フランス通信vol.01 フランス人は太陽とおしゃべりが大好き!
夏の風物詩「アペロ」
こんにちは!
このシリーズでは、フランスのベーカリー、パティスリーはもちろん、食文化のことなど、広くフランスの情報をお届けしたいと思います。
第一回は、フランスの初夏から夏にかけての風物詩でもある「アペロ」についてご紹介いたします。
みなさんは「アペロ」という言葉を聞いたことはありますか?
アペロとは、フランス語の「アペリティフ(aperitif)=食前酒」を略したもので、夕食の前に軽く一杯のみながら、おしゃべりをすることを指します。
フランス人は太陽とおしゃべりが大好き。紫外線もなんのその、よく晴れた気持ちのよい日のカフェは、まず屋外のテラス席から埋まっていきます。日本とちがって湿気が少なくカラッとした気候のフランスでは、初夏から夏にかけて、太陽のきらめく爽やかな季節が到来すると、夕暮れ時のカフェのテラス席はアペロを楽しむ人たちでいっぱいになります。
飲み物の定番はさっぱりした白ワインやロゼワイン、そしてビール。カクテルならモヒート、ビールとレモンソーダを半々で割った「パナシェ(panaché)」も人気です。
ノンアルコール派には、ペリエにレモンの輪切りを添えたものやコーラ、フルーツジュースやノンアルコールカクテルなどなど。
近年人気が急上昇しているのは、「スプリッツ」という飲み物。ハーブとオレンジ風味のリキュールを発泡白ワイン、炭酸水やソーダで割ったカクテルです。氷とオレンジの輪切りが夏らしい美しさを添えます。
飲み物を注文すると、無料サービスでオリーブやピーナツなどが小皿で出されるところが多いですが、小腹がすいた人や腰をすえて長くおしゃべりをしたい人には、シェアしやすいおつまみメニューが用意されています。
定番のメニューは、チーズやシャルキュトリー(ハムやソーセージ)の盛り合わせ、パテなどが根強い人気。盛り合わせは、木製のプレートに並べて提供されるのが主流です。
チーズはカマンベール、ブルーチーズ、シェーヴル(ヤギのチーズ)、コンテなど、とにかく種類が豊富。シャルキュトリーは、生ハム、サラミ、チョリソー、コッパなど、こちらもバラエティ豊かで飽きさせません。
箸休め(お箸は使いませんが)にさっぱりしたコルニション(ミニキュウリの酢漬け)が添えられていて、塩分、脂肪分の多いチーズやパテといったメニューにとてもよく合います。
(筆者は、やはりキリっと冷えたコート・ドゥ・プロヴァンスのロゼを飲みながら、シャルキュトリーやチーズをつまむのが幸せです。)
また、これらのおつまみには必ずパンが添えられてきます。パンの種類はバゲットやカンパーニュなど、お店によってさまざま。しかもこのパン、おかわりが自由なんです。これだけで結構しっかりした軽食にもなるので、パンをお代わりしながらおつまみをパクパク食べていると「晩ごはん要らないね」となることもしばしば。
フランスに行き、アペロをしようとカフェ を訪れる方にぜひチェックしていただきたいのが、「Happy Hour(ハッピーアワー)」の文字。
英語がそのまま日常語になっているのですが、これはドリンクメニューがお得になる(半額が多い)目印。17時~20時くらいにハッピーアワーを提供しているところが多く、晴れた日のお店のテラスは、隙間もないほどの大盛況。
アペロを楽しむ人たちでいっぱいになったテラスを見ると「夏がやってきたな」と感じます。
夏のバカンスというと、家族や友人たちと外国や田舎でゆっくり過ごすスタイルが一般的です。そのバカンス中も、毎日夕暮れどきになると、まずは、「アペロ」タイム。サマータイムのフランスは、夜7時を過ぎてもまだまだ昼過ぎのような明るさなので、時間を忘れておしゃべりも弾みます。
おしゃべり好き、議論好きなフランス人にとっては、気軽に皆で集まりおしゃべりを楽しむことのできるアペロの時間はかけがえのないものなのです。