2022/12/13

研究開発課が解決!パイの縮みに悩んでいませんか?

ガレットデロワお客様からの様々なお問い合わせや日々の製造で生じる疑問に、弊社の研究開発課で日々行っているテストやご提案でお応えします。

ーご相談内容ー
パイ生地を抜いた際、また焼成した際に縮みが起きやすいです。縮みにくくする方法はありませんか?

パイ生地について


パイ生地

①フィユタージュ・オルディネール
1番オーソドックスな製法です。小麦粉、水、塩などの材料で生地(デトランプ)を作り、バターを包んで折り込んでいくパイで、くちどけの良さが魅力です。

②フィユタージュ・ラピッド
パイ生地の中で1番簡単かつ短時間でできる製法です。小麦粉に角切りにしたバター、塩、水を加えてざっくりまとめてそのまま折り込んでいきます。水分移行が他の折り方に比べ、起こりにくいのが特徴です。

③フィユタージュ・アンヴェルセ
フィユタージュ・オルディネールとは逆で、バターで生地(デトランプ)を包んで、折り込んでいきます。浮きがよく、サクサクとした食感に仕上がります。

上記3種類の生地に共通して言えるのが、 パイ生地はしっかり休ませないと縮みが生じたり、生地が冷えた状態で作業しないと層が潰れて浮きにくくなったりするということです。

パイを伸ばした後、焼成した際の縮みの防止や改善策としては、 作業後にしっかり生地を休ませることが必要になります。しかし作業上、生地を休ませる時間がない場合もあると思います。

そういった場合には、クロワッサンやパンに使われている「RS190」という改良剤の添加も効果的です。

 

「RS190」とは?


RS190

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「RS190」とは、酵母から生まれた改良剤です。活性をなくした酵母の力で生地の伸展性を向上させ、収縮や荒れを防ぎます。冷凍生地やシーティング生地を傷めずに伸ばすことが可能になります。伸展性が高くなることで生地が締まりにくくなり、機械耐性の向上にもなります。

今回は、この「RS190」の添加による伸縮性の変化をまとめました。

<テスト内容>
①「3つ折り×2回、1時間休ませる」×3回の製法で生地を作成(「RS190」なし、「RS190」0.1%添加、「RS190」0.3%添加の3パターン)
② 3種類の生地をそれぞれ成形、焼成して状態を比較する。

「RS190」なし

伸ばしてすぐ 522mm

▲伸ばしてすぐ 522mm

収縮後 423mm

▲収縮後 423mm

「RS190」0.1%添加

伸ばしてすぐ 435mm

▲伸ばしてすぐ 435mm

収縮後 405mm

▲収縮後 405mm


「RS190」0.3%添加

伸ばしてすぐ 507mm

▲伸ばしてすぐ 507mm

収縮後 488mm

▲収縮後 488mm

収縮率については、添加なしだと19%、0.1%添加だと7%、0.3%添加だと4%になりました。添加量が増えることで収縮率が下がっており、縮みにくいことがわかります。
下の写真は左から「RS190」添加なし、0.3%添加、0.5%添加のパイ生地を伸ばしてすぐに丸く抜いたものです。

焼成前

左から「RS190」添加なし、「RS190」0.3%、「RS190」0.5%

左から「RS190」添加なし、「RS190」0.3%、「RS190」0.5%

焼成後

左から「RS190」添加なし、「RS190」0.3%、「RS190」0.5%

左から「RS190」添加なし、「RS190」0.3%、「RS190」0.5%

添加量が増えるほど縮みが少なく、丸形になっています。このように改良剤「RS190」を使用することで、パイ生地の縮みを抑制することが出来ます。

まとめ


今回のテストでは、パイ生地、改良剤についてご紹介しました。パティスリーではあまりなじみのない改良剤ですが、使うことでより良い状態のお菓子に仕上げることが出来ます。 また少量の添加になりますので味への影響もほぼありません。

その他にも、研究開発では海外の商品を日本でより使いやすくするため、また、日々の製造で疑問を抱えているお客様の要望に応えるためにテストを行っています。今回の記事以外の内容でも、何かご相談やご質問がございましたらお気軽にお問合せください。

 

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