【講習会レポート】2026年 レミーコアントロー社製品を使った料理・製菓講習会 『製菓パート』
2026年3月2日から4日まで、香川調理製菓専門学校を会場として開催されたレミーコアントロー社の講習会は今回で3回目となる本講習会では、アルコール度数を高め、香りの成分を多く閉じ込めた「コアントロー54°」、「サンレミー ブランデー XO 60°」、「マウントゲイ ラム55°」を活用した新たなレシピを、フランスを代表するトップレベルのシェフに実演とともにご紹介いただきました。
後半の製菓パートを担当される講師は、前回に引き続き、アンジェでパティスリー「ARTISAN PASSIONNÉ」を営むオレリアン・トロティエ氏。今回はどんなレシピを見せていただけるのでしょうか。
オレリアン・トロティエ氏
▼Profile
アンジェ出身。ルレ・デセール会員のミッシェル・ガロワイエ氏のパティスリーであったアンジェの「トリアノン」に1997年から見習いとして入り、9年間シェフパティシエを務める。
製菓、チョコレート、アイスクリームなどの職人資格だけでなく、職人経営者商業技術免状も取得。
2007年、幼馴染であるショコラティエのリュック・ポワソン氏とともに、アンジェ市内にパティスリー「ARTISAN PASSIONNÉ」をオープン。
2012年、隣町にサロン・ド・テのある2号店をオープン。ルレ・デセール会員としても活躍している。
2018年、2023年MOF( Meilleur Ouvrier de France/フランス国家最優秀職人章)ファイナリスト。
コアントローゆかりの地の郷土菓子

プランタジネット
1品目は、オレリアン氏ゆかりの地、そしてコアントローの蒸留所もあるアンジェの郷土菓子「プランタジネット」。コアントローを効かせたアーモンド風味の生地に、同じくコアントロー漬けのアマレナチェリーをのせた焼き菓子です。日持ちすることもあり、観光客にも人気のお菓子とのこと。
ポイントとしては、焼成後に打つシロップは、火から下ろして冷ましてからコアントロー54°を加えること。ガストロノミー向けで香りが強いとはいえ、熱を加えすぎると香りが飛んでしまうので、十分注意します。このシロップを焼き上がった生地にたっぷり打ち、完成です。
コアントローとアーモンドの相性の良さが存分に感じられ、アマレナ オ コアントローのジューシーさが良いアクセントになった大人の味わい。観光客にも地元の方にも人気というのも納得です。
ちなみに、「プランタジネット」という名前にもアンジェの歴史が深く関わっているそうで、「昔のアンジェ地方の王族の名前」がその由来となっていると教えていただきました。お菓子をきっかけに歴史を知るというのも、大変面白い経験ですね。
ヴィーガンスイーツに、鮮やかで奥深い風味を

フレーズ/オレンジサンギーヌ/アマンド
続いて紹介されたのが、プラントベースの「フレーズ/オレンジザンギーヌ/アマンド」。今回、ビスキュイを作る際にネックとなる卵白の代替品として、ポテトプロテインが使用されていました。さらにキサンタンガムを合わせて粘度を加えることで、泡立てたときにメレンゲのような質感になるよう工夫されています。
また、パーツのコンフィ ド フレーズーオレンジザンギーヌにコアントロー 54°を加えてることで、フレーズとオレンジサンギーヌの風味を際立てます。杏仁豆腐のようなムースも相まって、フレッシュでフルーティーな一品となりました。
コアントロー54°とひと工夫を重ねて、柑橘の存在感を高める

アグリュム
フレッシュな柑橘類の果肉を合わせたタルト菓子「アグリュム」は、ベースにもコンフィにもジュレにもたくさんのこだわりが詰まっていました。
まず、土台となるパート シュクレは型の側面のみに配し、フィナンシェ生地を流し込んで焼成。2つの異なる生地を、一度の焼成でベストな状態に焼き上げるためのアイデアで、オレリアン氏がMOFの最終選考の際に考案した手法だそうです。
フィナンシェ生地には、コアントローとオレンジゼストを混ぜ合わせてしっかりオレンジの風味をつけます。その上に重ねるコンフィを作る下準備として、フレッシュの柑橘類は苦みを落とすために端を切り落として2回湯がくなど手間を惜しみません。そして、あえて水分量を多めに仕上げたコンフィの水分を、フィナンシェに吸収させしっとりさせます。さらに最上部のジュレ ダグリュムに使用するフレッシュの柑橘類は、苦味を落とすために端を切り落として2回湯がくなど、手間を惜しみません。
パート シュクレに底がなく食感が軽やかなこと、フィナンシェにオレンジの風味が付けられていることもあり、柑橘の果肉ともバランス良く味わえます。細部へのこだわりとコアントローが素材をつなぎ、一体感を生み出しています。
サンレミー ブランデー XO 60°が香る、柔らかな秋冬向けケーク

コンフィ ド フリュイオテ/モワルー ファソン ケーク
フランス産白と黒のブドウをオーク樽でじっくり熟成させたサンレミー ブランデー XO 60°。バニラや完熟したフルーツ、ハチミツ、アプリコットコンフィのアロマが混ざり合う複雑味と力強さが特徴です。
その複雑なアロマを、セミドライフルーツやクリスマスティーと合わせて軸としたレシピが、「コンフィ ド フリュイ オ テ/モワルー ファゾン ケーク」。
ベースとなるビスキュイ ケーク ショコラは、焼成の際にシリコンのシートを被せて、焼成後も覆ったままにして水分をキープします。サンレミー ブランデー XO 60°はコンフィ ド フリュイ モワルーに使用しますが、ここでも加えるタイミングは素材を煮詰めた後。加熱せず、しっかり香りを残します。
ここで参加者から、熱いコンフィにブランデーを入れても香りは飛ばないのかという質問が上がりました。するとオレリアン氏はその場でコンフィの温度を測り、「温度も80℃以下なので問題ありません。また、サンレミー ブランデー XO 60°はコアントローなどよりも香りが強いため、多少温度が高くてもしっかり香りが残ります」と丁寧に答えておられました。気になったことを直接シェフに聞けるのも、講習会に参加する大きなメリットですね。
ちなみにこちらのレシピは常温で保存でき、コンフィも難しいものではないので、小さなパティスリーでも導入しやすいと思われます。
アプリコットとサンレミー ブランデー XO 60°、ヴェルヴェーヌをキーにしたベジタリアンスイーツ

アマンド/アプリコット ヴェルヴェーヌ
ベジタリアンレシピの「アマンド/アプリコット ヴェルヴェーヌ」のキーは、レモンバーベナとサンレミー ブランデー XO 60°とアプリコットを合わせたコンフィ。甘酸っぱく、ほのかにサンレミー ブランデー XO 60°の複雑味を感じるコンフィが、アーモンド風味のビスキュイとムースのマイルドな味わいと調和します。
ここで印象に残ったのが、自家製ヴェルヴェーヌシュガーの爽やかな甘み。決して強く主張するわけではありませんが、心地よい後味が残りました。
サンレミー ブランデー XO 60°は、アプリコットをはじめフランボワーズやカシスといった酸味のあるフルーツと相性が良く、そもそもの風味がしっかりしているためフルーツの酸味に負けないそうです。そう聞くと、いろいろ試してみたくなりますね。
ブランデーが香る、新しいガナッシュモンテの提案

ショコラ オ レ/プラリネ/フランボワーズ
ナッツや酸味のあるフルーツとの組み合わせとして紹介されたのが、「ショコラ オ レ/プラリネ/フランボワーズ」。ここでは、ガナッシュモンテに代わる「シャンティイ ショコラ オ レ」の提案がありました。
一般的なガナッシュモンテは、乾燥しやすいことと、脂肪分が多いことが難点でした。そこで、ポテトプロテインと水飴、牛乳を使用したレシピを考案。ポテトプロテインを加えることによって骨格はしっかり、食感はムースのように軽やかに。脂肪分を抑えるために生クリームの一部を牛乳に置き換え、チョコレートの使用量も減らします。さらに水あめとゼラチンを加えて保水性を高め、滑らかな食感をキープ。このレシピならば泡立てすぎを気にする必要がなく、冷凍・解凍しても離水しにくいため扱いも容易になります。そしてここでももちろん、サンレミー ブランデー XO 60°が登場。新世代のガナッシュモンテを、豊かな香りで彩ります。
今回のタルトでは、ポイントがもう一つ。それはクレームノワゼットやジェルフランボワーズをゆるめのテクスチャーにしていることです。クラシカルなフランス菓子のようにきっちり層を分けず、ゆるめのテクスチャーも組み合わせて食感にメリハリをつけるのが今のフランスのトレンドだそうです。本場のトレンドを直に聞けるのも、フランス人シェフの講習会の魅力の一つといえますね。
ちなみに、こちらのタルトはフレッシュのフランボワーズを飾る前にナパージュを吹き付けて冷凍することを前提にしています。必要なときに解凍し、フランボワーズを乗せて店頭に出すことができるので、大変便利です。
マウントゲイ ラム 55°が引き出す、マロンの繊細な風味

モワルー オ マロン
栗の焼き菓子はブランデーがメジャーですが、ラムの方が栗の繊細な風味を引き立て、組み合わせとしても面白いとオレリアン氏は語ります。「モワルー オ マロン」は、世界最古のラム蒸留所で作られたガストロノミー用マウントゲイ ラム55°を使用したマロンのケーク。
ケーク生地にはペースト、ピューレ、クリーム、パウダーと形状の異なるマロンを組み合わせ、栗の風味を強めます。マウントゲイ ラム55°はシロップとグラサージュにも加えて、たっぷり浸透させます。
マウントゲイ ラム55°がじっとりするほど染み込んだマロンのケークは、まさに大人の味。ラムならではの魅力を、あらためて感じさせる1品でした。
トロピカルでリッチなプラントベースのプチガトー

ショコラ/マング バニエ
チョコレートとマンゴーのムース「ショコラ/マング バニエ」。こちらでは、マンゴーのコンフィとコンポテにマウントゲイ ラム55°とバニラを加え、トロピカルな風味を強めています。
チョコレートのムースには、乳製品を使用していないカカオマス100%のグランカラクやライスミルクを合わせてあり、テクスチャーは重め。カカオの苦味や酸味をしっかり感じられる濃厚な味わいで、プラントベースであることを忘れてしまいます。そのムースの重厚感と対になるのが、マウントゲイ・ラム55°が香るトロピカルなマンゴーのパーツ。
カカオとマンゴーのタイプの異なる酸味、マウントゲイ ラム 55°の甘くトロピカルな要素が口の中で一つになり、全て南国由来の食材であったことを思い出させてくれます。
フランスの伝統菓子を再構築した「ポロネーズ オ フリュイ コンフィ」

ボロネーズ オ フリュイコンフィ
ポロネーズは、1月のガレット・デ・ロワのシーズンの後に販売されることが多いお菓子だそうです。ブリオッシュ生地でガレット・デ・ロワ(クーロンヌ)を作るのが伝統的な地域があり、たくさん仕込んだブリオッシュ生地をアップサイクルできるようなレシピにしました。
かつては古典的なスイーツでしたが、最近人気が再燃し、いまでは1年を通して売られるようになったそうです。「ポロネーズ オ フリュイ コンフィ」は、そんなポロネーズを新しい解釈で組み上げたケーキ風のレシピ。
パート シュクレにラムを効かせたクレーム ディプロマットバニーユを絞り、さらにラム入りのフルーツコンフィをのせます。そこにラムを加えたシロップをたっぷり染み込ませたブリオッシュをのせ、急速冷凍。固まったところでスイスメレンゲに逆さまにして浸し、表面を炙ります。見た目にもボリュームがあり、ショーケースでも目を引くこと間違いなしです。
ポロネーズを作る合間に、ラ ローズ ノワールの新商品ミルフィーユ タルトシェル「ユニーク」で一品。コの字型に成形したフィユタージュ生地のタルトシェル「ユニーク」にシロップを塗り、粉糖をまぶしてオーブンでキャラメリゼ。そこにクレームココナッツとショコラ/マング バニエで使用したマンゴーのコンフィを絞って完成。共通のパートや既製品を活用したレシピは、商品のバリエーションを増やす有効な手段の一つと言えます。
次世代の料理人に、プロの技に触れてもらう
ポロネーズは、1月のガレット・デ・ロワのシーズンの後に販売されることが多いお菓子だそうです。ブリオッシュ生地でガレット・デ・ロワ(クーロンヌ)を作るのが伝統的な地域があり、たくさん仕込んだブリオッシュ生地をアップサイクルできるようなレシピにしました。
かつては古典的なスイーツでしたが、最近人気が再燃し、いまでは1年を通して売られるようになったそうです。「ポロネーズ オ フリュイ コンフィ」は、そんなポロネーズを新しい解釈で組み上げたケーキ風のレシピ。
パート シュクレにラムを効かせたクレーム ディプロマットバニーユを絞り、さらにラム入りのフルーツコンフィをのせます。そこにラムを加えたシロップをたっぷり染み込ませたブリオッシュをのせ、急速冷凍。固まったところでスイスメレンゲに逆さまにして浸し、表面を炙ります。見た目にもボリュームがあり、ショーケースでも目を引くこと間違いなしです。
ポロネーズを作る合間に、ラ ローズ ノワールの新商品ミルフィーユ タルトシェル「ユニーク」で一品。コの字型に成形したフィユタージュ生地のタルトシェル「ユニーク」にシロップを塗り、粉糖をまぶしてオーブンでキャラメリゼ。そこにクレームココナッツとショコラ/マング バニエで使用したマンゴーのコンフィを絞って完成。共通のパートや既製品を活用したレシピは、商品のバリエーションを増やす有効な手段の一つと言えます。
次世代の料理人に、プロの技に触れてもらう
今回の講習会には、会場を提供された香川調理製菓専門学校の生徒さんも2名参加されておられました。お二人とも、約1週間後にはフランスへ研修留学に行くとのことで、「いろんなことを吸収して、自身の成長に繋げたい」と研修旅行への意気込みを語ってくれました。セミナーに関しては、シェフの手際の良さにも驚いておられ、留学を前に現地での様子をイメージする一助になったのではないでしょうか。
フランスのエスプリをそのままに
最後にオレリアン氏から一言。
「講習会にあたり大切にしていることは、全て品質の高い食材を使用すること。フランスにおいて、食はとても大切な文化の一つ。その本質を伝えるためには、最高の食材で最上のものを作る必要があります」。
その言葉に深く頷く参加者もおられ、オレリアン氏の意図は十分に伝わったことを実感し、フランスのエスプリを感じられる講習会となりました。



