2019/11/27

パン屋さんに聞いてみました!週休3日も夢じゃない、あるパン酵母と製法でそれが実現できるかも【採用事例】

ベッカライビスバルト

皆さん、お店のお休みは週に何日ありますか?
週休1日、2日、そもそも無い(年中無休)などなど、お店の運営方法や従業員の数などで休みの決め方はそれぞれだと思います。
中には、お店は休みだけど仕込みや準備でお店には出てきているという事もよく聞く話。

近年の働き方改革で、従業員を抱えるお店では休みの設定は課題のひとつではないでしょうか。
どうすればしっかり休みを取れるのか。

今回は、ベーカリーでは珍しく週休3日制を導入し尚且つ ひとりで製造されているお店にその秘訣を聞きに行って来ました!

ベッカライビスバルト オーナーシェフ 本多 宏嗣 氏

ベッカライビスバルト オーナーシェフ
本多 宏嗣 氏

▼店舗概要
2017年に独立開業、お店をオープン。
お店の場所は、日本でミカンの生産量トップにもなっている和歌山県。その中でも生産が盛んな有田(アリダ)にあるベーカリー。
高速道路のインターチェンジからも近く、交通量の多い幹線道路沿いにあるお店です。
主婦層を中心に人気のお店で、土地柄ミカン農園も多い事から農家の方が来店する事もしばしば。
販売しているパンは、ハード系のパンを中心にラインナップは約60~70種類。
近隣のミカン農園やクラフトビール会社とのコラボ企画なども行い、パンの製造だけでなくイベントにも積極的に参加されています。

 

お店の運営スタイルにマッチさせる為にパン酵母を切り替えた


―本題に入る前に、こちらのお店についてご紹介をお願いします。
約2年半前にこの店をオープンしたのですが、オープン前には東京を中心に様々なパン屋に視察にいき、自分のお店のイメージを具現化していきました。
その視察の際にクロワッサンが山積で販売されているお店が多いのに気づき、「その販売スタイルはいいな」と感じ自分の店でもこだわりのクロワッサンを販売しようと思い販売を始め、週末になると100個以上が売れる人気商品となりました。

クロワッサン

スタンダードなクロワッサン

カラフルなクロワッサン

カラフルなクロワッサン(弊社フランボワーズパウダー使用)

クリームをはさんだアレンジクロワッサン

クリームをはさんだアレンジクロワッサンも

また、お店のレイアウトにもこだわりました。
当店ではオープンキッチンスタイル、パンは平台に置き、購買意欲がわくようなレイアウトにしました。
また定期的に季節商品の入れ替えも行い、来て楽しいと思える店を目指し運営しています。

オープンキッチン&平台レイアウトでの販売

こだわりのオープンキッチン&平台レイアウトでの販売————————–

紫イモとサツマイモパン、栗パン、栗とサツマイモパン(リロンデル1895使用)

季節商品も豊富、紫イモとサツマイモパン、栗パン、栗とサツマイモパン(リロンデル1895使用)

弊社取り扱いのジャム

弊社取り扱いのジャムも多数ラインナップ。その他にも、ドリンクやオリジナルグッズなど、パン以外の商品も種類が豊富。

ボンガードオーブンのソレオ

オープンキッチンからはボンガードオーブンのソレオが見える!パンの焼き上がるライブ感がワクワク感を演出してくれそう。

―パン酵母を切り替えた理由は…本多さんこだわりの製法を実現するため!?

ベッカライビスバルト オーナーシェフ 本多 宏嗣 氏

私の店では、パン業界でも珍しく週休3日制を導入しています。しかも製造は私ひとりです。
恐らく、「休みの間に仕込みとかしてるんでしょ?」と思われている方もいると思いますが、休みは休み、仕事は仕事としっかり切り替えをしている為、基本的に製造や仕込みは営業日に全て行います。
限られた時間内で作業をする為に、製造コントロールのしやすさを重視し冷蔵・冷凍製法を使った製造をメインにしています。
といっても、ただこの製法にするだけでは思い通りのパンにはなりませんし、コントロールも上手く行きません。
これまでに配合や材料、ルセットの改良を日々繰り返し、出した答えがパン酵母の切り替えでした。
その幾度も行ったテストの中で、一番イメージ通りに仕上がったのが今回切り替えをしたサフの「リロンデル1895」を使用したパンでした。

―「リロンデル1895」を使って感じたことは
まず最初に感じた事は、製造コントロールがしやすいこと。
冷蔵・冷凍製法では、一次発酵から分割までの工程で発酵のコントロールが非常に重要なポイントになります。
発酵が早すぎてもダメ、もちろん遅すぎてもダメ、そのスピードがリロンデル1895を使うことで私のイメージ通りになりました。
生地の冷凍も行う為、冷凍耐性が高いのも良かったです。

―リロンデル1895を使った本多さんこだわりの製法があると聞いたのですが
私が勝手に呼んでいるのですが「分割冷凍後解凍成形冷凍法」という製法です。
これは、分割冷凍と成形冷凍のハイブリッド製法で、この製法にしている一番の理由は、業務効率と休みをしっかり取る為です。
一人で製造を行っている為、お客様対応や他の作業が必要になった時に、1つの作業に集中するのは難しいです。
その為にも作業を分割し、自分の思うタイミングで製造ができるのがこの製法の良い所です。
ただし注意も必要です。
生地を保管している際に発酵が進みすぎて過発酵にならないように管理をするのが重要になります。
ここでこの製法にマッチするのがゆっくり発酵をしてくれる「リロンデル1895」でした。

分割冷凍後解凍成形冷凍法で製造されている生地

分割冷凍後解凍成形冷凍法で製造されている生地。生地は成形冷凍をする前の状態

冷凍庫には、分割後・成形後の生地が隙間なく入っていました

冷凍庫には、分割後・成形後の生地が隙間なく入っていました

更に、この製法を取り入れた理由は、休みをしっかり取る為でした。
お店は休みだけど、仕込みの為に店に出てくるのであれば定休日の意味がありません。
またせっかくの休みは家族との交流や体を休める為に重要になります。
この製法とリロンデル1895のおかげで、休日に出勤しなくても営業時間内で製造でき、また出勤時間を普通のパン屋さんより遅くしても複数のパンを一気に焼き上げることが出来るようになりました。

-「分割冷凍後解凍成形冷凍法」をする際に気を付けるポイントは?
生地を仕込む際の温度帯です。
一人で生地量の多いパンを仕込む際は、最初に仕込みをした生地と最後に仕込んだ生地とでは発酵状態が異なってしまいます。
その作業中に、発酵をさらにコントロールする為に私は氷を活用します。

工程表

厨房には、氷の使用量を記載できるシートがありました。細かく製造コントロールされているのが分かる

氷を活用する事で、捏ね上げ温度を低くできます。
私の店では約10℃~15℃くらいで捏ね上げをします。
それにより、作業始めと作業終わりの発酵状態の差を極力なくすことができます。
仕込みをする際の機材も重要で、この温度帯で仕込む場合縦型のミキサーでの仕込みは厳しいので、私の店ではボンガードのスパイラルミキサーを使用しています。

ボンガードのスパイラルミキサー

低温度帯での捏ね上げの際に活躍しているボンガードのスパイラルミキサー

―現在「リロンデル1895」を使用したパンは何種類くらいありますか
現在は、15種くらいですね。
リロンデル1895は、本当に使い勝手の良いパン酵母なので、今後も種類は増えていきそうです。

リロンデル1895を使用したパン

リロンデル1895を使用したパン

―素朴な疑問ですが、週休3日での運営で売り上げは大丈夫?
結論からいうと問題ないです。
今まで、週休1日、2日、3日と少しずつ休みを増やしてきましたが、週休2日と3日で営業した際の売り上げを比較するとほとんど売上は変わりませんでした。
しかし例外もあります。
和歌山エリア特有かもしれませんが、10月から12月末まではミカンの収穫が最盛期を迎え、農園で働く方が繁忙期となり、来店回数が極端に減ってしまい閑散期を迎えるんです。
その際の売り上げを維持する為にどうするか。
そこで、去年近くにある伊藤農園という会社(みかんを使ったジュースやジャムなどの加工品を販売)に企画提案をし、有田みかんを使ったシュトーレンの製造をする事になりました。
これが非常に好評で、今年は現時点で300本を超える発注が来ており、恐らく最終的には500本を超える注文が来ると思います。
このシュトーレンは、多い日で200本を1人で製造します。
通常営業との併用をする際に、営業日だけでは製造が難しい場合は、休みの1日を使い製造します。
仮に1日を製造日にしたとしても、週休2日は死守できます。
本来、閑散期だったお店ですが、企画商品のおかげでむしろ忙しくなり売り上げを維持する状況となりました。
このように、休みを余暇だけに使うのではなく閑散期の売り上げ維持などにも役立て活用しているので、年間を通して売り上げは安定しています。
業務効率を上げ、ロスを極力減らす製造体制になったのでメリットの方が大きかったですね。

 

取材後記


週休3日と聞くと、マイクロソフトが今年の8月に週休3日制を試験的に実施し、その結果、生産性が40%向上したことが発表されました。
製菓・製パン業界でこれが実現可能なのか??
私の肌感覚では厳しいのでは…と即答してしまいそうでしたが、今回のお店ではそれを実現している一例でした。
その為には、様々な努力も必要だった事が取材から分かりましたが、それを実現する為にサフの「リロンデル1895」が貢献している事を嬉しく思いました。
日本人は働きすぎと良く聞きますが、海外を見るとそれは納得できます。
弊社と深い関りがあるフランスでは、バカンス期間が非常に長いです。
バカンス前までにいかに仕事を残さず、バカンス明けにバタバタしないかは、仕事をいかに効率化させるかが重要になります。
日本でも、働くときは働く、遊ぶときは遊ぶという切り替えがもっと浸透すればと思い取材を終えました。

 

取材協力


ベッカライ ビス・バルト外観

ベッカライ ビス・バルト
住所:和歌山県有田郡有田川町水尻698-1
TEL:0737-52-7787
営業時間:9:30~17:00
定休日:火曜日、水曜日、木曜日
Facebook:https://www.facebook.com/backerei.bis.bald/
Instagram:https://www.instagram.com/backerei_bis_bald/

関連URL
▼関連URL
・リロンデル1895特設ページ
https://lesaffre.jp/lhirondelle1895/

・商品紹介ページ
https://www.nichifutsu.co.jp/products/foods/13761/

・ルサッフル公式サイト
https://lesaffre.jp/ 

・関連記事
https://www.nichifutsu.co.jp/magazine/tag/lesaffre/

・ベッカライビスバルトプロデュース「有田みかんシュトーレン」
http://www.ito-noen.com/stollen/

リロンデル1895問い合わせ

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