2021.06.25

元同僚と共同経営という道を選んだ2人。saf製パンコンテスト出場経験が今を造る【南行徳 パン オルディネール】

皆さんこんにちは!
千葉県の南行徳駅から徒歩5分の場所に「地域」と「日常」を大切にする1軒のベーカリーがあります。
その名も、「パン オルディネール」。

オーナーのお二人は、パンの老舗 株式会社ドンクで20年近く共に経験を積んだのち共同経営という道を選び2020年8月に同店をオープンしました。
過去には、弊社主催の『saf製パンコンテスト』の出場経験もお持ちのお二人。
そこで今回は、共同経営での開業と、コンテスト出場をテーマにお話しを伺ってまいりました。

パン オルディネール
オーナー 八賀 亮氏(左)
オーナー 澤渡 祐介氏(右)

▼Profile
八賀 亮氏
専門学校で製菓製パン技術を学び卒業後、株式会社ドンクへ就職。17年間北海道の店舗にて勤務後、2019年に東京へ転勤。
澤渡 祐介氏
高校卒業後、アルバイトとして株式会社ドンクへ入社。北海道の店舗にて勤務後、2018年に東京へ転勤。
2020年8月に南行徳にてお二人で「パン オルディネール」を共同開業。

日常的にパンを食べてほしいという想いを込めた店名に


ーお店のコンセプトを教えてください
(八賀氏)地元の人に日常的に食べてもらえるパンを作りたいという思いから開業しました。お店の名前にも私たちの思いである「日常のパン」を仏語に訳した『パン オルディネール』を掲げています。
商品のラインナップは80種類ほどで、食事パンやクロワッサンなど毎日来ても飽きないような商品を取り揃えています。
また、新商品の開発にも力を入れており、週に1度は2~3種類ほど新商品を発売しています。
開業当初は販売していなかった地域の色に合わせた、あんこや豆を使ったパンやミルクハースなどの柔らかいパンなどの販売も始めお客様からご好評をいただいています。
看板商品は、クロワッサンとブリオッシュ・ヴァンデーヌ・オランジェです。
地元の新聞などでも取り上げていただだいたおかげで、当店の売れ筋商品です。


▲看板商品の「クロワッサン」


▲客層に合わせた商品「ミルクハース」

客層は、50代女性の方が中心で、子供連れのお客様や女性のお客様のご来店が多く、Instagramや口コミの効果でリピーターも増えてきました。

 

ー開業を決めた理由を教えてください
(八賀氏)
ドンクで勤務していた時は日々の仕事をこなすことで精一杯でしたが、最終的にいずれはどこかで独立したいという思いがありました。
専門学校を卒業して以来、17年間北海道のドンクで勤務をしていたのですが、2019年に東京へ転勤になったのをきっかけに、のちに共同でお店を開業することとなる澤渡と出会いました。
2人とも同郷の北海道出身ということもあり、話しているうちにこの2人でだったらお店をやっていけるのでは?と思い、共同で開業することを決めました。
今のお店の場所である南行徳は、私が東京転勤になった際にたまたま引っ越してきた町でもあります。実際に住んでみて町の雰囲気や人の良さがとても魅力的だと感じていました。
また、周辺に競合店も少なく、必然と開業するなら縁のあるこの町がいいと思い、物件探しを始めました。その結果、とても信頼のできる不動産の方やお店の建物のオーナー巡り合うことができ、開業場所を決めることが出来ました。

対等な関係ではないからこそバランスがいい


ードンク時代の同僚と二人三脚での開業でしたが、共同経営でのメリットやデメリットはありますか?
(八賀氏)
メリット
自分たちのお店を作るというのは簡単なことではありません。
何をするにも初めてのことだらけで、思わぬところでトラブルが待ち受けています。そのトラブルも1人で悩まずに2人で相談しながら協力できるところが共同経営のメリットだと思います。
また、発注業務や製造などの作業も2人で分担して行えるので、心強いですし、一般的な個人店のオーナーよりも作業の負担は少ないと思います。

デメリット
完全に対等な立場での共同経営は喧嘩を引き起こすと考えています。
ドンク勤務時代、上司に開業を相談した際に「共同経営の相手は完全に対等な関係にしない方がいい。きちんと上下関係を付けないと絶対失敗する。」とアドバイスをいただきました。開業した今、その言葉が身に染みています。
私と澤渡は、年齢も経験年数も違いがあるので、共同経営とは言え先輩後輩の立場といえます。
対等な関係だと意見の食い違いなどでぶつかることはあるのかと思いますが、私たちの場合は澤渡が私の意見に合わせてくれて、折れるところは折れてくれているので良いバランスが取れているのだと思います。

▲オーナー 八賀 亮氏

ー八賀さん、澤渡さんの役割を教えてください
(八賀氏)
具体的に分けているというわけではないですが、以下のように分けています。
八賀氏:朝の仕込み、パンの販売、オーナー業務(お金の管理など)
澤渡氏:製造責任者としてパンの成型~焼成
しかし、基本は一緒に業務を行っているので、臨機応変に製造と販売を対応しています。

 

コンテストへの出場経験があるから今がある


ー以前、お二人は『saf製パンコンテスト』へ出場された経緯をお持ちですが、出場のきっかけは何だったのですか
(八賀氏)
第一に「技術向上」という目的がありました。
また、ドンクで勤務していた時はマニュアルが決まっており、自分の好きなパンを好きに作れる機会が少なかったので、コンテスト出場のためという前提であれば、仕事終わりに好きなだけ自分の作りたいパンが作れると思い挑戦しました。
コンテストに挑戦するのは勉強になりましたし、出場した経験があるからこそ今があると思っています。
開業してオーナーとなった今は時間に余裕がなく、出場する機会はなくなってしまいましたが、自分たちがコンテストに出場してよかったと思っているからこそ、従業員にはコンテストに挑戦するように指導しています。

(澤渡氏)
『saf製パンコンテスト』においては、私の中でルサッフル社のイーストを使った高い製パン技術力を競うコンクールという印象がありました。そこで、パン職人として「自分の実力を試してみたい」「正当に評価されてみたい」という思いからコンテストに挑戦しようと決めました。

 

『saf製パンコンテスト』最優秀賞受賞から5年。当時の思い出と現在について


ー『saf製パンコンテスト』入賞者向けのフランス研修旅行の思い出をお話しいただけますか
(澤渡氏)
ルサッフル社の研修センターで貴重なお話を聞くことができたこと、室内の設備見学やパン作りを体験できたことイタリアのディアマルテリア社見学など自分の力だけでは絶対行くことができない場所にたくさん連れて行っていただきました。
また、コンテストで知り合ったパン業界の仲間たちとフランスで購入したパンを持ち寄って食べるなど仲間たちとの絆が深まったのもいい思い出です。
意外にも一番印象に残った食事はムール貝でした。
ずっとヨーロッパの料理を食べていたからか、ムール貝を食べた時に日本食のアサリの出汁に似た美味しさを味わえたようでホッとした記憶があります。


▲ディアマルテリア社にて設備見学

▲ルサッフル社のベーキングセンターにて製パン指導

ー『saf製パンコンテスト』に出場してよかったことを教えてください
(澤渡氏)
パン業界の方々と交流できたことが良かったです。
また、コンテストに出場することで製パン技術のスキルアップにつながり、コンテストに挑戦することで確実に知識も増えました。
現場へのフィードバックができ、開業した今もその知識が生かせていると感じる場面が多々あります。

▲オーナー 澤渡 祐介氏

 

ー現在、『saf製パンコンテスト』で入賞された作品『ブリオッシュ・ヴァンデーヌ・オランジェ』を販売されていますが作品誕生の秘話を教えてください。
(澤渡氏)
当時の大会のテーマが「ハレの日に食べるパン」でした。
テーマに沿って作品を考えるのは正直難しかったです。仕事中の休憩時間や休日に本を読んだり、知人の結婚式で振舞われたパンを参考にして作品を作り上げました。
通常の業務もしながらだったので、作品が出来上がるまでには2か月ほど要しましたね。
結果、最優秀賞をいただくことができてとても光栄でした。
またこのパンは、実際に販売してお客様の購入していただき食べてもらうことを前提として作っているので、複雑な製造工程は加えず、製造する手間がかからないおいしいパンということを念頭に置いて作品作りをしました。
現在、お店で販売していますが、購入していただいたお客様から「また食べたくて」と、『ブリオッシュ・ヴァンデーヌ・オランジェ』を求めてご来店してくださる方もいるのでとてもうれしく思っています。

▲第7回サフ製パンコンテスト最優秀賞作品「ブリオッシュ・ヴァンデーヌ・オランジェ」

周辺地域の方にフランスの日常のパンであるハード系を浸透させたい


ーお店の今後の展望を教えてください
(八賀氏)
今後はお店のコンセプトである「日常のパン」にちなんで、フランスで日常的に食べられているハード系に力を入れていきたいです。
周辺地域では、ハード系を販売しているパン屋さんが少ないためか、もともとハード系を食べる習慣がないのか、開業当初はハード系の売れ行きが悪かったのですが、最近は少しずつ売れるようになってきました。
電話予約で取り置きを希望されるお客様もいらっしゃるなど徐々に浸透してきたように思います。
ドンク出身ということもあり、やはりハード系のパンを販売するのは仕事にやりがいを感じますね。
今後は、カンパーニュやバゲットなど誰もが知っているハード系のパンを地域に浸透させつつ、セーグルなどのあまり食べ慣れていないようなハード系のパンの販売もしていきたいです。
そうすることで、南行徳の特別なパン屋になれるのではないかと思い描いています。


▲お店で販売しているハード系パン

▲種類豊富に取り揃えている

編集後記


焼き立てパンの香りに引き込まれ、かわいらしい店内に入ると、目の前には売り場に所せましと並べられた魅力的なパンの数々。
80種類という商品数の中から、『saf製パンコンテスト』の受賞作品である『ブリオッシュ・ヴァンデーヌ・オランジェ』が一番目立つところに陳列されているのを見て、ずっと大切にしてくださっていることが伝わり、とてもうれしく思いました。
また、八賀さんの願う、「南行徳にハード系のパンを広めたい」という想いに強く感銘を受けました。フランスの『日常のパン』を南行徳の地元の方々へ。パン オルディネールのお二人が発信者としてハード系のパンを広めることで、南行徳の町がどのように変化していくのか、今後が楽しみなのと同時に、こんな素敵なパン屋さんが私の地元にもあったらな~と思いながら帰路につきました。

 

取材協力


 

pain ordinaire(パン オルディネール)
住所:〒272-0138 千葉県市川市南行徳1丁目22−7 フローラ南行徳 1F (GoogleMapで見る
TEL:047-704-0064
営業時間:8:00~19:00(売り切れ次第Close)
定休日:日曜・月曜
☞公式Instagram
※この記事は2021年2月に取材した内容になります

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