研究開発課が提案!
定番のいちごのケーキを新しいいちごのかたちへ
【研究開発課レポート】
お客様からの様々なお問い合わせや日々の製造で生じる疑問に、弊社の研究開発課で日々行っているテストやご提案でお応えします。
パティスリーではいちごのケーキが定番です。いちごが収穫できない時期でも輸入いちごで対応しています。最近はいちごの価格も高騰していて収穫も不安定ですが、何か良い方法はありませんか?
お客様は旬と関係なく一年中、いちごのショートケーキを求めてお店に来られる事も多いのではないでしょうか?いちごの入手が難しい時期に、今までの当たり前から少し視点を変えてみると新しい発想が生まれてくるかもしれません。
1.『今までの当たり前』とは
いちごのケーキといえば、いちごのショートケーキ!フレッシュのいちごがサンドされており、飾りにもいちごが使われているのが当たり前です。国内産いちごが入手できないときでも、いちごの価格が高い時でも、フレッシュのいちごのケーキは店頭に揃えている、という店が多いと思います。
そこで日仏商事研究開発課からみなさんに、いちごの価格や供給量に左右されない『新しいいちごのかたち』を提案したいと思います。
2.『新しいいちごのかたち』とは
『新しいいちごのかたち』とは、フレッシュのいちごではなく、年間を通して品質が安定している、レ ヴェルジェ ボワロンの冷凍ピューレ フレーズを使用したいちごのジュレを活用することです。
試作を行ってみると、以下のような課題が出てきました。
① フレッシュのいちごに比べて酸味が足りない。
② ジュレの弾力が強すぎる。
③ フレーズピューレだけでジュレを作ると、何か物足りない。
以上の課題に対して、
① シトロンジョンヌ(レモン)ピューレを加え酸味を足す。
② 凝固剤を調整し、ジュレを粗刻みにして使用する。
③ 冷凍ホールフレーズを足し、いちごの種の粒々感を追加する。
以上の対策を行い、フレッシュのいちごの味わいに近づきました。これが新しいいちごのかたちです。
完成したいちごのジュレのレシピは以下の通りです。
【材料】
冷凍ピューレ フレーズ……25g
冷凍ホールフレーズ……100g
冷凍ピューレ シトロンジョンヌ……7.5g
グラニュー糖……40g
イナアガーF(伊那食品工業)……4g
水……50g
【工程】
① グラニュー糖とイナアガーFを混ぜ合わせておく。
② 水に①を混ぜながら注ぎ入れて、沸騰させる。
③ ピューレ類とホールフレーズは、合わせて45℃に温めておき、②に加えてホイッパーでしっかり混ぜる。(仕上がりを60℃以上になるようにする。)※50℃以下になると、イナアガーが固まり始めるので注意。
④ バットに薄く流して冷やし固める。
※ポイント
固めるときは薄くのばし、粗刻みにしてからサンドすると弾力が弱くなり、違和感がなくなります。
3. いちごのジュレのメリット
いちごのジュレは冷凍可能です。フレッシュは冷凍できませんが、ジュレなら冷凍可能なのでいくつものメリットがあります。
① まとめて仕込めるので作業の時短にもつながる。
② フレッシュではいちごの傷みが発生するが、その心配がない。
③ 冷凍耐性の生クリームを使用するとショートケーキも冷凍ストック可能。
④ 必要な時に仕込めるのでロス軽減に繋がる。
以上の結論から、新しいいちごのケーキを試してみる価値は十分ありそうです。
4. まとめ
今回は、いちごの旬以外の時期にレ ヴェルジェ ボワロンを活用し美味しいいちごのショートケーキが作りたいとの思いからテストを行いました。ショートケーキにジュレをサンドすることは抵抗があると思いますが、いちごの供給不足や価格高騰時の対応として参考にしていただければと思います。
飾りはフレッシュ、サンドはジュレにすることで、今までの当たり前を少し変えてみませんか。
その他にも、研究開発課では輸入した海外の商品を日本でより使いやすくするためにテストを行ったり、日々の製造で疑問を抱えているお客様の要望に応えるようテストを行ったりしています。今回の記事以外の内容でも、何かご相談やご質問がございましたらお気軽にお問合せください。