2015/09/17

レ ヴェルジェ ボワロン社のこだわり

前回投稿より少し時間があきました。この間、取り扱いメーカーや展示会などに足を運びましたので、後々、こちらのブログにて紹介させていただこうと思います。

まずは、2週間ほど前にレ ヴェルジェ ボワロンの本社工場およびポワール生産者を訪問しましたので、ボワロン社の製品作りにかけるこだわりを一部ご紹介させていただきます。

ボワロン社の本社および本社工場があるのは、フランスでもフルーツの産地として名高いローヌ渓谷の中心都市、ヴァランス近郊です。この地方にはフランスでも最長となる大河ローヌ川が流れており、その両サイドにはなだらかな丘陵地が広がります。長い日照時間と穏やかな気候が特徴でアプリコットや桃、ポワールをはじめとする多くの良質な果物が生産されています。また、フランスでも有数のぶどうの産地としても知られ、コートデュローヌのほか、フランスでも最高級ワインのひとつとして名の挙がるAOCエルミタージュもこの地方で作られています。

ボワロン社はこの地で1942年に創立され、当初はその豊富なフルーツを取り扱う仲買人業を営んでいました。会社が今のように冷凍フルーツ製品を製造するメーカーに転身したのは1970年のことです。冷凍フルーツピューレの生産をこの年に開始、以後、業界のリーダー的存在として数々の先天的アイデアに基づいた製品を発表しています。2010年にはそれまでパリ近郊にあった本社とヴァランスの市内にあった旧工場を合体させた現在の地に集約しています。

ボワロン社本社工場

ボワロン社本社工場

残念ながら、工場内は一切の写真撮影が禁止されていますので、中の様子をここでお見せすることができませんが、建物内は大きく分けて3つのゾーンに分かれています。
①本社機能:営業部門や仕入部門、マーケティング部門などが存在するいわゆる事務所部分
②倉庫機能:運び込まれたプルーツを保管する倉庫部分と製造した製品を出荷まで保管しておく冷凍ストック
③製造機能:冷凍フルーツ製品を製造する工場の心臓部分
ボワロン社では50種類を超えるフルーツや野菜を使用して製造を行っていますが、フランス各地にとどまらず、世界各地の良質なフルーツを厳格な基準でセレクトし、この工場に運び込んでいます。生産地でも生産者による選定が行われますが、工場に到着したトラックからフルーツたちを無作為に抜き出し、ボワロンの基準に合致しているかチェック、ここで合格点に達していないフルーツたちは受け取りを拒否され、生産者に戻されます。人工的な着色料、保存料、添加物を加えないレ ヴェルジェ ボワロン社の製品の風味や色合いはその元になるフルーツの良し悪しに大きく左右されます。よいものだけを原料に使うため、これらフルーツの選定は欠かすことのできない必要な手順です。
トラックから倉庫に運び込まれることを許されたフルーツたちは、ロットごとに管理され、今度は製造機能の根幹部分となる品質管理ラボで詳しく味覚検査され、レシピを作成し、製造にまわされます。
フルーツは自然の産物です。毎回同じ味で収穫されることは不可能です。ここで生きてくるのがボワロン最大の特徴、アッサンブラージュ(ブレンド)の技術です。レ ヴェルジェ ボワロン社のエキスパートがロットごとの味の違いを細かく分析し、製品間の違いをなくすため、各ロットを絶妙にアッサンブラージュして、毎回、同じ味わいに仕上げているのです。
ワインは同じメーカーの同じ製品でも年が違えば風味が変わります。その年の気象条件が大きく左右されるぶどうから作られるものですし、またその違いを楽しむものでもあります。しかし、フルーツピューレが生産ロットごとに味が変化するとどうでしょうか。それを使う側からすると原材料の風味や色が一定でなければ、ロットごとにレシピを変えなければならないという膨大な作業量が発生します。これでは使いにくくて仕方がありません。ボワロン社では常に使い手側の立場に立ち、より使いやすい製品作りを目指しています。ピューレの味や色を均一化させるため、ロットごとにアッサンブラージュを行っているのです。繰り返しになりますが、人工着色料や添加物は使用せずに、味の均一化を図るにはこのボワロン社の誇るノウハウ「アッサンブラージュの技術」がキーとなっているのです。
このほか、製造に関する数々のこだわりとノウハウを持って、レ ヴェルジェ ボワロン社の各種製品が製造されています。
また、当日は工場から40分ほど車を走らせたモラス・アン・ヴァロワールという村に案内されました。この村の生産者からレ ヴェルジェ ボワロン社で製造するポワールピューレの原料となるポワールを購入しているといいます。実際にその果樹園を案内してもらいました。
 生産者(写真:左)と話すドゥニ・ブルシエ氏(ボワロン社輸出部門長、写真:右)

生産者(写真:左)と話すドゥニ・ブルシエ氏(レ ヴェルジェ ボワロン社輸出部門長、写真:右)

こちらの生産者からはカシスも一部仕入れています(カシスは収穫が終わっていました)

こちらの生産者からはカシスも一部仕入れています(カシスは収穫が終わっていました)

こちらの果樹園ではポワールは訪問前の8月末で収穫が終了していました。畑には収穫されずに残ったポワールがちらほら見えます。
レ ヴェルジェ ボワロン社が使用するのはポワール ウィリアムといわれる品種です。この果樹園では1929年から栽培を行っています。こちらだけでレ ヴェルジェ ボワロン社は50トンのポワールを購入し、隣接する生産者からも50トン購入していますので、この村からはあわせて100トンのポワール ウィリアムを購入していることになります。どちらの畑もリュット レゾネと呼ばれる減農薬生産方法を採用しており、できる限り農薬を使わずに果物を健康的に育てています。
こちらは収穫されて冷蔵庫にて追熟される途中のポワールです。追熟の期間は3週間、この時点で約1週間が経過していたそうですが、あと2週間後にはより黄色ぽい色合いになるそうです。
さて、ここで、問題です。上の写真の右・左、どちらのかごに入っているポワールがボワロン社に出荷されるでしょうか。ヒントですが、右も左も味覚的にはほぼ同じとのこと。その違いは・・・
正解は右のかごに入ったポワール。こちらがボワロン社に納品されます。レ ヴェルジェ ボワロン社ではポワールをきれいに洗浄し、ヘタをとった後、中の種を取り出し、皮ごと加工にまわします。着色料なしで自然のきれいな黄色の風合いを保つために、皮に傷やシミがあったり、変色したものは極力使用しません。このように原料となるフルーツの選定にとても厳しい基準があるのです。
今回は訪問時期との兼ね合いからポワールの生産者訪問を一例にとって、実際のボワロン社のこだわりを垣間見ることができました。ユーザーの皆様に安心してご使用いただけるようレ ヴェルジェ ボワロン社では製品作りに励んでいます。
日仏商事公式アプリでは取り扱い製品を使用したレシピ掲載中です。
日ごろの商品開発のヒントに使用していただけます。
アプリのダウンロードは以下から
※ダウンロードの際はスマートフォンから以下のリンク先へアクセスしてください。
今日はレ ヴェルジェ ボワロン社のこだわりの一部を紹介させていただきました。パリログではレ ヴェルジェ ボワロン社だけに限らず、取り扱いメーカーのこだわりを随時紹介させていただく予定です。
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