2021.06.8

研究開発課レポート!製菓製パンに関連する日々の活動やテスト結果をご紹介します ココアバター編

昔から人気のあるチョコレートは今や私たちの生活において身近なものになっています。

最近では、おうち時間のプチ贅沢として、専門店のボンボンショコラや、チョコレートコーティングされたパンやドーナツ、クッキー、アイスクリームなどチョコレート製品の占める割合が非常に高まっており、近年は、カカオ豆の加工からタブレットにするまでを一貫して手作りを行っているビーントゥバー(Bean to Bar)専門店も人気を集めています。
大手メーカーやコンビニでもこの波に乗ろうとチョコレートを使用したこだわりの逸品が様々開発されております。

そこで今回の研究開発課レポートでは、チョコレートの原材料であるカカオ豆に注目し、カカオ豆に40~50%含まれるといわれるチョコレートの重要な成分の一つ、「ココアバター」に焦点を当てて、ココアバターとはどのようなものなのかをご紹介していきます。
その中で、弊社の研究開発課で行ったココアバターのテスト結果にも触れていきます。

 

カカオ豆の半分を占める!?ココアバターとは


ココアバターとは、カカオの木の種子(カカオ豆)に含まれる油脂分のことを指します。
カカオの木の原産地は南米・中米ですが、現在、赤道を挟んで緯度20度以内の多くの国々で栽培されています。
特に平均気温が27℃で、規則的な降雨のある湿潤な地域が適しているといわれています。
収穫を終えたカカオ豆はココアリカー(カカオマス)、ココアバター、ココアパウダーを製造するために加工されます。

 

ココアバターの製造方法


ココアバターは以下のような工程を経て製造されます。
①発酵
②乾燥
③焙炒(ロースト)
④種皮の除去
⑤磨砕
このような工程を経て液状のココアリカー(カカオマス)が得られます。
ココアリカーは54~56%の油脂を含有しており、圧搾することでココアバターとココアプレスケーキ(ココアパウダーの原料)に分けられます。
このココアリカーに砂糖やココアバター、場合によっては粉乳や香料が混ぜられ、チョコレートが作られています。

ココアバターの地域特性


生育地域、季節、気候、加工法によって固さや組成にばらつきがあります。
例えばカカオの木の生育温度による違いです。
気温の高い地域で成熟したカカオ豆からつくられるココアバターは硬度が高くなるといわれています。 このような地域特性によるココアバターの融点等のばらつきは、ショコラのテンパリング作業に影響してしまいます。
このばらつきを無くし品質を一定にするため、異なる産地のココアバターをブレンドして製品化されるのが一般的です。 そのため、産地限定のチョコレートというのは厳密には、使われているカカオマスの産地が限定されているものであり、ココアバターはブレンドされたものが使用されています。

 

ココアバターの加工


脱臭
チョコレ―トに添加されるココアバターのほとんどは脱臭されています。
その主な目的は「 不快臭、酸臭を除いて風味を和らげること」と、「殺菌、微生物の完全な破壊」です。
カカオの風味を全て除去することは通常望まれていないため、ココアバターは他の食用油脂より低温で脱臭されています。

精製
カカオ豆のフレーバーを保ち、精製に付随して生じるロスを抑えるため、通常ココアバターは精製、脱色、アルカリ処理は実施されません。
一方、ホワイトチョコレート用に使用するココアバターはほぼ無色(白色)にするため、アルカリでの中和・脱色・脱臭処理により完全に精製されています。
また、キズ豆やクズ豆のカカオ豆からとれるココアバターは通常完全に精製されています。
以上のことから、製菓材料としてのココアバターも色、香りなどの特徴が様々となります。

ココアバターの結晶多形
ココアバターには、Ⅰ型からⅥ型までの6種類の結晶の型があります。
六つの結晶多形の一番大きな違いは融点です。
Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型のココアバターは融点が低いため、手で触ると溶けてしまい、また密度が低いため型からはずしにくく、製造に適していません。
Ⅵ型は逆に融点が高すぎて、口に入れてもなかなか溶けず、またブルーム(表面が変質し、白く固まった状態)が出るため見た目が悪く、商品として適していません。
以上のことから、ココアバターの6種の結晶のうち、Ⅴ型以外の5種はショコラの製造に適していないと言えます。
それに対して、V型の結晶は融点が33度と体温よりも若干低い程度の温度です。そのため、口に入れるとすぐに溶け、甘味や苦み、香りが口中に広がります。 また、パリンと割れるスナップ性や綺麗な艶が出るという特性を持っています。 そして結晶化したときの密度が適度に高いため、収縮して型からも簡単に外すことができます。
以上のことから、ココアバターのⅤ型結晶はショコラ製造に適していると言えます。
逆に言うと、ショコラ製造ではココアバターをⅤ型結晶にすることが必要なのです。 ココアバターの結晶化をⅤ型の結晶が形成されるように行うのがテンパリング(温度調整)という作業です。

 

ショコラ製造に適したV型結晶を作る機械とは?


ショコラ製造に適した「マジックテンパー」という機械をご紹介します。
マジックテンパーはココアバターのⅤ型結晶をポマード状に保つ機械です。
30~34℃程度に溶かしたショコラに、マジックテンパーでつくったペースト状のココアバターを1%添加して攪拌するだけで、 そのココアバターが種結晶となり、ショコラのテンパリングが完了します。
今回のテストではこの機械を使用します。

 

マジックテンパ―を用いたココアバターの比較テスト


▲カカオバリー ブール・ド・カカオ

製菓材料として市場に出回っているチョコレートには様々な種類があり、カカオ分やココアバター分の含有量も様々です。
また、産地や農園の違いなど特徴を謳った製品もあります。
チョコレートと同様に、市場には様々なココアバターがあり、特徴も異なっています。
弊社では、ココアバターの商品としてはカカオバリーのブール・ド・カカオ、マイクリオを取り扱っておりますが、今回は国産および海外の様々なメーカーのココアバターを入手し、マジックテンパーに入れて同等の条件で比較テストを行いました。
テストをしてみると様々な違いが見受けられました。

▲マジックテンパーで溶かした状態のココアバター(Aがカカオバリーのブール・ド・カカオを使用)

ココアバターの色は黄色っぽいものから真っ白なもの、また形状も細かい粒状のものから大きな固まりのものまで様々です。
匂いにも違いが見られました。
まずは、ココアバターを33.5℃に設定したマジックテンパーに24時間入れておき、ペースト状にします。この時点での固さは商品ごとに違いがあり、柔らかめのもの、硬めのものがありました。

▲ペースト状のココアバターとそれぞれテンパリングしたショコラをモールドに流した状態(Aがカカオバリーのブール・ド・カカオを使用)

そして、このポマード状にしたココアバターで、混ぜるショコラの温度を31℃から34℃まで0.5℃刻みで条件を変えて合わせ、ショコラのテンパリングテストを行いました。
結果、マジックテンパーでつくったペーストの状態は柔らかいほうが混ざりやすく、固いほど混ぜるのに時間がかかる、など作業性の違いが出ました。
ココアバターによって、テンパリング出来るもの、出来ないものとばらつきが出てくると予想していましたが、すべてのメーカーのココアバターで問題なくテンパリングを行うことが出来ました。
ココアバター自体が製品として、温度調整によりⅤ型結晶で固められていれば、マジックテンパーに入れた時にⅤ型結晶が残ります。 今回テストを行ったココアバターは全て、Ⅴ型結晶として結晶化された製品であることが確認出来ました。

 


弊社研究開発課ではこのような製品の比較テストを行ったり、ボンボンショコラ、菓子など仕込みを実際に行うなど、お客様の目線に立って日々研究をしてご質問ご要望にご対応できるよう情報を蓄積しています。
今回の研究レポート、製品にご興味、ご質問がありましたらお気軽に弊社研究開発課までご連絡ください。

 

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