2024/10/04

シェフカットで膨らむ新たなアイデア!大阪の超人気店『ポアール』が生み出す新たなスイーツの世界

大阪にある「ポアール」は、地元に根ざしたパティスリーとして、多くの人々に愛されています。先代が築き上げた「シンプルで美味しいものを追求する」という基本理念を守りながらも、現代のニーズに応じた発想や技術を取り入れることを大切にしています。

ポアールプチシュー創業当時から続く看板商品「プチシュー」は、ポアールの代名詞とも言える存在。その味は、長年愛され続けてきた懐かしさを持ちながらも、常に時代に合わせて改良が加えられてきました。

それでも、甘さを抑えたカスタードクリームと上質な素材の風味が最大限に引き出された味わいは、創業当時から変わることなく、多くのお客様を魅了し続けています。まさに「至福のひとくち」と呼べるこのお菓子は、お店の歴史と技術の結晶とも言えるでしょう。
ポアール 猫のクッキーさらに、地域社会への貢献として、売り上げの一部を大阪市動物愛護管理施策推進基金に寄付されるという商品「モン・トレゾール」も展開しています。美味しさだけでなく、社会貢献の姿勢がポアールの魅力をさらに高め、多くの人々の心を捉えています。
こうしたこだわりのスイーツづくりの現場を支えているのが、高水圧ウォータージェットカッター『シェフカット』です。今回は、シェフカットを導入した背景と、その成果について、シェフのお話をもとに詳しくお伝えします。

株式会社 ポアール 代表取締役社長
辻井 良樹 氏

これまでにない技術と発想が融合するシェフカットの革新


‐シェフカットを導入したきっかけを教えていただけますか?
最初に展示会でシェフカットを見たときは「未来の機械が置いてあるな」くらいに思っていました。大手パティスリーが使うもので、うちには関係ないもの…正直、アトラクションを見ているような感覚でした。やはり高価ですし、たぶん多くの方も同じように感じていたのではないでしょうか。

そんな中、業者の方と話していると、導入について尋ねられました。最初は必要ないと思いましたが、「絶対あったほうがいいですよ」と力強く勧めてくれたんです。その方は機械とは全く関係のない業者で、売り込むわけでもなく、ただ純粋に良いと思って勧めてくれたんです。それが心に響きました。

さらに、「他のお店でも導入しているところがあるみたいですよ」と聞いて、これは大手だけでなく、自分たちのような街のパティスリーでも役立つかもしれないと感じ始めました。

シェフカットを単純に「切る」だけの機械だと思っていたのですが、実際にどう使うかは自分たちの考え次第。それは人も同じで、どんなに優秀な人材でも適した環境でなければその能力を発揮できません。視点を少し柔軟にして考える必要があると感じました。

では、私たちならシェフカットをどう使うか?と考え始めると、アイデアが次々に湧いてきました。クリスマスシーズンには毎年何千台ものケーキの装飾をすべて内製で行い、手作業で飾り付けしていましたが、「この作業の一部をシェフカットに任せられるのでは?」と思ったのです。クリスマスは毎年お祭り騒ぎで、大変な作業でしたが、こだわりを伝えたい一方で、お客様にどこまでそのこだわりが伝わっているのか、という疑問も抱いていました。

でも、よく考えてみれば、それは伝わる人にだけ伝わればいいんだと気づきました。これからは、朝から晩まで作業に追われるのではなく、私たちのアイデアや感性を活かして、機械を上手く使うことが重要だと感じたんです。

‐導入を決めたポイントは何だったのでしょうか?
機械を実際に見た瞬間に、ほぼ即決で決めました。見た瞬間に「これなら自分の理想のお菓子が作れる!」と直感したんです。もちろん、スタッフの中には「使いこなせるんですか?」なんて声もありましたが(笑)。「すぐにでも店に入れてほしい」と日仏商事さんにお願いしたくらいです。直感的な判断でしたが、それが正しかったと今でも思っています。

‐シェフカットのどのような部分に可能性を感じたのでしょうか?
シェフカットは、人間には難しい複雑なカットを可能にしてくれる点です。 例えば、硬い素材をカットする作業は、人間が手作業で頑張れば何とかできるかもしれませんが、シェフカットはそのような素材を、私たちではできないような複雑な角度で切ることができます。こうした高精度なカットが、シェフカットならではの強みだと感じています。

また、シェフカットはクリエイティブな作業において、使い方次第で可能性は無限大だと感じています。これまでにない発想や技術を形にするための強力なツールとして、シェフカットはまさに理想的なパートナーだと確信しました。

まるでプラモデル!?シェフカットがもたらす新たなアイデアとクリエイティブの融合


‐実際にシェフカットを導入してみていかがでしたか?
思い通りに使いこなすには、少し時間がかかりました。でも、その過程が非常に面白かったですね。シェフカットを使用する中で、工夫次第で幅広い可能性が広がることを実感しました。

要は、考え方次第でどんな使い方にも対応できるんです。シェフカットを「モノを切る職人が一人いる」と考えれば、さまざまなクリエイティブな作業が実現可能です。扱い方を工夫すれば、立体的なものを作り出すことも可能です。手作業とシェフカットの融合によって、これまでにない新しいアイデアやクリエイティブな作品が生み出せるんじゃないかと考えています。

‐シェフカットを使った商品開発についてお聞かせください。
「OUCHI de CAKE」というシリーズでは、シェフカットを使ってくりぬき用のチョコレート板を作り、母の日などイベントに合わせて、さまざまなバリエーションで展開しています。

母の日のケーキに飾るチョコレート

▲シェフカットでカットしたチョコレート板

具体的には、チョコレートの板をそのままお渡しし、お客様が型抜きして飾り付けを楽しめるようにしています。まるでプラモデルのように、自分で組み立てる楽しさが味わえるケーキです。

型抜き後のチョコレートの板は、溶かしてドリンクとしても楽しめるので、無駄なくすべてを味わっていただけます。

最新の機械を使っているとはいえ、お客様が自分で飾るというアナログな楽しみ方を残すことに価値があると考えています。作業効率は確かに重要なのですが、それだけでなく、お客様にどれだけ喜んでいただけるかが、私たちの商品作りの中心にあります。

自由に飾り付けができる楽しいケーキ

▲自由に飾り付けができる楽しいケーキ

導入から見えたシェフカットの価値と未来の可能性


‐シェフカット導入後の変化についてお聞かせください
シェフカットを導入したことで、特にクリスマスケーキの大量生産にかかる時間が大幅に短縮され、他の商品開発に注力できるようになりました。以前は8月頃から装飾などを作り始めていたのですが、シェフカットのおかげでその作業が効率化され、その分10月のハロウィン向けの商品開発にも力を入れられるようになったんです。

以前は、すべての工程を内製していたため、新しい商品を開発する余力がほとんどありませんでした。今ではシェフカットを活用しながら、さまざまな商品を試行錯誤して作り出せるようになりました。シェフカットを使いこなす過程で、アイデアを形にしながら、その可能性を広げてきたと感じています。

‐新しいアイデアを形にするまで、どれくらいの時間がかかりますか?
すぐにできますよ。とにかく、思いついたらすぐやってみる。やってみないとわからないことも多いですし、すぐに試さないと忘れてしまいますからね。そこでやってしまえば、すぐに形になります。

シェフカットで表現したクリスマスツリー

▲シェフカットで表現したクリスマスツリー

刀や文字のくり抜きもシェフカットで

▲刀や文字のくり抜きもシェフカットで

父の日のケーキもシェフカットで楽しく表現

▲父の日のケーキもシェフカットで楽しく表現

また、こどもの日のケーキで、チョコで鯉のぼりを描く際、目のパーツを胴体部分とうまく繋げておくことで形を維持できます。目のパーツを単体でカットしてしまうと、後からのせることもできますが、やはり最初からデザインしておく方が仕上がりが良いですよね。こうした細かい工夫と発想力が求められます。

▲シェフカットで繊細なチョコレート飾りも

ある程度設計ができていないと、思い通りの仕上がりにはなりません。シェフカットを使うには、シミュレーションしながら、どう使えば良いかを考えることが重要です。

‐導入にあたって懸念点はありましたか?
これからの時代においてシェフカットは非常に重要な役割を果たす機械だと確信しています。人の感性にさらなる可能性をプラスしてくれる道具です。シェフカットはどんな形にも対応できるため、アイデア次第でさまざまな用途に活用できるんです。それぞれの職人が自分のスタイルに合わせて、無限に創造性を広げていけると思います。

最近では、個人店のオーナーがシェフカットに興味を持って見に来られました。確かに、大きな投資ではありますが、そのハードルが少しでも低ければ、個人店でも無限の可能性を引き出せるのではないでしょうか。大手パティスリーだけでなく、私たちのような規模の店舗がシェフカットを活用することで、業界全体に変革をもたらす可能性もあると思います。

ただ、少し音がうるさいかなと感じることもありますが(笑)、それを上回るメリットがあると実感しています。

‐最後に、シェフカットの導入を検討している方にメッセージをお願いします。
シェフカットの導入を検討されている方は、まず覚悟を持つことが大切だと思います。確かにシェフカットは高価な機器です。その価値を最大限に引き出すためにも、導入前にしっかりとした決意を持つことが重要です。

シェフカットは、単純に「切る」という作業においても非常に優れたツールです。まるで、20時間ずっと黙々と正確にカットし続けてくれるスタッフがいるかのように、寸分の狂いもなく作業をこなしてくれます。だからこそ、さまざまな角度からその可能性を探ってみることが重要だと感じています。

また、シェフカットならではの機能を活かして、新しいアイデアや工夫を施すことも忘れてはなりません。まずは基本的な使い方をマスターし、その上で自分なりのアレンジを加えていくことで、より良い成果が得られるはずです。

導入に際しては、補助金を活用する方法もありますし、既にシェフカットを導入しているお店を見学させてもらうのも良いでしょう。実際の使用状況を見れば、導入後の具体的なイメージを掴むことができます。

最も大切なのは、興味を持って実際に使ってみることです。シェフカットをどんどん使いこなしていくうちに、その本当の価値が見えてくると思います。導入して終わりではなく、導入後にどう使いこなすかが、成功の鍵となるのではないでしょうか。

まとめ


今回の取材で特に印象に残ったのは、シェフのインスピレーションの源と、それを活かす姿勢でした。シェフは、「見たり、聞いたり、食べたりしたことがないものは作れない」と語り、日々の経験を大切にされています。視野を広く持ち、見落としがちなものにも目を向けることで、新しいアイデアや創造性を引き出していることがよくわかりました。

シェフカットの導入も、その一環であると感じました。「どうしたら使えるようになるんだろう?」という興味と探求心が、シェフカットという新しいツールを取り入れるきっかけになり、それがさらに新しい商品開発を可能にしています。

今回の取材を通じて、シェフがどのようにして日々のインスピレーションを得て、それを形にしているのか、そのプロセスの一端を垣間見ることができました。シェフカットを活用しながら、シェフがこれからどのような独創的な作品を生み出していくのか、楽しみです。

取材協力


グレーヌ・ド・ポアール 玉出
住所:大阪市西成区南津守7-13-10 GoogleMapで見る
営業時間:10:00~18:00
※店内飲食席は現在お休み中です(販売のみ)
定休日:年中無休 ※元旦のみ休業
電話番号:06-6651-1157
HP:https://poire.co.jp/

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