2021.01.14

フランスのコロナ事情【パティシエ通信Vol.17】

Bonjour
パティシエ通信の岸です。
今回は丸1年程、世界的に猛威をふるい続けている新型コロナウイルス(COVID-19)について取り上げたいと思います。
題して「フランスのコヴィ事情」です。

 

可愛い名前とは裏腹に猛威をふるうコヴィ(新型コロナウイルス)


フランスではコロナのことをCOVID-19(コヴィドゥ19)と言って、みんな略してコヴィと呼んでいます。
なんか可愛い男の子の名前みたいですけど、可愛いさの欠片もない憎き問題児であります!

フランスは日本と比べ3桁程感染者数が多く、一時期は1日の感染者が8万人(1日ですよ…)という、目も当てられない日もありました。
日本の人口の半分しかないフランスの割合で考えると、もう感染してない事の方が不思議に思えてしまう程の惨劇でした…。
死者数は、日によりますが、ピーク時は1日1400人にのぼりました。
悲しいことに、フランス国内では6万人の方が亡くなられました。

私の働く店からも、
店の横のお肉屋さんからも、
取引先の営業マンも、
友達の上司も、
自分の身近で、たくさんの方が感染されていきました。
私の知り合いの知り合いの方で1人亡くなられた方もいます。
感染してしまった周囲の方たちのほとんどは、元気になってますので一安心ですが。
とっ…すみません、出だしから衝撃的過ぎましたね。

こんな状況という事もあり、普段の会話でもこんな会話が繰り広げられます。

ある日の仲間内の会話、
「オレ第1波で感染してたんだ。」
「え!?マジ?あれ辛いよねぇ~味覚無くなるしさぁ~私もこの間まで隔離だったんだ~」
「今アメリーは陽性反応出て2週間は来ないよ」
「え、またぁ~?」

みたいな会話が…。もうこれが当たり前の会話です。もはや当たり前すぎて驚きもなく、麻痺しています。

 

日本とは一味違うフランスのコロナ感染拡大の流れを解説


さて、ここからはフランスでのコロナ感染拡大の流れを時系列でお話ししたいと思います。

~第1波~
フランスのコロナ襲来は日本より少し遅れてやって来ました。
ヨーロッパは、全世界の感染状況からしても比較的後発隊でした。
3月中旬から事態を重くみた政府は、マクロン大統領の演説により外出制限、いわゆるロックダウンを実施しました。

第1波のロックダウン時は、国民は軽くパニックで、
日本でも起きたのかな?トイレットペーパーがスーパーから消える事件が起こりました。
その他にもパスタや缶詰めの買い占めで陳列棚がガラガラでした。

急に決められた1メートル間隔のソーシャルディスタンスやスーパーの店員がカードや現金の手渡しを断ったりと、みんな慣れないことに戸惑いながらのスタートでした。

▲アクリルプレートが設置された売り場

▲ソーシャルディスタンスを促すフロアサイン

▲消毒ジェルの設置

商業施設だけでなく、ブーランジュリーやパティスリーでもコロナ対策がされています。
対面販売が当たり前のフランスなので、商品ごとに袋詰め等はされていません。

▲マスク着用の張り紙、アクリルプレートの対策は普段通う個人店のブーランジュリーでも当たり前の光景に

それから、メトロや電車の1日あたりの本数が減り始め、始発終電の時刻が遅くなったり早くなったり…
この頃、まだパリに住んでいた私は通勤にものすごく困りました。

▲駅のホームには誰もいない

▲乗客もほとんどいなくて貸し切り状態

▲電車の窓には注意喚起のシールが貼られています

そんな事もあり、電車の代わりにバスで通勤していた時の話ですが、
通勤中いきなりバスが中途半端な所で止まり…

運転手:「今日はここまでだから降りて」
乗客 :「えぇー!!聞いてないよぉ~(怒)」

とブツブツ言いつつも降ろされ、まだ朝の4時に突然降ろされた場所から店まで、約1時間の道のりを歩くこともありました。
帰宅時は、漏れなく警察の検問に遭い、数枚にもなる外出証明書と身分証明書を提示して通過し、突然人がいなくなった異様なパリ市内(次の画像)を、不思議な感覚になりながら徒歩で帰りました。

第1波と呼ばれるコロナ時期は5月11日まで続きまして、この頃のフランス国民の外出は1キロ1時間で、認められる外出理由は、
・テレワークが無理な場合の通勤
・ペットの散歩
・生活必需品の買い物
・若干のエクササイズ
…etc
という極めて限定されたもので、アテスタシオンと言う申告書と身分証明書を携帯していないと罰金135€(1万6000円)という徹底ぶり。

そして間もなく国境が封鎖されました。

何かまるで戦争映画のようでした。

でもまさに、マクロン大統領は「我々は戦争の中にある」と演説したそうで上手いこと言うなぁ、と感心しました。
この言葉の効果もあり国民は一致団結と言いたいところですが、みんなあの手この手を使って外に出たがるのがフランス人(笑)
時にはウサギや猫を散歩させてたり(絶対普段やらんやつ!)
私服でランニング(絶対普段走ってへんやつ!)
みんな太陽大好きなんですよ…困った困った。

この時期の我々国民のささやかな楽しみは1日の最後に催される「窓際のアペロ」でした。
アペロといってもお酒は飲んでても飲んでなくても良いんです。
夜8時になると、どこからともなく音楽を流し拍手したり歌ったり踊ったり楽器を演奏したりと、地域によって違いますが10分~1時間程ドンチャン騒ぎしたらピタッと止めてまた静かな日常の夜に戻る…と言うイベントがロックダウン中毎晩行われていました。
これはイタリアで医療従事者を激励するために始められたもので、彼らの勤務交代が夜の8時という事にちなんで毎晩この時間になるとみんな激励の気持ちを込めて騒いでたんですね~。


~ロックダウン緩和へ~
1日の感染者数が3桁に減ったのを見て政府は5月中旬から徐々にロックダウンを解除していき、6月22日にはほぼ通常の暮らしに戻りました。

▲電車の車内も混雑。でも違うのは皆がマスクをしている

その後、国境封鎖も解除されバカンス前の時期に国外の移動も自由になりました。
これが後の第2波の呼び水になろうとは露知らず…。

これは余談ですが、
一時期は1日7500人の感染者を出した第1波ですが、信じがたいことにこの頃はまだマスクは推奨する程度で義務ではありませんでした…。
公共の屋内空間でのマスク着用が罰金付きで義務化したのは7月21日です。
ん~遅い!
もうバカンスは始まってますからね。

以前レポートした「フランスのバカンス事情」をご覧の方は簡単に想像いただけると思いますが、バカンス時期、フランス人はどこへ行くのかぁ~?

そう!そうです。
フランス人はバカンスは「南下」するんですよ~(汗)めちゃくちゃ南仏大好きなんです。
みんな行っちゃうんです。
パンデミックの復活です。
クラスターの誕生ですよ!

テレビで、南仏でバカンス中の弾けた人達が取り上げられていましたが、人がすし詰め状態で踊り騒いでおり、誰1人としてマスクをしていなかった…。
キャスターもコメンテーターも「N’importe quoi !?」(なんでやねん!?)
と呆れていました。
私も「もぉ、知らんで…」と思いましたょ。
そしてそんな夏を満喫した彼らが各々の地方へ帰っていき、会社や学校へ戻っていき、フランス全土へと感染は広がって行きました。

~第2波~
実は第1波が終わった時から第2波の予想は囁かれていましたが、でもその予想は10月くらいの予定でした…。
しかし、1日の感染者数が4桁になったのは3ヶ月も早い7月下旬でした。
もう、その後はその勢いが留まることを知らず、政府が再度の「公衆衛生上の非常事態」を宣言しましたが、時すでに遅し。
11月にはついに1日の感染者数がピークの8万6千人と言う恐ろしい数に達しました。

春も夏も秋も今も、ラボと家の慎ましい生活を送っている私からすると、これで感染したらたまったもんじゃないですよ。「言わんこっちゃない」の話です。
今回はバカンス発祥なだけに若者の感染者が多いのですが、それを受けて重症化して命を落とすのは体力のないお年寄りなんです。
それに憤りを感じます。
再来した第2波は第1波がさざ波に思える程の脅威でまさに津波かって言う程の感染力でした。
そんな状況とは逆に政府の対策は前回に比べると緩やかで外出の規制もアテスタシオンはいるものの比較的広範囲が許され、必需品以外の買い物も可能でした。
我々国民もコロナに対して慣れもあり、スムーズに対応していました。
実のところ、政府には一般国民に回すだけの経済的余裕が残ってないらしくお金を循環してもらわないと困るとのことでした。
それを包み隠さず真摯に伝える姿に好感と理解が持てました。
フランスはコロナで既に沢山の国家予算を国民に使っていましたし、アフリカにある自国の領土も支援したりと、
大変なのは聞くまでもありませんでした…。

今現在は第2波のロックダウンも明けて、みんなノエルの買い出しに忙しい様です。
「今年のノエルは家族で静かに過ごして下さい」、
とのおたっしなので昔ながらの粛々としたノエルになりそうで、それもまた素敵な予感がします。
ちなみに、フランスでは新年は友達と過ごすのが定番なので、それを予測してか政府は外出禁止令を出していました。

ここまでが、現在に至るまでの、フランスのコロナの状況でした。

 

私が救われた言葉を皆さんにシェア


c’est la vie (セ・ラヴィ)
直訳すると「それは(が)人生」という意味になりますが、ニュアンス的には「人生そんなこともあるよ」
要は「しゃーないやん」と言う感じです。
フランスも経済的な打撃を受けて倒産閉店する商店や企業が増えてきています。
この間、近所のブラッスリーのおっちゃんに会ったので少し話しをすると困っている様子ではあるが何か元気…。
逆にこっちが心配して顔をしかめていると「c’est la vie 」と励まされました。
同僚との会話でも「感染したらど~しよぉ」と話してると、これまた「c’est la vie 」と返してくる。

最近、私が、仕上ったケーキを載せたプラックごと階段からズッコケて、ケーキを台無しにした時も皆で「c’est la vie」と励ましてくれる。
なので後輩が上司に怒られて元気をなくしてると私は隣に行って「 c’est la vie 」と励ましてあげる。
そして自国の大統領が感染したのも「c’est la vie 」なのです。
「c’est la vie 」…
なんて最強に受容した言葉なんだ!
受け入れ感、半端なくないですか!?
そらこんなポスターを貼った宣伝カーが走っていても、フランスでは受け入れてくれるのは納得できる。

今までテキトーにしか聞こえなかった言葉がいきなりめちゃくちゃ逞しい響きに変わりました。

皆さんも辛い時はこの魔法の言葉を一度口にしてみて下さい。
そしてこのポスターも思い出して笑って下さい(笑)

ちょっと心が軽くなりますよ。

その他にもやはりフランスっぽさを感じるのがマスク。
不織布のマスクも多く販売されていますが、マスク1つとってもナチュラル志向を取りいれる。
なので、手作りマスクも多く、デザイン性のあるものも多いです。
中には遊び心があるマスクも。
こんな状況でも、遊びの要素は外さない(笑)

▲手作りマスク。デザイン性も高い

▲マスクにも遊び心を…

では、大変な状況ではありますが、2021年を楽しみましょう!
早くこのパンデミックが消滅しますように…。

À bientôt

ページ先頭へ戻る