2021/07/08

冷蔵生地を冷凍すると失敗する?
ボリューム・風味が落ちる原因と対策【製パン現場向け】

パン生地

 

冷蔵生地を冷凍保存すると、「ボリュームが出ない」「風味が落ちた」といったトラブルが起きることがあります。

 

実は、冷蔵生地をそのまま冷凍すると、発酵状態や生地構造の影響で品質が大きく変わります。

 

この記事では、冷蔵生地から冷凍生地へ切り替える際に起きやすい問題と、現場で実際に行ったテストをもとにした調整ポイントを製パン実務者向けに解説します。

 

<目次>
・冷蔵生地を冷凍すると何が起こるのか?
・冷凍生地でボリュームを確保する方法
・冷凍期間を延ばす場合の注意点
・発酵時間を短縮したときに起きる「風味低下」
・冷蔵生地から冷凍生地へ切り替える際のチェックポイント
・オンライン講習会のご案内

 

冷蔵生地を冷凍すると何が起こるのか?


まず最初に、冷蔵生地で仕込まれている菓子パン生地(60分の発酵時間で生地玉冷凍したもの)の
焼成後の結果から冷凍期間が生地に与える影響を見ていきましょう。

【テスト条件】
配合:変更なし
一次発酵:60

【テスト結果】

テスト結果

2~3日の冷凍であれば、冷蔵生地の焼成後と比較してもボリュームは減っていないように見えます。
それを時間を置いて見ていくと状態は大きく変わってきます。

冷凍2週間では、焼成後のボリュームが落ちていることが明らかですね。

 

冷凍生地でボリュームを確保する方法


先ほどのテストでは、冷蔵生地をそのまま冷凍すると生地のボリュームが落ちることがわかりました。ボリュームが落ちたのは、冷凍、解凍工程中にグルテンが損傷を受けたことによるガス保持力の低下など様々な要因が考えられますが、生地改良剤『イビスアジュール』を添加することで、ボリュームをだしやすくすることができます。

『イビスアジュール』

『イビスアジュール』は、乳化剤、ビタミンC不使用の酵素系改良剤です。
生地に添加することで、パンのボリュームが出やすくなり、冷蔵、冷凍生地の状態が安定するのが特徴です。更に、使用量を調整することで、長期の冷凍保管も可能にしてくれます。

では、実際のテスト結果からイビスアジュールを使用した生地の焼成後の状態を見てみましょう。

【テスト条件】
配合:イビスアジュール添加
一次発酵:60
冷凍期間:2週間


【テスト結果】

テスト結果

イビスアジュールを添加したパンは、イビスアジュール無しのものと比較してボリュームの確保ができています。

 

 

冷凍期間を延ばす場合の注意点


先ほどのテストでは、生地改良剤の添加を行うことで、焼成後に落ちたボリュームを補うことができました。
しかし、冷凍保管期間を更に延ばそうと考える場合、一次発酵の発酵時間の調整などが必要となります。
何故なら、一次発酵が長くなるとガス保持力の低下や、ガス発生力の低下によるボリュームダウンが起きてしまうからです。その状態がわかるテスト結果をご覧ください。

【テスト条件】
合:変更なし(イビスアジュール添加無し)
一次発酵:0/30/60
冷凍期間:2週間

【テスト結果】
テスト結果

テストでは、発酵時間を0分、30分、60分で比較しました。

発酵60分の冷凍は2週間経つと発酵0分、30分の冷凍よりもややボリュームが小さくなっています。30分、0分は、問題が無いように見えますが、これも本来求めているボリュームよりもやや小さくなっています。

次に、 実際に試食してみると、発酵30分と0分のパンは、発酵時間60分のパンと比較して風味が不足していると感じました(0分は特に)。

このテスト結果から、発酵時間を短くすることで、急激なボリュームダウンは起きにくいことが確認できました。しかし、発酵時間を短くした結果、パン自体の風味が落ちるという別の問題が生じました。

 

 

発酵時間を短縮したときに起きる「風味低下」


パンの風味

落ちた風味を補う方法として、発酵生地の添加やルヴァン(発酵種)などの添加が考えられます。
発酵生地を添加する場合、「どんなパンにしたいか」によって発酵生地の添加量を調整します。

しかし、この方法では発酵生地自体をしっかり管理しないと、生地の風味に影響が出る可能性もあり、ばらつきの原因となります。

この管理が難しく、困っているというご相談があった時、私たちが提案させていたくのが不活性のルヴァン粉末『リヴェンドF200アロムルヴァン』の使用です。

ルサッフル社の『リヴェンドF200アロムルヴァン』は、小麦粉で起こしたルヴァン(発酵種)を粉末にした不活性のルヴァンです。
『リヴェンドF200アロムルヴァン』は、単純に風味だけを補ってくれるので、ハード系からリッチなパンまで使用でき、生地の管理がとてもしやすくなります。

 

 

冷蔵生地から冷凍生地へ切り替える際のチェックポイント


今回は短期間でのテストでしたが、生地を冷凍保管する場合、【ボリュームの補完】【発酵時間短縮】【風味の補完】が調整のポイントとなることがわかりました。また、配合工程を調整すれば更に冷凍ストック期間を延ばすことは可能です。

今回の記事をご覧になって、少しでも「冷凍生地への切り替えを考えようかな…」と思い始めた方は、今がはじめるチャンスです!
どうかそのやる気を持続させるため、私たち研究開発課へご相談ください。お客様のご要望にお応えするため、私たちは日々テストを行っております。また、冷凍生地の講習会なども定期的に開催しておりますので、こちらも是非気軽にご参加ください。

今回の記事または記事以外の内容でもご質問がございましたら、私たち日仏商事研究開発課までお問い合わせください。

 

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視聴期間  :2021年8月2日(月)~9日(祝・月) ※終了いたしました
申し込み期間:2021年7月29日(木)迄
視聴時間目安:1時間
参加費用  :無料

講習会内容:
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