2019/10/25

パン屋さんに聞いてみました!高品質なパンを作るために行ったある決断とは【採用事例】

クロワッサン生地

毎日の行動・普段使い慣れた物ってなかなか変える行動に出ない気がします。
というか変える必要が無いと思っているので、そもそもそんな行動に出ないのが正直な所。

例えば、筆者の毎朝の行動
「始業時間30分前に会社に出社」→「パソコン起動」→「メールチェック」→「コーヒーを淹れる」→「ネットで情報取集」→「業務開始」
という朝の一連の流れがあります。
これを変えると、何かリズムが狂ってしまう感じがします。

あくまでも筆者自身の毎朝の行動ですが、実際にベーカリーやパティスリーの現場でも同様の事が言えるのではないでしょうか。
毎日の製造の流れ、材料を変えるのは簡単なことではありません。
そんな中、神戸にあるベーカリーで使い慣れたパン酵母から違うパン酵母に最近切り替えたとの情報を受け取りましたので、その理由や作業面での変化があったかなど、シェフにお聞きして来ました。

ブーランジュリー グルマン オーナーシェフ
池田 匡 氏

ブーランジュリー グルマン オーナーシェフ
池田 匡 氏

▼お店紹介
兵庫県神戸市の中心街から車で約30分程の場所にお店があります。
JR摂津本山駅からも近い、閑静な住宅エリア。
2017年4月にオープンされ、子供連れの主婦からご年配の方まで、幅広い年齢層の方に愛されるベーカリーです。
ハード系を中心にラインナップは約70種類。
季節限定商品も定期的にラインナップされおり、新商品が多いのも嬉しい。
製造は全てオーナーの池田さんが行っており、近々コンテストにもチャレンジされるそうです。

 

品質の高いパンを製造する為にパン酵母を切り替えてみた


―本題に入る前に、こちらのお店についてご紹介をお願いします。
毎日の食事に合ったプレーンなハード系のパンを、お客様の好みに合わせて選べるようにラインナップを充実させています。
それとは別に、季節感を楽しめるワクワクするような創作パンも取り揃えており、だいたい2ヵ月おきに季節限定商品はラインナップを変えています。
例えば、
バレンタインの時はチョコ、春は抹茶を入れたり、その季節をイメージできる素材を使っています。
商品の改廃は常に行っており、お客様が飽きないようにしています。

ブーランジュリー グルマン 季節限定商品(秋の素材を使用)

季節限定商品(秋の素材を使用)

ブーランジュリー グルマン 季節限定商品(秋の素材を使用)

「NEW」と書かれた新商品も多く陳列されていた

―最近、パン酵母をルサッフルの「セミドライイースト ゴールド」に切り替えたとのことですが何故ですか

ブーランジュリー グルマン オーナーシェフ
池田 匡 氏

より品質の高いパンを製造したかったからです。
特にクロワッサンの品質を高くしたくて、試行錯誤していました。
様々なパン酵母でテストしましたが、クロワッサンの生地を冷凍で置いた際に、ボリューム不足やしっかりと焼き色がつかないなど悩む日々が続きました。
そんな中、トラン・ブルーの成瀬さんがセミドライイーストゴールドに切り替えたというのを、日仏さんのブログで見て非常に興味を持ちました。
あんなに人気のあるお店がパン酵母を変えるんだと思い、びっくりしました。
そのブログ記事ではちょうどクロワッサンの写真が掲載されており、品質を高めるにはこのパン酵母が良さそうだと思い切り替えの決断をしました。

―パン酵母を切り替えるのに抵抗はなかったですか
抵抗はありました。
パン酵母を切り替えするまで、そもそもパン酵母を変えるという意識がなく、前職の職場で得た知識のまま製造をしていました。
パン酵母の構造を100%理解できていなかったのも切り替えに至らなかった理由の一つです。
でも実際に切り替えた事で、色々な発見もあり勉強になりました。

現在、サフ セミドライイースト ゴールドを、クロワッサン、ブリオッシュ、バターロール、菓子パン、総菜パンなどに使用しています。全ラインナップの半分くらいには使用しているイメージです。

ブーランジュリー グルマン クロワッサン(セミドライイースト ゴールド使用)

パン酵母の切り替えのきっかけになったクロワッサン(セミドライイースト ゴールド使用)

ブーランジュリー グルマン クリームパン、シナモンロール(セミドライイースト ゴールド使用)

クリームパン、シナモンロール(セミドライイースト ゴールド使用)

ブーランジュリー グルマン カレーパン(セミドライイースト ゴールド使用)

カレーパン(セミドライイースト ゴールド使用)

―セミドライイースト ゴールドを使って感じたことは
イメージ通りのパン(クロワッサン)が作れるようになりました。
成型冷凍したクロワッサンを2、3日置いた後の生地の状態が非常に良く、生地の中心までしっかり発酵されており、焼成後の内相は非常にきれいになりました。
発酵オーバーもなく、焼き色もイメージ通りの状態になりました。

―セミドライイースト ゴールドを使って感じたデメリットは
デメリットではないですが、しっかりと生イーストとの違いを理解して使用する必要はあります。
発酵する際の調整や作業工程の見直し、保管方法を理解した上で使う方がいいと思います。
いい意味で作業が丁寧になりました(笑)
雑な作業をすると顕著に生地の状態に反映されることが、テストしている際に分かりました。
でもこの作業があるからこそ、品質の高い商品ができる事も分かりました。
品質が高い商品を販売しているお店では、この作業をしっかりしているからこそ品質が維持されていることが分かりました。パン酵母を変えた事で気付けた事だと思います。

クロワッサンの成形

写真では伝わりにくいが、成形にもこだわりが。これも仕上がりに影響すると語る、池田さん。全ての作業を丁寧にすると結果が出る。

 

常に新しい事にチャレンジし続ける池田さん。今後の展開は??


―今後の構想について教えてください
●新たな商品のラインナップ
サンドイッチの製造販売にも挑戦したいと思っています。
お客様の要望もありニーズも高い事が分かっているので、前向きに考えたいのですが、私一人の製造では厳しい部分もありますので、スタッフを増やす検討もしています。
今後規模拡大や、売り上げをアップするにはこのようなチャレンジも必要だと考えています。

●ファンの育成
店が休みのタイミングに、定期的にパン教室を行っているのですが、今後も継続して行いたいです。
パンが好きなお客様が多く来店されるのですが、食べ方やリベイクの仕方で美味しいパンも台無しになってしまう事があります。
今まで蓄積した知識をお客様と共有することで、お客様のレベルも高くなり美味しいパンの本質が分かってくると思います。
グルマンに来たら、色んな事を教えてくれると思っていただき、リピートにつなげられれば良いですね。

●自身のスキルアップ
スキルアップの為に、コンテストにもチャレンジして行きたいです。
実は、来年開催されるモンディアル・デュ・パンにもチャレンジする予定です。

 

取材後記


冒頭に私が記載した通り、日々の生活で新しい事を取り入れのはなかなか難しいですよね。
それが製造現場となると、よりハードルは高くなると思います。
トラン・ブルーの成瀬さんを取材した際も同様の事を言われており、新しい事を取り入れる時はやはり従業員からの反発はあったそうです。
しかし、それを上回るメリットがあるからこそ今があると成瀬さんは言われていました。
今回の、池田さんも日々新しい事にチャレンジしていた結果、品質を上げる為に何ができるか、と考えた時に、パン酵母の切り替えが必要だと判断されたからこそ切り替えられたんだと思います。
当たり前だからではなく、固定概念を捨てて行動に出ることで、新しい物が見えてくるんですね。
今回の取材で、私自身の普段の生活を見直すいいきっかけにもなりました。

 

取材協力


ブーランジュリー グルマン

ブーランジュリー グルマン
住所:神戸市東灘区本山中町3-6-23 TMハイツ本山
TEL:078-262-1025
営業時間:8:30~18:00 (日曜日・祝日8:30~14:00)
定休日:月曜日、火曜日
Facebook:https://www.facebook.com/Boulangeriegourmand/
Instagram:https://www.instagram.com/boulangerie_gourmand/

関連URL

▼関連URL
・トラン・ブルー成瀬氏取材記事
https://www.nichifutsu.co.jp/magazine/12073/

・サフ セミドライイーストゴールド紹介ページ
https://www.nichifutsu.co.jp/products/foods/saf_sdg/

・ルサッフル公式サイト
https://lesaffre.jp/ 

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