有名店『クリオロ』のシェフに伺う、ウォータージェットカッター「シェフカット」の可能性
地下鉄有楽町線・副都心線で池袋駅から3つ目の小竹向原駅より徒歩3分、緑豊かな住宅街に佇むパティスリー「クリオロ本店」。
2000年4月に製菓学校としてスタートした「エコール・クリオロ」から事業を拡大し、2003年に地下鉄有楽町線・副都心線の千川駅でエコール・クリオロ本店をオープン。学校の閉校を経て、現在の「クリオロ」として生まれ変わり、2016年5月に現在の場所に移転しました。
現在は都内3店舗とオンラインショップを展開されています。
クリオロという名前はカカオの最高品種から付けられました。
ブランドのコンセプトは「身近な贅沢」。日常の中に溶け込む贅沢なひとときとして当店のお菓子を楽しんでほしい、上質なのに親しみやすく、身近な存在でありたいという想いが込められています。日々お客様にあらゆる「感動」を感じてもらえるような商品を意識して製造されています。
商品アイテムの種類は多く、洋菓子、チョコレート、パン、焼き菓子のほか、コーヒー、紅茶、ワイン、ジャム、オリジナルレトルトカレーなど“おいしいもの”にこだわりをもち、取り揃えられています。
これらの商品の生産を支えているのが高圧力のウォータージェットカッター、『シェフカット』です。
今回は、弊社で取り扱うシェフカットの導入についてシェフとスーシェフのおふたりにお話を伺いました。
エコール・クリオロ株式会社
シェフパティシエ サントス・アントワーヌ氏(画像左)
スーシェフ 吉田 勇汰氏(画像右)
手作業で真似できない、精密で素早いカットができるシェフカット人気店の作業現場を支える!
‐シェフカットを導入したきっかけを伺えますか。
(サントス氏)
元々、約10年前に海外製のウォータージェットカッターを導入し、活用していました。
展示会で日仏商事さんから「シェフカット」の紹介を受け、カットサイズの幅や高さの細かい設定ができることに魅力を感じ2台目として導入を決めました。
製造の約70%にウォータージェットカッターを使用しているため、万が一機械が故障となれば製造に大きな影響を与えます。日仏商事さんが部品を自社で保有しすぐ修理の対応をしてくれることは、非常に大きな安心材料となりました。
‐先ほど、製造の約70%にウォータージェットカッターを使用しているという話がありましたが、具体的にどのように活用しているのですか?
(サントス氏)
2台のウォータージェットカッターの特長を生かして製造に活用しています。
1台目に導入したウォータージェットカッターは生菓子の部屋に設置しており、主に生菓子のカットで活用しています。
2台目となるシェフカットでは、焼き菓子や生菓子のカットはもちろん、材料のバターをキューブ状に切る作業や、フレッシュのルバーブをカットするなど、様々な使い方を思いついては実行しています。
フレッシュのルバーブは繊維が強い食材ですが、元々ナイフで切っていて大変な作業でしたが、シェフカットでできないか?と思い試してみたところスムーズにカットができたため、作業効率が大幅に向上しました。
(吉田氏)
クリスマスの時期は、クリスマスケーキにサンドするイチゴをシェフカットで切っています。
2年前までは、パートさんたちに朝早くから来ていただいて手作業でカットをお願いしていたのですが、シェフカット導入後にやってみようと思い試してみたところ「意外にいいのでは?」となり去年から本格的にクリスマスケーキの製造にも役立てるようになりました。
‐フルーツのカット以外にどのような製品でシェフカットを使用していますか。
(サントス氏)
フロランタンなどの焼き菓子のカットもシェフカットで行っています。
本来、ウォータージェットカッターで焼き菓子をカットする場合、断面に水分が付いてしまうため、水分活性を計算し、賞味期限を考慮する必要があります。
レシピに合わせて水分量を調整し、賞味期限を確保するようにしていますが、シェフカットのノズルが非常に細いため、水が付きづらくきれいにカットできることが、焼き菓子の製造にも大きな利点となりました。
(吉田氏)
シェフカットでフロランタンをカットする前は、フィナンシェの型にサブレを入れて焼いていたのですが、型から取り外すときにどうしても“バリ“が出てしまっていました。その形を整えるためにパートさんが1つずつ手作業で処理していたんです。
それをシェフカットでカットするためにシートで製造したところ、きれいにカットできたのはもちろん、今までパートさんが作業に費やしていた時間も軽減でき、従業員の仕事も余裕が生まれました。
シェフカットを使って感じたメリット
‐シェフカットが製造現場に一役買っていることが分かり嬉しいです!ほかに製造現場での変化はありましたか。
(吉田氏)
➀作業性の変化でクオリティが安定
ボンボンショコラ製造では、シェフカットにあわせて作業のやり方を工夫しています。
シェフカットを導入する前は、ガナッシュやプラリネはギッターでカットしていたため、シャブロネ(ガナッシュにチョコレートで膜を作る作業)してすぐ作業を行わないと表面にひび割れが起きてしまうので時間との勝負でした。
しかし、カットの工程をシェフカットに変えたところ、チョコレートが固まった後に切ってもひび割れを起こさず職人によるカットのタイミングを確認しなくても良くなったので、作りだめして好きなタイミングに誰でもカットすることができたうえに、クオリティも安定しました。
➁作業効率化による時間短縮
ディスカバリー・ショコラシリーズはチョコレートコーティングする前にシェフカットでカットしているのですが、2~3枚重ねても水圧が強いため難なくカットができます。
硬さの違う生地(ガナッシュとサブレ)を重ねてカットしても出来上がりに影響がないのは嬉しいですし、時間短縮につながっています。
現場は日々、時間との勝負です。シェフカットでは、一度にかなりの数をカットできるので、手作業からシェフカットに変えることで多くの時間が創出できます。
いまやシェフカットは現場に無くてはならない存在です。
トライアンドエラーを繰り返すことで生まれるシェフカット活用の未来
‐シェフカットを使用して、今後製造してみたい、挑戦してみたい商品はありますか。
(吉田氏)
もちろん、プロとして技術の向上も大事ですが、作業を効率化するために日々色んな事を試しています。
先日は「パン生地のシートをシェフカットで切りぬいて焼いたらどう?」というシェフのアイディアから、実際に試してみました。
結果焼けたんですが、立体的にならなかったので改善が必要です…(笑)
(サントス氏)
パン生地を分割するために使うのもいいかもしれません。
いまは、手作業ですが、手数が多いものはなるべくシェフカットをつかって作業効率をあげようと常に考えています。
いつか、シェフカットでフランスパンの成形をするのが私の目標です。
フランスパンの細い成形作業の工程でシェフカットをどうにか活用できないか考えていて、まだ実現できてはいませんが、あきらめないでやってみたいと思います。
(吉田氏)
クリオロのいいところは、とりあえず機械のいろんな可能性を見出して挑戦してみるところだと思っています。
「これは工夫すればできるのでは?」と思ったらトライアンドエラーを繰り返して業務改善に取り組んでいくところに面白さを感じています。
そして、シェフカットの繊細なカット技術と機能の扱いやすさからこういう発想がたくさん出てくるのかなと思います。
(サントス氏)
SNSでフランスでのシェフカットの活用方法をみていると、私たちの想像をはるかに超える使い方をしていて毎回驚きます。
我々もアイディアを出してはシェフカットの可能性を見出していますが、クリスマスのブッシュや球体チョコレートにシェフカットで高度なデザインが施された写真をみると思わず「すごい…」と口に出してしまうほどです。
こういうところからインスピレーションをもらって、日々新たな使い方を見出しています。
‐最後に、シェフカットの導入を検討している方にメッセージをお願いします。
(サントス氏)
まずは商売を頑張って、事業が大きくなったら、さらなる作業性や生産性の向上のためにシェフカットを購入するのも1つの手段だと思います。
価格をみて断念する人も多いとは思うけれど、やっぱり、使ってみないとその機械の良さは分からないと思うんです。
ウォータージェットカッターは国内外様々なメーカーがありますが、価格差にとらわれず、機能面や作業性など自分の目で見て判断するのがとても大事です。
物価高で大変だとは思いますが、ぜひ将来の投資のために貯金してください(笑)
(吉田氏)
売上が伸びてくると、自分たちだけでは生産性に限界が出てくるので、投資の一歩を踏み出すことが重要だと考えています。
限界が見えたときには、新しい発想を持ち込む必要があるので、目指している目標があるなら、早い段階でシェフカットという投資を行うことで、さまざまなチャネルでの販売が可能になってくると思います。
まとめ
「シェフカットを活用するには、製造の視点を変える必要がある」とサントスシェフが最後にお話されていました。
例えば、フロランタンの製造のように、今まで型を使っていたものをシートに変えてみる、できないという勝手な決めつけはしないで「これにシェフカットが使えるのでは?あれにはどう?」と視野を広くもつことでシェフカットを存分に生かし、製造現場の生産性向上と効率化が実現できるとのことです。
シェフカットの活用の道をたくさん切り開いてくださっているのをお伺いし、サントスシェフの発想力の高さとスーシェフの吉田さんはじめ従業員の皆様の柔軟な対応力に驚きの連続でした。
本記事がシェフカットの導入をご検討いただいている方の参考になれば幸いです。
次回は、大阪のポアール様にシェフカットの導入事例を伺います。
ぜひお楽しみに!
取材協力
クリオロ本店(小竹向原)
住所:東京都板橋区向原3-9-2 GoogleMapで見る
TEL:03-3958-7058
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜日(祝日の場合は営業)
HP:https://ecolecriollo.com/shop-honten/