2021/11/25

フルーツ餡を使用した球体最中『笑美玉』が人気。姫路の和菓子店 甘音屋【採用事例】

笑美玉パッケージ画像

今回お話を伺ったオーナーの森 雅史さんは、百貨店での新業態開発のバイヤーを経て、現在は兵庫県姫路市で和菓子店を3店舗を運営されています。本記事では、そんな森社長のお菓子に対する想いや考え方についてご紹介いたします。

▼目次
・新しい和菓子開発に託す想いとは…
・若い人が手を伸ばしたくなる最中を
・本当は純粋な果物を使った餡子を作りたい
・ピューレを使用した餡子を作る上で大切なタイミング
・目指すのは和と洋の垣根をなくすこと
・編集後記
・取材協力

 

新しい和菓子開発に託す想いとは…

球体最中 笑美玉画像

球体最中『笑美玉(えみだま)』

和菓子の世界では、お客様の高齢化が課題になっています。このまま何もしなければ、いずれ和菓子屋に足を運んでくださるお客様が減ってしまうのではないか。

こうした業界全体の課題に取り組むためにも、若い女性をはじめとした新しいお客様が「食べてみたい」と思えるお菓子を作りたいと思いました。それもできれば、若い人が敢えて選ばないような羊羹や最中のようなお菓子で。そうして生まれたのが、フルーツ餡を使用した丸い最中『笑美玉(えみだま)』なんです。

 

若い人が手を伸ばしたくなる最中を

『笑美玉』の開発にあたり、若い女性が手を伸ばしたくなるお菓子を目指しました。なので、笑美玉の形は丸い一口サイズの球体に。色もやさしいパステルカラーで揃えました。何となく女性って丸く可愛らしいものが好きな印象があったんですよ。

テトラポット型になるよう、一つ一つ手作業で包装

テトラポット型になるよう、一つ一つ手作業で包装しているとのこと

当初『笑美玉』は6種類で販売を始めたのですが、バレンタイン時期に季節限定の笑美玉を販売したところ、多くのメディアに取り上げてもらい飛ぶように売れたんです。多いときは一日7200個の笑美玉が売れました。

それから種類を12種類に増やし、通年商品として販売しています。2015年に販売を始めてから6年経つ今も、バレンタインの季節が一番忙しく、次にホワイトデーが忙しいですね。

 

本当は純粋な果物を使った餡子をつくりたい

球体最中 笑美玉画像
現在、笑美玉には12種類のフレーバーがあります。そのうち、8種類がフルーツ餡で柚子を除いた7種類の餡にㇾヴェルジェボワロン(以下ボワロン)の冷凍フルーツピューレを使用しています。本当は純粋な果物を使って餡子を作りたいですが、それは難しいですからね。

ボワロン冷凍フルーツピューレラインナップ表

ㇾヴェルジェボワロン 冷凍フルーツピューレ一覧表 詳細はこちらから

ボワロンを知ったのは、フルーツ餡を開発するときに、問屋さんが持ってきたカタログに載っていたからです。そこにはボワロンの冷凍フルーツピューレが50種類近く載っていて、こんなに種類があるなら一度使ってみようと思いました。

実際に使ってみると、ボワロンの冷凍フルーツピューレはしっかりと果物の味がして、香りや酸味、甘みが感じられました。余計な粘度も無く、天然のフルーツに一番近いと感じたので、このピューレは最もフレッシュフルーツに近い材料だと感じ、フルーツ餡にはボワロンの冷凍フルーツピューレを使用することにしました。

 

ピューレを使用した餡子を作る上で大切なタイミング

餡子の入った銅鍋にピューレを入れ、木べらで混ぜながら一気に焚き上げます

餡子の入った銅鍋にピューレを入れ、木べらで混ぜながら一気に焚き上げます。

餡はひとつ一つ手作業で詰めていきます

餡はひとつ一つ手作業で詰めていきます。

フルーツ餡を作るときは、餡子にピューレを加えるタイミングに気を遣っています。最初から餡子と一緒にピューレを入れて炊いていくと、色や香り、風味も飛んでしまいフルーツの良さが損なわれてしまいます。

水あめとかなら、熱処理もされてるので最後にぴゅっと入れて終われるけれどピューレは生ものなので、熱処理ができるようできるだけ後半のタイミングで投入しています。

 

目指すのは和と洋の垣根をなくすこと

甘音屋オーナーの森 雅史さん
「和菓子の定義って何だと思いますか?」と聞いても、答えを出せる人は少ないと思います。和の素材を使っていれば和菓子といえるのか。伝統を守ったものしか和菓子といえないのか。

そんな問いを重ねた結果、私のたどり着いた答えは「和の志をもって作った菓子=和菓子」です。私たちが日本で生まれ育っていく中で得る、生活、文化、慣習などあらゆることの蓄積から創り出されたものが和菓子だと思っています。

そして何より和菓子と洋菓子の垣根をなくしたいというのが、和菓子の道を志した当初から私の目標であり、その上でお菓子を作っています。

材料についても外来種のものより国産を良しとする流れがありますが、外来種の物でも優れた素材は沢山あります。私は日本の素材だけにこだわって作るのではなく、良いものであれば積極的に洋のものを使い素材を活かしたお菓子を作りたいと思い取り組んでいます。

編集後記

今回の取材では、和菓子についてお話を伺いましたが、甘音屋さんではこの他に「古民家再生事業」、「お買い物支援事業」、「プロデュース事業」、「海外事業」など新しい取り組みも行われています。

和菓子屋だけでなく新しい事業へ取り組まれる理由をたずねてみると、「お客様は株主だと思って経営しているからだ」とのこと。お客様は甘音屋を支持してくれている株主だと思うことで、会社としてお客様のために何ができるかという視点からできることを考え、取り組まれているそうです。

新しい事業とは、こうしたお客様側からの目線に立つことから生まれるのだな…と再認識する機会となりました。

取材協力

甘音屋  本店
住所:姫路市広畑区蒲田5丁目200(Googleマップで見る
TEL:079-239-1220
営業時間:10:00~17:00
定休日:なし
アクセス:姫新線「播磨新宮行」乗車し、「播磨高岡駅」下車 西今宿バス停「姫路駅北口行」乗車し、高畑バス停下車 徒歩で4分
HP:https://www.kamada-amaneya.com/
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