【講習会レポート】2026年 レミーコアントロー社製品を使った料理・製菓講習会『料理パート』
2026年3月2日から4日まで3日間にわたり、香川調理製菓専門学校を会場として開催されたレミーコアントロー社の講習会は今回で3回目。アルコール度数を高め、香りの成分を多く閉じ込めた「コアントロー54°」、「サンレミー ブランデー XO 60°」、「マウントゲイ ラム55°」を活用した新たなレシピを、フランスを代表するトップレベルのシェフに実演とともにご紹介いただきました。前半の料理部門の講師は、サミュエル・アルベール氏。
サミュエル・アルベール氏。
▼Profile
1988年、フランス・ロワール地方出身。
19歳の時、モナコのメトロポール・パレスでジョエル・ロブションの門を叩く。その日から、成長したい、旅をしたい、技術に磨きをかけたいという思いが強くなり、友人とともに世界を巡ることを決意。
イギリス、スイス、オーストラリア、中国、そして最後に日本を回り、日本ではベルギー大使館で料理長を経験。
10年間、海外でキャリアを積み、権威ある料理コンクール「TOP CHEF」で優勝。
その後、フランスに戻り、旅からインスピレーションを得た最初のレストラン「レ・プティ・プレ」を開く。
現在は2店舗を運営。
世界を旅し、日本のベルギー大使館で腕を振るった経歴も持つサミュエル氏は、旅で得たインスピレーションを落とし込んだフュージョン料理も得意とされています。今回の講習会では、伝統的なフレンチと、自身のレストランでも提供されているクラシックなレシピを含む計9品を紹介していただきました。
オレンジリキュールの代名詞「コアントロー」が、フレンチを進化させる
最初はもちろん、レミーコアントロー社を代表する「コアントロー」から。カクテルや製菓で使用されることが多いコアントローですが、サミュエル氏はガストロノミー用のアルコール度数の高いコアントロー60°を自身のお店でよく使用されているそうです。今回使用される日本限定販売のコアントロー54°は、一般的に飲料用として扱われているアルコール度数の40°とは異なり、エッセンシャルオイルが豊富に含まれることからオレンジの香りをしっかりつけられます。
鮮烈な印象を与える、「ブリのカルパッチョ、コスモポリタン風」

ブリのカルパッチョ、コスモポリタン風
目にも鮮やかな1皿目は、カクテルのコスモポリタンから着想を得た「ブリのカルパッチョ、コスモポリタン風」。コアントロー54°の香りとざくろの酸味が、ブリの脂と一体になって口の中に広がる爽やかな前菜です。ヴィネグレットはあえて乳化させすぎず、赤と黄色のコントラストを生かすという手法も、参加された方の心を掴んでいました。
お店で提供する際は、お客さまの目の前でシェーカーを振って仕上げるそうで、見せ場もあるメニュー。演出も含め、自然と次の料理への期待が高まります。
リヨンの郷土料理を、コアントロー54°でブラッシュアップ

白身魚のクネル、コアントロ―風味
続いて、リヨンの郷土料理にコアントロー54°の香りをまとわせた「白身魚のクネル、コアントロー風味」。シェフがソースを作りはじめると、会場にはえびとクリームの濃厚な香りが広がり、参加者の期待が高まるのを感じました。
実際に口に運ぶと、クネルのぎゅっと詰まった食感と風味に、濃厚なエビのクリームソース、さらにコアントロー54°、ゼスト、果汁など、アプローチの異なるオレンジの風味が重なり、スーッと抜けていきます。クネルの素材は、季節やその日の仕入れ状況に合わせてアレンジできるそうで、メニューに広がりが出ますね。
シンプルでアレンジも効く「魚介のパイ包みスープ、コアントロー風味」

魚介のパイ包みスープ、コアントロー風味
焼き上がったパイ生地にスプーンを入れると、コアントロー 54°の香りがふわりと漂います。魚介の旨みとクリームが合わさった濃厚な味わい、そしてイクラの塩味とフレッシュ感も良いアクセントになり、満足度の高い一品に。
調理が終盤に差し掛かると、デモンストレーションと同じ器で試食の提供が始まりました。スープが熱々だったこともあり、参加者の皆さまに驚きと笑顔が広がりました。
実際にレストランでお客さまに提供したときも、きっと同じような反応が見られることでしょう。
このスープは、特別感がありながら仕込みがシンプルというのも魅力のひとつ。具とスープを生のままスープ皿にセットし、パイを被せて冷蔵庫で保存。注文が入ったらオーブンで焼き上げます。アルコール度数の高いコアントロー 54°を使用することで、保存性にも一役買います。また、具とスープの組み合わせ次第で、手間をかけずにオリジナリティのあるメニュー展開が可能です。また、パーティーなど一度に大量の料理を提供する必要がある際にも有効でしょう。
シンプルが故に贅沢さが際立つ、「アンディーブのサラダ仕立て、オレンジ、トリュフ、コアントローヴィネグレット」

アンディーブのサラダ仕立て、オレンジ、トリュフ、コアントローヴィネグレット
ベジタリアンレシピの「アンディーブのサラダ仕立て、オレンジ、トリュフ、コアントローヴィネグレット」。いたってシンプルな構成ながら、アンディーブとオレンジ由来の苦みをリンクさせ、さらにトリュフのアーシーな風味が重なります。
盛り付けはセルクルを使用して綺麗に成形し、仕上げにトリュフのスライスを乗せます。シンプルでありながら、とびきり美味しくて贅沢な前菜。試食された方からは、コクがありつつも軽やかで、「もっと食べたくなる」という声も聞かれました。
マウントゲイ ラム 55°でクレオール料理をレパートリーに
マウントゲイ ラム 55°は、世界最古の蒸留所で作られた高品質のラム。バニラやキャラメルを思わせる甘い香りとスパイシーな後味が特徴です。サミュエル氏のおすすめは、南国でよく食べられる魚や甲殻類、鶏肉などとの組み合わせ。
今回は、クレオール料理をベースにした2品を紹介してくれました。
ラムの風味があとを引く、トロピカルなおつまみ

アクラ風まぐろの小さなベニエ、マウントゲイの香り、トマト、しょうが、ラムのソース
1品目は、「アクラ風まぐろの小さなベニエ、マウントゲイの香り」。アクラとは、カリブ諸島で食べられている、干し鱈や豆、野菜を使ったスパイスの効いたフリットです。
サミュエル氏は干し鱈をマグロに置き換えて、マウントゲイ ラム55°をプラス。唐辛子の辛みや香味野菜があわさった複雑味と、マウントゲイ ラム 55°由来のトロピカルな風味が癖になる一品が完成しました。
高温で揚げても風味が飛ばない、ガストロノミー用ラムだからこそできるレシピと言えるでしょう。
ちなみに、サミュエル氏のレストランではサーモンとローストしたパプリカで作っているそう。そちらもどんな味か気になりますね。
ラムとココナッツの黄金コンビで味わう「メカジキのコロンボ、マウントゲイラム風味」

メカジキのコロンボ、マウントゲイラムの風味
コロンボもアクラと同様のクレオール料理。日曜日に家庭で食べられているメニューを、マウントゲイ ラム55°の風味をまとわせてリッチに仕上げます。
香味野菜を炒め、ココナッツクリームとターメリックを加えて煮込んでから、メカジキとラムを加えてあとは予熱で火を通します。加熱しすぎず、メカジキはレアな状態で仕上げ、ラムの香りもよりしっかり残すのがポイント。
もともとラムとココナッツの相性が良いため、そのおいしさは保証付き。ターメリックの色合いも美しく、アーシーなフレーバーも相まってエキゾチックなムードに。記憶に残る一品です。
トラディショナルなフレンチに欠かせない、サンレミー ブランデー XO 60°
ブランデーは、フレンチで一番使われていると言っても過言ではないお酒。料理に複雑味、深みを加える目的で使われており、テリーヌやパテ、マリネからグラッセ、ソースなど使い道はさまざま。食材も、魚介類から赤身の肉やジビエなど幅広く合わせられています。
サンレミー ブランデー XO 60°はフランス産ブドウのみを使用し、フレンチオーク材の樽で長期間熟成した逸品。バニラの繊細さや完熟したフルーツと蜂蜜の香り、きのこやナッツの風味、アプリコットコンフィのアロマ、デーツのスパイシーな味わいが、フレンチに欠かせないエッセンスとなっています。
ただし、サミュエル氏曰く「サンレミー ブランデー XO 60°はアルコール度数が高く風味も強いため、使い過ぎると味とアルコールがきつくなり、バランスが崩れてしまう。」とのこと。味のバランスを見ながら少量ずつ加えるのが、成功の秘訣のようです。
「オニオングラタンスープ、サンレミー ブランデー XO 60°風味」

オニオングラタンスープ、サンレミーブランデー風味
パリのどこのブラッスリー、ビストロでも楽しめる定番のスープ。今回のレシピでは、玉ねぎを炒めた後のデグラッセでサンレミー ブランデー XO 60°を使用します。その後ブイヨンやハーブ類を入れて煮込みますが、その時間は弱火で10分。煮込みすぎず、ブランデーの香りをしっかり残します。
シンプルながら、しっかりキャラメリゼした玉ねぎの香ばしさと苦味、コンテチーズのコクのある甘みが絶妙です。そこにサンレミー ブランデー XO 60°のウッディな雰囲気も加わって、体がほっこり温まるのを感じました。
サミュエル氏によると、地元では結婚式の翌朝、一晩中踊り明かした後に飲む習慣があるとのこと。結婚式の幸福感と心地よい疲労感の中、朝日を浴びながら飲むオニオングラタンスープは格別でしょうね。
シェフの思い出の味を、サンレミー ブランデー XO 60°でレストランの味に

ブルターニュ風ホタテ貝、サンレミーブランデー風味
次は、「ブルターニュ風ホタテ貝、サンレミー ブランデー XO 60°」。
こちらのメニューは、シェフの子供の頃、よくおばあちゃんが作ってくれた思い出の味がベースになっているそう。ホタテの旬である秋にたくさん作って冷凍しておき、冬の間食べたいときにオーブンで焼いて食べていたそうです。
今回のレシピでは、ホタテときのこ、サンレミー ブランデー XO 60°の組み合わせが要です。特に相性の良いきのこは、炒めてサンレミー ブランデー XO 60°でフランベし、風味を凝縮させます。ホタテに関して言うと、サミュエル氏のおすすめは丸のままの貝柱。食感を堪能でき、食べ応えもあり、見た目も豪華になります。とはいえ、大きなホタテは価格が気になるところ。そこで、原価を抑えたいときはホタテ以外の貝類やえびを使用するという提案もあり、汎用性の高さを感じました。また、貝殻に盛り付けてそのまま冷凍しておけるので、時短メニューとしても有効です。
こちらのメニューに関しては、「ブルターニュはバターの名産地なので、バターをたっぷり使ってください」とサミュエル氏が念押し。言うまでもなく、バターとサンレミー ブランデーXO 60°も相性が良いので、これ以上ない最高の組み合わせです。
現代的なアプローチと、古典の風格を一皿で

牛フィレ肉のロッシーニ風、フォアグラのポワレと胡椒ソース添え
講習会の最後を飾るのは、堂々たるメインディッシュ「牛フィレ肉のロッシーニ風、フォアグラのポワレと胡椒ソース添え」。ソースにはグリーンペッパーを使用し、牛フィレ肉とフォアグラの脂っこさを引き締めます。
こちらのメニューは、シェフのレストランと同じように音楽を流しながらワゴンでサービス。フォアグラと牛肉を焼いた鍋に、グリーンペッパー、エシャロット、ニンニクを入れて炒め、ブイヨンを取った際の牛の脂を加えてから、サンレミー ブランデー XO 60°でデグラッセ。フランベして牛のブイヨンを加え、とろみがつくまで煮詰めます。牛フィレ肉の甘い脂の香りと、ブランデーの香りが立ち上り、香りだけで嬉しくなってしまいます。
グリーンペッパーの軽やかな風味と、ブランデーの複雑味を纏うことで、古典的な重厚さと現代的なアプローチのバランスが絶妙なロッシーニ風が完成しました。
トップシェフの講習会は、製菓、製パンのヒントにも
講習会の午前は料理パートでしたが、会場内にはブーランジェリーやパティスリーの方も足を運ばれていました。お話を聞くと、新しい刺激やアイデアを求めて来られたとのこと。素材の状態やポテンシャルに合わせて臨機応変に対応する、瞬間瞬間を捉える調理スタイルは目を見張るものがあったようです。
お店の規模やスタイルに合わせてアレンジできる、レシピの数々
今回の講習会では、仕込みや提供のしやすさ、コスト面にも配慮されたレシピが多く見られました。ホテルのレストランから、小さなビストロ、ブラッスリーなど、お店の規模に合わせて柔軟にアレンジができるため、導入も容易なのではないでしょうか。
また、参加された方の声で印象に残ったのが、試食のクオリティの高さやサーブされるタイミングの良さ。温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷えた状態で食べられること、きちんと良い素材が使われていることで、レシピの良さや意図をしっかり感じることができたと喜んでおられました。
そんな美味しいお料理の数々と、お酒の香りと食材のペアリングのアイデアや理論、見事なテクニックの数々に魅了されたあっという間の3時間でした。






