2015/08/07

農家ブーランジュリー

パリは7月初旬にうだるような暑さだったのですが、それが過ぎ去ってしまってからはむしろ肌寒く、最高気温が
22、23度前後の寒い夏になっています。それでも8月に入ってからは少し気温が上昇しておりますが。

本日、ご紹介するのは、ブーランジュリーです。

パリ17区、メトロの駅でいうと2番線・3番線の Villiers が最寄駅の小さなお店。

本日のブログタイトルのとおり、農家が運営するブーランジュリーというのが適切な言い方でしょうか。

ただし、お店の看板にはブーランジュリーの文字はありません。向かって左に AGRICULTEUR (農家)、右に
MEUNIER (製粉所) の大きな文字があり、その間に 「我々の農園のパン」 という言葉が書かれています。
どこにもパン屋さんを示す BOULANGERIE もしくは BOULANGER の表記がありません。

このお店、ホームページで面白いパン屋さんはないかと物色中に発見したのです。

そのホームページによりますと、一家は19世紀末からの小麦生産者。近年になって、事業の多角化ということで製粉まで
自社で手がけているとのこと。そのファミリーが行っているパン屋さんということでした。つまりお父さんが小麦を栽培し、
収穫した小麦を小麦粉に加工して、息子(兄)がその小麦粉を使ってパンを作り、もう一人の息子(弟)が販売を取り
仕切っているのです。大きな製粉会社がパン屋さんを経営している例はありますが、絵に描いたような家族経営の、
しかも、農家さんがスタートでこの図式は聞いたことがありません。

「これは只者ではない面白さではないですか。」ということで、早速、お店を訪れたのでした。
ちなみにお店は販売のみで、パンはパリの郊外、ヴェルサイユから西にさらに30kmほど行った GROSROUVRE という街
にある製粉所のそばで焼かれています。ここで焼かれたパンを毎日パリまで運んで販売しているとのこと。パリ市内のこの
お店のほかに、曜日を変えてパリおよび近郊の街にでるマルシェなどでも販売しています。お店の名前は兄弟二人のファーストネームです。

お店の中はいたってシンプル。1枚の展示台と上部に設置されているボックスに、パンが置かれています。(訪問が夕方
でしたので、パンがあまりありませんが朝方はたくさんあるそうです)写真はありませんが、背面にはジュースなどを
入れる冷蔵ケースがあり、そこにはサンドイッチが少し置かれているのみ。いたってシンプル。
お店においてあったほとんどのパンがいわゆるハード系のパンでした。。

購入したのはバゲット様の L’EPI レピ という商品と、 看板商品らしきL’OREILLER ロレイエを4分の1カットにしたもの2点です。

写真上 L'EPI 写真下 L'OREILLER

写真上 L’EPI 写真下 L’OREILLER

レピはバゲットだよ、と教えられて購入したのですが、ただのバゲットではなく、お店のホームページよるとT80の
小麦粉を使用しているとのこと。内相もしっかりと目がつまり、色もややくすんだタイプのもの。少しパサつきを
感じますが、しっかりと味わいのあるおいしいパンでした。

私が気に入ったのは後者 L’OREILLERの方です。こちらはいわゆるノーマルタイプのものではなく、シリアル入りを
購入したのですが、亜麻やごまなどその他たくさんのシリアルが入っていて、クラストはしっかりと焼き上げられている
ため、がっしりと歯ごたえがあり、クラムはしっとりとしてやわらかい食感、ところどころにシリアルが違う味わいと食感を
出してくれます。何もつけなくても何も一緒に食べなくてもとてもおいしいパンでした。お酒のアテになるというと少し
語弊があるでしょうか。実際にビールや白ワインを飲みながら、このパンをかじって大変おいしくいただきました。
もちろん、食事としてのパン、食後にいただくチーズとワインでもおいしくいただけます。

小麦の生産からパンの販売まで自分たちのこだわりを貫き、それをコントロールしているパン屋さん、
ぜひ、一度訪れていただきたいパン屋さんです。

EMILE ET JULES – LE MOULIN DES MOISSONS
18, RUE DE LA TERASSE 75017 PARIS
http://www.fermedemoisan.fr/

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