2022/10/18

バゲット今昔 〜ストレート法で焼く本格バゲットの比較レシピ〜【Connexion Vol.22】

人と人を繋ぐ架け橋『Connexion(コネクション)』Vol.22です。
(『Connexion(コネクション)』の説明はこちらから

バゲット今昔
今回は、今と昔のバゲットの配合(ストレート法)についてご紹介します。 現在では生地にほのかな甘味が感じられ、もちもちふわっとした日本人好みのバゲットが多く出回っていますが、昔はそうではありませんでした。バゲットひとつとっても使用材料や技術によって少しずつ変化します。そして面白いことに現在では、さらに主流となるオーソドックスな配合に対抗するかたちで歯応えや味わいの異なる昔の配合へと原点回帰が見られます。技術は確実に進化を遂げながらも、バゲットに対する志向は現代〜過去を行きつ戻りつする様は興味深いですね。

 

 

正確な年代は不明ですが、おそらく40年ほど前に日本国内で紹介されていた配合です。水が66%と少なく、イースト量が多いのが特徴です。この配合が使われていた当時は、フランスパンを製造するのに適した設備・材料がそろっていなかった時代背景から、ボリュームを安定させることを重視した配合になっています。

<材料>
・フランスパン専用粉…… 100%
・塩…… 2%
インスタントイースト 赤〔ルサッフル〕……0.7%
BBJ〔ルサッフル〕…… 0.2%
ユーロモルト〔ディアマルテリア〕……0.2%
・水……66%

<工程>
❶ ミキシング……L3分オートリーズ15分L6分H30秒
❷ 捏上温度…… 24℃
❸ 発酵時間……120分パンチ60分
❹ 分割重量……350g
❺ ベンチタイム……30分
❻ ホイロ……28℃75%60分
❼ 焼成…… 245/225℃27分スチーム

 

現在オーソドックスなものの一つとして紹介している配合です。配合Aと比べ水が対粉4%増えた一方、イースト量が大幅に減少しました。イーストを多く入れてガス発生量を増やす考え方から、粉をしっかりと水和させ、生地の伸びを作ることでボリュームを安定させる考え方にシフトした結果です。また、日本人が好むもちもちとした食感にも合致しています。

<材料>
・フランスパン専用粉……100%
・塩……2%
インスタントイースト 赤〔ルサッフル〕……0.4%
ユーロモルト〔ディアマルテリア〕……0.3%
・水……70%

<工程>
❶ ミキシング……L3分オートリーズ15分L6分H10秒
❷ 捏上温度……23℃
❸ 発酵時間……90分パンチ90分
❹ 分割重量……350g
❺ ベンチタイム……30分
❻ ホイロ……28℃75%60分
❼ 焼成……245/225℃27分スチーム

イーストが普及しておらず、ルヴァンがパン作りの主体だった19世紀のバゲットの味 わいを再現するコンセプトの配合です。配合A、配合Bによって品質が安定した一方、配合が画一的になった反動でレトロ志向のバゲットが生まれました。ルヴァンの酸味と粉の香ばしさが両立しており、内相に粗い気泡を含んでいるのが特徴です。

<材料>
・フランスパン専用粉……90%
フルネテロワール〔ルサッフル〕……10%   ※フランスパン専用粉の内10%を置き換えて使用
・塩……1.8%
インスタントイースト 赤〔ルサッフル〕……0.1%
ユーロモルト〔ディアマルテリア〕……0.3%
・水……72%
・ルヴァン……5%   ※自家製ルヴァンでも、 LV1 サフルヴァン活用でもOK

<工程>
❶ ミキシング……手仕込み
❷ 捏上温度……25℃
❸ 発酵時間……120分パンチ120分パンチ120分
❹ 分割重量……350g
❺ ベンチタイム……30分
❻ ホイロ……28℃75%60分
❼ 焼成……245/225℃27 分スチーム

 

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