2019/01/26

(後編)フランスの新年のお菓子『ガレット デ ロワ』についてレポート【パティシエ通信Vol.10】

前編に続き、ガレット デ ロワのレポートをお届けします。私の働いているお店の厨房に潜入してみました。

 

ガレット デ ロワを製造している厨房に潜入!!


1月の主役はガレット デ ロワ!!
では、私の働いているお店ではどんな風にガレット デ ロワの製造が行われているかご覧ください。

①5kgのフィユタージュをラミノワ(生地を伸ばす機械)で伸ばしテーブルに広げていきます。

②テーブルに広げた生地を4人前、6人前、8人前と大きさ別に型抜きをして行きます。
ちなみに、上下の生地は同じサイズで抜きます。

③フランジパーヌをシャブロネしてフェーブを埋め込み冷凍しておきます。
日本ではフェーブは別添えされることが多いですが、フランスでは事前に生地の中に仕込んでおきます。
今年のフェーブはフクロウシリーズです。

④凍ったフランジパーヌを置いて生地を被せます。
そしてよく冷やした先程のフィユタージュの周りにドリュールを塗ってディスク状に凍ったフランジパーヌを置きます。
下と同じサイズのフィユタージュを被せて空気を抜く様になぞる様に優しく閉じます。
あまり押さえ過ぎないのがポイントです。
でもなかなかフランジパーヌが漏れないんですよね~。

そして、2時間後にひっくり返してまたドリュールを塗ります。

更に、2時間寝かしてドリュールを塗り、レイエ(切り込み)していきます。
フレッソンでは、定番のナチュールタイプは稲穂模様です。

これを1日冷蔵庫で休ませてから、2日後は凍らせてストックします。

味はナチュール以外にもフランジパーヌとマーマレードを層にした四角形のタイプや、表面にタンプータンと卵白をペースト状に混ぜ合わせた物を塗って焼いたオランデースというタイプもあります。

お店によって種類も形も様々ですし幾つもあります。

⑤販売する量を見極めながら、どんどん焼成していきます。
もちろん焼成するときはボンガードのオーブンです!!
日仏さんしっかり宣伝しておきましたよ(笑)

焼成されたガレット デ ロワは、ページ最上部の写真のようにショーケースに陳列され、次の写真のようにお店の外からでも商品が販売されていることが分かるように、ショーウインドウにも飾ります。
日本で働くパティシエならばこの時季にフランスに来てパティスリー巡りがおすすめですが…
「それどころではないわっ‼️」という状況ですよね…。
私もこの時季は、住んでいるジャルニーから出ることはなかったのですが近々パリのパティスリーのガレット デロワを見に行ってみようと思います。
今回のレポートには、間に合わなかった為ぜひ私の個人ブログ(Ayakoのブログ)からご覧くださいね。

今回のレポート用に、パリで働く友達のパティスリーブーランジュリーのガレット写真を送ってもらったので写真だけでも紹介しておきますね。

 

フランス人にはあたりまえの存在の伝統菓子


この時期になると日本とのガレット デ ロワに対する感覚の違いに本場を感じます…。
本場というと良く聞こえてしまいますが、良くも悪くもないというのが私の意見です。

ただ文化の根付き方がやはり本場だと思います。
あたりまえ、これが本場の在り方なんです。
あたりまえの行事だからこそ、特別感があまりないところもあります(笑)
スーパーでも販売してますし、めちゃくちゃ売れるんです。それが当然なのがフランス。

エピファニーの三博士の名前がいえないクリスチャンの同僚がいるのですが、物心がついた時から毎年ガレット デ ロワを食べています。
歴史を深く理解していないけれど、絶対に食べます。でもこれは、日本の伝統菓子でも言えることですよね。

この特別感の無さが、実はレイエの模様に表れています。
レイエの模様は様々ありますが、フランスでは稲穂や格子模様がほとんどです。
一方で、日本では月桂樹やピティヴィエ模様をよく見かけますね。

これもやはり売れる数に差がある為か、そこまで時間をかけてられないというのが正直なところで、フランスではほぼ月桂樹模様を見かけることはないです。

もちろんスーパーで販売されている商品は、格子模様が定番。
逆に月桂樹模様があったらびっくりしてしまいます。

ガレット デ ロワはフランスでは1月の風物詩ではありますが、この「力の入れ無さ(私たち職人は力入ってますが笑)」、「特別感の無さ」が当然にして普通の感じが昔から庶民に食されてきた歴史の深さを感じさせます。

ガレット デ ロワの日本での在り方とフランスでの在り方、違って当然だと思います。

でも、日本の国民性からするとガレット デ ロワと言うお菓子は合ってる気がするんですよね。
新しい物が好きで歴史のあるもが好き、新年に集まるなど、このお菓子は日本人にピッタリではないでしょうか。

その証拠に近年日本でも取り扱うお店が増えて来てますよね。
そして日本人が作るから完成度が半端なくて綺麗です。
完成度が高すぎて高級感すら漂ってしまってますが、これが日本のガレット デ ロワだっ‼️っていう個性が出ていて素敵です!

味は素朴ですが、生地の折り込みと焼成は技ありですから小憎たらしいお菓子ですよね (笑)
だからやり甲斐も抜群なんです。

フランスの仕事で、ノエルが終わってガレットに追われているこの時季が一番好きかもしれません。
皆さんも繁忙期の真っ只中ですが、頑張って下さい!

少しでも皆さんにフランスのガレット デ ロワ事情がお伝えできて良かったです。
そして、この記事を通じて少しでもガレット デ ロワに興味を持っていただき、日本で販売するお店が増えてくれれば幸いです。

À bientôt

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