訪問したものだけが味わうぶどうのジュースのお話をお届けしましたが、最後に生産者情報を。

今年の春先に多くの生産者が霜害にあい、今年のワインの出来は厳しいものが予想されると先に当ブログでも報告していました。

先日、ロワール地方だけですが、今年の収穫量や出来栄えについて確認するべく、いくつかの生産者を訪問してまいりました。

フランソワ・ブランシャール

フランソワ・ブランシャール

まずはBoisson vivante でおなじみのフランソワ・ブランシャール。こちらは多くの生産者が苦しんだ霜害にはあわなかったとして、例年並みの平均的な収穫量となったようです。

収穫したぶどうは順調に発酵中。じっくりと時をかけてワインへと変わります。上の写真は収穫したぶどうの皮や種をジュースと一緒に漬け込む醸し(マセラシオン)の様子。

セバスチャン・フルレ

セバスチャン・フルレ

こちらも人気が高くひっぱりだこのセバスチャン・フルレ。2016年モノは品薄でご迷惑をおかけしていますが、2017年は2016年に比べて3倍の収穫量になった、と一安心。平均的な収穫量を確保できたようです。

 

ピエール・メナールピエール・メナール

20代という若さですでにあちこちの国で品切れ発生中という売れっ子ピエール・メナール。こちらも平均的な収穫量となり、一安心。しかもこれまでなかった赤ワインをリリースする予定とのことで、我々にとってもサプライズでうれしいニュース。白ワインのピエールというイメージでしたが、いったいどういう赤ワインをリリースするのでしょう、乞うご期待。

 

アルノー・クラニエ

アルノー・クラニエ

花のデザインのフェミナンなラベルがおなじみのフェルムデコダリー。アルノー・クラニエは昨年の収穫時期にぎっくり腰にあうというハプニングで収穫を半減させていましたが、今年は無事に例年並みの収穫量を確保。

アルノーの畑

摘み残しのあるアルノーの畑では1Haあまりのシュナンブランがボトリティス・シレネア(貴腐菌)がしっかりつくのを待っている最中でした。天候に大きく左右される貴腐ワインづくりですが、この後は順調に進み、甘くておいしい貴腐ワインになることを祈るのみです。

これら4生産者の収穫量は今年は例年並みとなりました。

来年はこれら生産者のおいしいワインを日本の皆様にお届けできそうです!

ページ先頭へ戻る