クリスマス時季の定番菓子【パティシエ通信 Vol.05(前編)】
フランスでクリスマス時季に販売される定番菓子(地方菓子)を紹介
今回のパティシエ通信Vol.5(前編)は、
フランス・ジャルニー在住のパティシエール”岸さん”より、フランス北東部で食べられている「クリスマス時季のお菓子」についてレポートをしていただきました。
それでは”岸さん”宜しくお願いします。
ノエル(クリスマス)時季のお菓子
皆さんお久しぶりです。
今回は、ノエルの時季という事もありフランスで食べられている「ノエルのお菓子」についてご紹介します。
日本のノエル時季といえば、やはり生クリームとイチゴのショートケーキが定番ではないでしょうか。
私が日本でパティスリーをしていた時も、色々な商品を考えてお客様にアピールをしましたが、生クリームのデコレーションケーキを上回る商品はありませんでした。
そしてフランスにもこの時季定番のケーキがあります。
それは「ビュッシュ ド ノエル」です。
日本でも最近よく見かけるようになったケーキですが、ほとんどがシンプルなデザインが多く1~2種類程度ではないでしょうか。
私の働いている「フレッソン」ではなんと8種類のスタイリッシュな「ビュッシュ ド ノエル」が並ぶんですよ!!
そして、私がフランスに来て初めて知ったノエル特有のお菓子があります。
宗教色(カトリック)の強いお菓子の為、日本ではあまり馴染みがないと思いますが、フランスではノエル前の大切な定番菓子として販売されている『サン・ニコラ』と言うお菓子があります。
ノエルの定番菓子『サン・ニコラ』とは??
写真のように、この時季に街を歩いていると店頭で『サン・ニコラ』が販売されているのを見かけます。
このお菓子は、フランス北東部を中心に食べられているお菓子で、パンデピスの生地を使い、人やロバの形にした焼き菓子になります。
ノエルの定番菓子であれば、ノエル時季まで販売されるのかというとそうではなく、 販売時期は、11月中旬~12月6日頃までとなります。 非常に販売期間が短いお菓子ですね。
ではなぜ12月6日までの販売かと言うと、これには歴史的な背景があります。
そもそもサン・ニコラとは、聖ニコラスという聖人のフランス語での呼び名になります。
サン・ニコラに関しては、フランスだけでなくヨーロッパ各国で様々な諸説があるのですが、私がフランスで聞いたのは、裕福な家庭で育ったサン・ニコラは知識も教養も高い人物で、両親の死後その財産を貧しい人のために使って人々を救ったといわれており、その中で子供を助けたエピソードが元となって子供の守護神となったという歴史があるそうです。
そのサン・ニコラがサンタクロースに変化していったのは、17世紀にオランダへ歴史が伝わり、その後様々な国に渡り、各国で様々な解釈がされ皆さんがご存知のサンタクロースになったと言われています。
そのサン・ニコラの命日が12月6日で、フランスでは聖ニコラスの日と言われています。
この日には、子供たちに”サン・ニコラ”や一緒に連れていたと言われている”ロバ”の形をした焼き菓子が配られます。
このような歴史的背景がある為、12月6日まで販売されているといわれています。
実際に店頭では常温で個包装で販売されている事が多いです(次の写真)。
私の働いている「フレッソン」でも、毎年11月半ばごろに「サン・ニコラの日」があります。
この日は、どの部署のパティシエも総出で『サン・ニコラ』を作ります。
- パンデピスを練る人
- 伸ばす人
- 型で抜く人
- 模様をつける人
- 焼く人
- 梱包していく人
とそれぞれ担当があり、1日中『サン・ニコラ』を作ります。
「フレッソン」での配合はとってもシンプルで、「強力粉」 ・「ハチミツ 」・「アニス(香料)」の3つの材料だけで作ります。
では実際にフレッソンでの製造工程をご紹介します。
『サン・ニコラ』の製造に密着!!
『サン・ニコラ』がどのように製造されているか密着してみました。
①生地 パンデピスの生地は、事前に10月頃に仕込みをし寝かしておいたものです。
その生地を再度練り直し型取りしやすいように伸ばします。
②専用の型を使い型抜きをしていきます。
③模様付け
③焼成
前編では「ノエル時季のお菓子」についてご紹介しましたが、後編ではクリスマス時季にフランスで開催されている、「クリスマスマーケット」に行って来ましたので、その内容をご紹介します。