2019/02/25

クレープが主役!?フランスの「シャンドルールの日」について調べてみました【パティシエ通信Vol.11】

chandeleur(シャンドルール)

Bonjour! パティシエ通信の岸です。

早いもので、もう2月後半ですね。
日本でも1月~3月はお祝いや行事がたくさんあって賑やかで忙しい時期ですが、フランスも何やら慌ただしい気がします。

それもそのはず、ヨーロッパは宗教的なお祝いや行事が多く、そこにたくさんお菓子も登場するのでパティスリーは相変わらず大忙しなんです。

今回は、日本でいう節分の日に太巻きを食べるという慣習に近い『chandeleur(シャンドルール)』というクレープを食べる慣習についてご紹介します。

 

キャンドルが主役?シャンドルールの始まりについて調べてみました


キャンドル

まず、シャンドルールのはじまりについてご紹介します。

ノエル(クリスマス)からちょうど40日後にあたる2月2日。
この日をフランスではchandeleur(シャンドルール)と呼んでいます。
日本では「聖燭祭(せいしょくさい)」といって、イエス キリストが聖母マリアとマリアの婚約者にしてイエスの養父ナザレのヨセフによってエルサレムの神殿に連れてこられた出来事を祝う日です。

この日は別名「キャンドルの日」ともいわれており、元々ローマ時代に広まった異教の祭典である「キャンドルフェスティバル」というお祭りがあり、信者は一晩中聖火を振ってローマの街を歩き回ったそうです。

5世紀の終わりになってこのお祭りは教皇ゲラシウス1世によってキリスト教化されました。
中世から巡礼者たちはイエスの提示を祝うため「諸国民を照らす光」としてキャンドルを持ってローマに集まってきました。
その「chandelle(キャンドル)」にちなんで、この日を「chandeleur(シャンドルール)」と呼ぶようになったそうです。

現在も、家の中でキャンドルを灯したり、教会でもたくさんのキャンドルが灯されたりするそうです。
でも、この日の主役は変化し、最近では「クレープ」が主役なのです!
何故にクレープなのか。全く脈絡の無さそうなクレープ…
さすがグルメの国フランス、歴史のほんの隙間から食べ物の文化はしっかりと生き残り続けております(笑)

 

シャンドルールの主役はキャンドルからクレープへ!?


クレープ

そもそも何でクレープ?
これには諸説があるようです、
・教皇ゲラシウス1世が巡礼者にクレープを振る舞った
・クレープの形が太陽の様なので、キリスト→太陽→クレープという連想になった
・昔はこの日が卵の時期だった(これは私の同僚の説)
などなど私の同僚のフランス人にも聞きましたが、「確実にこれ」といった説が見つかりませんでした。

いずれにせよ、
今となっては「2月2日はクレープの日!」がフランスでは全面的に出ており、もはや同僚のフランス人は
全員この日のことをほとんど分かっていませんでした(笑)

前回配信したガレット・デ・ロワの記事にも通ずる感じがしますね。

歴史は深いが、実際にはその歴史についてはあまり詳しくない…でも、食べる!

何か日本の節分の日に食べる恵方巻に近いかも知れないですね。

恵方巻は毎年決まった方角に向かって無言で食べる習慣がありますが、このクレープの食べ方には決まりはなく、料理やおやつとして食べられています。

 

街中にクレープ専門店が当たり前!?クレープ専門店に行ってみました


フランスの街には、クレープリー(クレープ料理店)があります。

クレープリーというとあまり馴染みがないかも知れませんが、要はクレープ専門店です。
日本でもクレープ専門店がありますが少しイメージは違い、レストラン形式でクレープをいただきます。
クレープリーでは、スイーツのクレープだけでなくそば粉を100%使ったガレットもいただけます。

少し、シャンドルールの話題から外れてしまいますが、「ガレット」と「クレープ」の関係についてご紹介します。
元々クレープはガレットがルーツとなっており、ガレットが先だといわれております。
そのガレットの発祥は、フランスの北西部のブルターニュ地方で、この地方ではカフェの数よりもクレープリーが多いらしく、いかに地元に根付いた郷土料理かというのが理解できます。
そのブルターニュでは、昔からそばの生産が盛んで主食として「ガレット」が食されていた時代もあったそうです。
そしてその主食の時代が過ぎ、デザートとして小麦粉を使ったクレープが出てきました。
ご存知の方も多いと思いますが、ガレットとクレープの違いは、

ガレット:「そばの生地=塩味=前菜やメインなど」
クレープ:「小麦の生地=甘い=デザート・おやつなど」

という感じで、クレープリーでは前菜やメインとしてガレット、デザートとしてクレープが出てくることが
多く、しっかりとコースになっています。
気軽に楽しめる郷土料理で、かしこまったフルコースもよいですが、カジュアルにフルコースが楽しめる
のも面白いです。
ぜひフランスに来られた際は、クレープリーでフルコースを食べてみて下さい。

あと、忘れてならないのがガレットとクレープと一緒にいただく飲み物として、この地方の特産品でもある
シードル(りんごから造ったスパークリングワイン)を飲みます。
卵、ハム、チーズ、クリームを使用するガレットの脂っこさを、すっきりとした酸味と微炭酸のシードル
がさっぱりと洗い流してくれます。
食前酒・食後に飲むのも地元では主流です。
親しい人たちとのおしゃべりを楽しみながら、シードル片手にガレットやクレープを食べるというのが
地元スタイルです。

今回、休日を利用しパリに行った際にクレープリーに寄ってみましたので、そちらもご紹介します。

コースを頼み出てきたのが、
●前菜
魚介を使った、ガレットがでてきました。
味の構成はトマトソースベースに魚貝とチーズがいっぱい入っており、魚貝ピザのガレット版って感じでした。

魚介を使ったガレット

●飲み物
定番のシードルです。グラスではなく陶器の器でいただくのも面白いですね。

●デザート
本題のクレープが出てきました。シンプルに生地にヌテラやキャラメルソースがかかっています。

シードルは陶器の器で

シードルは陶器の器でいただきます

デザートとして提供されたクレープ

デザートとして提供されたクレープ

クレープのトッピングの構成には特に決まりはなく、
ハチミツ、砂糖、チョコシロップ、ヌテラ、ジャム などなど
まあ、なんでもありという感じです。

品目は少ないですが、なかなかのボリュームがあり、お腹もいっぱいになりお店を後にしました。

 

パティスリーやブーランジュリーでのシャンドルールの取り組みは?


先程、クレープリーのクレープを紹介しましたが、
パティスリーやブーランジュリーの取り組み状況についても調べてみました。
お店によって様々だそうですが、ほとんどのお店ではクレープの販売は無く、それよりも多くのパティスリーではこの時季はベニエやビューニュ(揚げ菓子)といったお菓子がメインのようです。

シャンドルールは1日だけのイベントということもありますし、お店でクレープというよりは、各家庭でクレープを焼くことが多いようです。
それもあってか、スーパーではクレープに関連する商品が並んでいました。

 

自分でもクレープを作ってみた!


家庭で焼く人も多いということで、私も実際に2月2日にクレープを焼こうと、スーパーへ。
私のレポートで何回か登場したフランスのスーパーですが、やはり恐るべし!

シャンドルールの時季には、スーパーにもクレープに関連する商品が販売されていました。
「今日はクレープの日ですよねっ!」といわんばかりに、クレープを焼く専用のフライパンやホイップクリーム、クレープ生地、シードルなどが並びます。

クレープ専用フライパン

クレープ専用フライパン

専用什器で陳列されたホイップクリーム

専用什器で陳列されたホイップクリーム

既に焼かれたクレープ生地

既に焼かれたクレープ生地

シードルも販売されています

シードルも販売されています

スーパーで材料を調達し、いざクレープを焼いてみました。

実はシャンドルールの慣習の中にはクレープを焼く時の面白い言い伝えがあって、焼いたクレープをひっくり返すときに左手にコインを握って右手でポーンとキレイにひっくり返せたらその一年は幸運に恵まれるそうな。

私はそれを聞いて実際にチャレンジしました。
その結果は…

見事に失敗しました…お恥ずかしい(笑)

自分で焼いたクレープ生地

自分で焼いたクレープ生地

 

まとめ


日本ではクレープはおやつというイメージですが、フランスでは主食にもなりデザートにもなるんですね。
そして販売スタイルもレストランから屋台などのバリエーションもあり、何とオールマイティーな食べ物なんだ!と感じました。

歴史も深く、クレープの色と形から太陽に見立てられたり、縁起の良い食べ物として愛されている国民的食べ物。
皆さんも節分の前の日はクレープをぜひ食べてみてはいかがでしょうか?

 

 

▼クレープにおすすめの機械情報
◎クレープ発祥の地ブルターニュで支持されてきたクランプーズ。商品紹介ページはこちらから

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◎クレープを食べる日「シャンドルール(聖燭祭)」にまつわるイベントを開催!(告知)

◎2月2日は「シャンドルール」!?サロン・デュ・ショコラでクレープを限定販売中!!

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