フレキシパンオリジンを使用した焼菓子の
焼成方法【研究開発課レポート】
パティスリーの現場で使用されている型には様々な形や材質のものがあり、その選択肢は数知れません。
普段から使い続けている型をずっと使っているという方も多いかと思いますが、これまでに作業性・扱いやすさ・効率性に優れたシリコン型「フレキシパン」をお使いになられたことはありますか?
今回は、定番の「フレキシパンオリジン」を使った焼き菓子の焼成方法とそのテスト結果を交えながら、フレキシパンの魅力についてご紹介していきます。
▼目次
・フレキシパンオリジンとは?
・焼成比較テスト
・-1.コンベクションオーブンを使った焼成テスト
・-2.デッキオーブンを使った焼成テスト
・まとめ
フレキシパンオリジンとは?
ドゥマール社のフレキパンオリジンは、グラスファイバー入りのシリコン製の型です。
シリコン製ですので、離型油を塗ったり、ムースフィルムを巻いたりする必要がありません。型自体が柔らかいので、焼成した場合でも冷凍した場合でも型からはずしやすく、洗浄も楽にできるので金型よりも取扱いが簡単です。
素材にグラスファイバーを使っていることで剥離性(型離れ)が良く、薄いのにもかかわらず丈夫で耐久性に優れています。
使用可能温度はー40℃から260℃までと冷凍から焼成まで対応しています。
焼成の際は、空気の対流を良くするために、フレキシパンをパンチング天板かグリルにのせてオーブンに入れることを推奨しています。
焼成比較テスト
今回は、パンドジェンヌの生地をフレキシパンオリジンに充填したものをグリルと天板それぞれにのせて、コンベクションオーブンとデッキオーブンで焼成。実際にどのような違いが出るかをテストしてみました。
比較のために、同じ生地を分けて使用し、焼成温度や焼成時間を同じにしました。
1.コンベクションオーブンを使った焼成テスト
〇グリルを使用した場合
上下の焼き色が均一に入り、今回のテスト条件の中で最もボリュームが出ました。
AW(水分活性)値を計測したところ、今回のテスト条件の中で最も測定値が低くなりました。
グリルを使用し、コンベクションオーブンで焼成した場合の焼き上がりの状態↓
(焼成温度 170℃ 18分)

〇天板を使用した場合
グリルにのせた場合よりもボリュームの出にくさが顕著で、下火が強く入り、底面の焼き色が強くなりました。
また、フィナンシェ型などでもしばしば見られるように、底面に若干エクボが出来ました。
天板を使用し、コンベクションオーブンで焼成した場合の焼き上がりの状態↓
(焼成温度 170℃ 18分)

天板を使用し、コンベクションオーブンで焼成した場合のエクボ↓

2.デッキオーブンを使った焼成テスト
フレキシパンの焼成にはコンベクションオーブンが向いていると言われますが、デッキオーブンでも綺麗に焼成することが出来ます。
今回は、コンベクションオーブンと焼成時間が同じになるように温度を設定し、同じ生地でテストを行いました。
〇グリルを使用した場合
ほぼ上下の焼き色を均一に焼き上げることが出来ました。
グリルを使用し、デッキオーブンで焼成した場合の焼き上がりの状態↓
(上220℃下190℃ 18分)

〇天板を使用した場合
ボリュームの出かたはグリルを使用した場合とあまり変わりませんが、コンベクションオーブンと同様、底面の焼き色が強くなり、エクボが顕著に出ました。
デッキオーブン、天板を使用した場合の焼き上がりの状態↓
(上220℃下190℃ 18分)

天板を使用し、デッキオーブンで焼成した場合のエクボ↓

底面のエクボについては、お客様から度々お問い合わせを頂いています。底面にエクボが出来る原因としては、配合や生地温度、型そのものの老朽化など様々な可能性があります。
今回のテスト結果のように、同じ生地・同じ型でもグリルを使用して焼成したものはエクボができにくいことがお分かりいただけるかと思います。
まとめ
今回のテストでは、フレキシパンオリジンで焼菓子を焼成する場合、デッキオーブン、コンベクションオーブンを使用した場合とも、天板よりもグリルにのせたほうが上下の焼き色とも均一になりました。
また、コンベクションオーブンを使ってグリルにのせて焼成したものが、4つのテスト条件のうち最もボリュームが出ました。
今回は同じ生地で、条件をそろえてテストを行ったので、このような結果となりましたが、使用するオーブンによって焼成温度や焼成時間を調整し、より良い状態に焼き上げることはもちろん可能です。
弊社研究開発課ではこのような比較テストを行い製品の使用方法などの情報を日々蓄積しています。
今回ご紹介したフレキシパンの型をはじめ、その他の商品に関する使用方法についての疑問点やお困りのことなどございましたら、ぜひ弊社にお問い合わせください。