2026/05/04

アレルギー表示は「また改正」ではない。 ― 変わり続けることを前提に考える時代へ ―

アレルギー表示制度

アレルギー表示の改正というと、「義務品目がひとつ増えた」「表示を直せば終わり」
といった、制度の変更点だけに目が向きがちです。
しかし実際には、アレルギー表示はここ数年、一度きりではなく、継続的に見直され続けている分野です。
その背景にあるのが、消費者庁が定期的に実施している即時型食物アレルギーの全国実態調査です。
症例数や重篤度の変化をもとに、「今、本当に消費者に伝えるべき原材料」は、繰り返し見直されています。

■ナッツ類を中心に進む見直し
近年、特に動きが大きいのが木の実類(ナッツ類)です。

・くるみの義務表示化
・カシューナッツの義務表示への移行
※2026年4月1日より「特定原材料(義務表示)」へ移行
・ピスタチオの推奨表示追加
※2026年4月1日より「特定原材料に準ずるもの(推奨表示)」として追加

これらはいずれも、症例数の増加や重篤化リスクを背景に検討・実施されてきました。
重要なのは、「ナッツ類が危険だから」表示が厳しくなったわけではないという点です。

ナッツ類は、
・加工食品への使用範囲が広い
・二次原料や加工原料として使われやすい
・意図せず摂取されやすい
こうした特性があるため、より分かりやすく、確実に伝える必要がある原材料として見直しが進められているのです。

■実務で起きやすい“ズレ”
制度上は、「義務表示」「推奨表示」と明確に区別されています。
しかし、現場では次のような悩みがよく聞かれます。

■情報が分断されやすい現場
規格書と包材、Web表記がそろわないといった声や、「次に変わるなら、今どこまで対応すべきかが分からない」という悩みも少なくありません。
つまり、問題の多くは表示そのものではなく、情報の持ち方・管理の仕方にあると思われます。

■「対応」から「設計」へ
今後もアレルギー表示は、社会状況や医学的知見に応じて、少しずつ見直されていきます。
そのたびに「改正が出たから直す」という対応を繰り返すのではなく、情報を一元的に管理できているか、改正を前提にした運用になっているかといった、仕組みとしてどう設計するかが、より重要になってきています。


アレルギー表示制度

❑アレルギー表示 よくある質問 なに?なぜ?どうして?
※下記は、消費者庁のQ&A・事業者向けハンドブック・業界向け解説記事等で頻出している主だった質問内容を抜粋してみました。

気になる項目がありましたら、一度調べてみてはいかがでしょうか。
「そうなのね」「なるほど」と自身が理解をすることで、これからの情報の取り方も変わるかもしれません。

Q1.アレルギー表示は、なぜ何度も見直されるのですか?
Q2.「義務表示」と「推奨表示」は、何が違うのですか?
Q3.2026年改正で、何が一番大きく変わったのですか?(カシューナッツ義務化/ピスタチオ推奨追加)
Q4.経過措置期間中は、表示がなくても問題ないのですか?
Q5.原材料表に書いていなければ、そのアレルゲンは含まれていないと考えてよいですか? (二次原料・加工原料・コンタミネーション)
Q6.「同じ工場で製造しています」という注意書き(コンタミ表示)は義務ですか?
Q7.外食・量り売り・対面販売にもアレルギー表示義務はありますか?
Q8.表示していれば、アレルギー事故のリスクはなくなりますか?(表示制度の限界・個人差)
Q9.今後も、ナッツ類の表示はさらに変わる可能性がありますか?
Q10.企業として、最低限抑えておくべきポイントは何ですか?


=まとめ=
制度の改正が続く中でも、アレルギーのある・なしに関わらず、多くの企業が食の安全に、真摯に向き会い続けています。
それは負担であると同時に、社会から求められている姿勢でもあります。
アレルギー表示は、その時々の制度の変更点を追うだけでなく、変わり続ける前提で整えていくものと思われます。
いま、どこまで対応するかではなく、「これからどうありたいか」。
その問いを持ち続けることが、これからの現場を支えていくと考えています。

 


❑主な参照元
消費者庁|食物アレルギー表示に関する情報(総合)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/

消費者庁|食品表示基準の一部改正(第40次改正・2026年4月1日施行)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/

食品表示基準に係る通知・Q&A(新旧対照表含む)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/

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