2018/11/26

ワールドチョコレートマスターズ2018 開催レポート【WORLD CHOCOLATE MASTERS】

 


ワールドチョコレートマスターズ初日!メディアや大勢の来場者の注目を集めるコンテスト会場!

2018年10月31日から11月2日にかけて開催されたワールドチョコレートマスターズ2018(以下WCM)の様子について、日本代表の垣本シェフにスポットを当ててご紹介します。※ WCMの大会詳細については、N&Fマガジンバックナンバーのこちらからご確認ください。

▲ コンテストブース横からも垣本シェフの作業を見ることができました。

▲ 観客席上段から眺めた様子

コンテストブースには、10人分の作業スペースとして、オープンキッチンが横一列に並べて設けられ、頭上には大型モニター、入り口側には観客席やラウンジ、OrNoirコンセプトルーム、大会の歴史の掲示など、すべての空間が大会テーマの世界観で作られていました。

▲ 大会関係者だけが入れるラウンジ

▲ 透明の壁から覗ける審査員の試食スペース
(アーティスティック部門審査員長を”洋菓子マウンテン”水野直己シェフ、国別審査員を”パティスリー・ノリエット”永井紀之シェフが務められました)

 


大会初日|課題は「ピエスモンテ」と「トラベルケーキ」

『サロン・デュ・ショコラ』の開場と同時に、WCM会場へ駆けつけると、垣本シェフを含む10カ国の選手たちは競技に取り掛かっており、この日の課題である「ピエスモンテ」と「トラベルケーキ」を同時に作っている最中でした。観客席と選手との距離がとても近く、観客もシェフに声をかけて応援したり、大会を盛り上げていました。分刻みの進行で大会が進められる中、垣本シェフは、緊張感に縛られることなくリラックスして取り組まれている様子でした。競技後、垣本シェフに手応えを伺うと「予定していた90%を出し切ることができた」との言葉に、応援していた我々も一安心しました。

※OrNoir(オールノワール)とは:カカオバリーが175年以上にわたり蓄積した確かな専門知識とシェフの思い描くイメージを融合させることができるチョコレートです。厳選された世界各国のカカオ豆、チョコレート製造の設備、品質検査の機会をご自身で用意することなく、理想の味を創れます

審査を終えた各選手の「ピエスモンテ」は、選手本人の持ち運びにより一般客が見やすい入り口付近に展示されました。各国のユニークなアイディアに観客は虜になり、多くの人が写真を撮っていました。全ての選手の作品審査が終わり、各国の初日時点の審査結果が発表されました。1位はフランス、2位はスイス、3位は日本。翌日に垣本シェフの得意分野である味覚部門を残した状況で上位3位にランクインでき、シェフも少しホッとした様子でした。

 


大会2日目|課題は「OrNoirチョコレート」「スナックトゥゴー」「型抜きボンボンチョコレート」

次に審査されたのは、前大会から競技課題に加えられた「スナックトゥゴー」です。屋台で気軽にテイクアウトできるお菓子をイメージしたこの課題は、お菓子以外に、プレゼンテーション用のビデオの提出も必要でした。これらを通して観客や審査員は、各国の選手がお菓子を食べるシーンをどうイメージしたかも知ることができました。選手によっては非常に凝ったビデオを制作されており、ピエスモンテに次いで目立つ競技となっていました。

垣本シェフのスナックトゥゴー作品は、エコな観点と食べやすさから、パッケージを必要としないコーン型のチョコレート菓子が作られました。海苔からできたコーンに抹茶、トンカ豆、チョコレートクリーム、フルーツを組み合わせた新しいお菓子の提案でした。

そして、この日最後の競技は、「型抜きボンボンチョコレート」でした。垣本シェフは、1つのボンボンチョコレートに対してカカオバリー社のチョコレートを4種類使い、白ワインと、フレーズ(イチゴ)、パッションフルーツのピューレ、レモン果汁などのフレーバーを合わせました。初日と異なり味覚中心の審査でしたので、応援している側からは判断がつかず、審査員の表情からも読み取ることができない状況でした。この日の審査後、翌日の最終競技に進めるのは20カ国のうちTOP10の参加国に絞られるため、結果を聞くまで垣本シェフも落ち着かない様子でしたが、この日の19時頃にTOP10の発表が行われました。会場は歓声が沸き起こり、とても盛り上がりました。垣本シェフも最初の5人に呼ばれ、ガッツポーズで喜びを表現していました。

 


大会3日目|課題は「フレッシュペストリー」と「チョコレートデザイン」

最終日の課題は2つ。1つ目の課題「フレッシュペストリー」では、お菓子のパーツを冷凍することが禁止されています。選手たちは、フレッシュな素材を使って皿盛りデザートを仕上げなくてはなりません。競技が開始されると、選手たちはあらかじめ会場の棚に並べられたフレッシュな野菜やハーブなどから、競技で使用する素材を選びました。垣本シェフは、ローズマリーとディルを選んでいました。

 

垣本シェフは、グレープフルーツやローズマリー、ディルなどの素材を用いて個性的なテイストのフレッシュペストリーに仕上げました。このお菓子は、将来野菜やハーブが今よりもお菓子に使われるようになる未来を意識して考えられたようです。今回の味覚審査員長であり、評価の厳しいCEDRIC GROLET氏も、素材の組み合わせやテイストに満足されたようでした。

続いて、最後の競技「チョコレートデザイン」です。この競技は、事前に用意された白いプラスチック製のデザインキューブとそれを設置する台を用いて小型のピエスモンテを作ります。与えられた条件に対して、選手たちがどう装飾を施していくかが審査のポイントとなるようでした。多くの選手は、デザインキューブ自体に色素入りカカオバターを吹き付け着色していたのに対し、垣本シェフはキューブ自体の白色を活かしながら、初日のピエスモンテと同様のコンセプトで女性やアーティチョークのパーツでピエスを仕上げました。


3日間の競技が終わり、感動のフィナーレ!

全ての競技が16時に終わり、19時から結果発表が行われました。TOP10に入れなかった選手も含め、全ての選手が、各選手のハイライト映像の紹介とともに壇上に呼ばれました。関係者含め、不安と緊張が入り混じる中、垣本シェフは4位で名前を呼ばれました。続いて3位にアメリカ、2位にフランス、そして1位はスイスという結果になりました。優勝を目指していた垣本シェフにとっては、悔しい結果となりましたが本大会で披露したチョコレートが秘める可能性は多くの人に影響を与えたことと思われます。そして、現場で観戦できた私たちもチョコレートが持つ可能性を広く感じることができました。開催されるごとに難易度の増していくWCMですが、次回大会も多くの方に挑戦していただき、チョコレートが持つ未来を広げていきたいと思います。

※12月には、垣本シェフへのインタビュー記事を掲載予定です。

※記事内に掲載している画像の一部を、World Chocolate masters website より引用しています。(https://www.worldchocolatemasters.com/

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