トップバーテンダー×レ ヴェルジェ ボワロン
冷凍フルーツピューレで広がる、カクテルの未来
【齋藤隆一氏×南木浩史氏 インタビュー 】
前回お届けしたレ ヴェルジェ ボワロン ドリンクイベント。
本イベントにご登壇いただいた、エースホテル京都の齋藤氏とパークホテル東京の南木氏にお話をお聞きしました。
エースホテル京都ビバレッジ
マネージャー
齋藤 隆一 氏
▼Profile
ホテル専門学校の研修先でバーテンダーの仕事にあこがれて、この世界に。外資系ホテルでキャリアを積み、2015年世界カクテルコンペティション『ザ・シーバス マスターズ』で世界第3位に輝く。
パークホテル東京「ザ ソサエティ」
バーマネージャー
南木 浩史 氏
▼Profile
ニューヨークバーテンディングスクール卒業後、ヨーロッパを回りながらミクソロジーを修得。各種コンペティションで受賞歴多数。企業とのカクテル創作、シェフとのペアリング、ゲストシフト、セミナー、ツール制作などを行うGastronomyAlgorithmを立ち上げ、世界で活躍。
カクテルは数学のようなものと提え、All For The Delicious(全ては美味しいのために)を信条としている。
理想を求めて出会ったボワロン
-ボワロンの冷凍フルーツピューレを使い始めたきっかけと、初めて使ったものを教えてください。
(南木氏)
初めて使ったのはパッションフルーツです。今でも一番気に入っていて、おすすめですね。
バーテンダーを始めた頃から、海外のバーテンダーのレシピでパッションフルーツがよく使われるようになってて。ただフレッシュのものは日本では手に入りにくい。リキュールやシロップもいろいろ使ったんですけどこれじゃない感がすごくて。何かいいものはないかと探していて出会いました。
(齋藤氏)
僕は以前働いていたホテルに製菓部門があったので、その関係で知りました。ボワロンさんの商品は製菓に使われることが多いので。それから10年ぐらいは使ってますね。年々使う種類が増えてます。
最初に使ったのは、たしかココナッツだったかな。やっぱり海外カクテルを作るときにココナッツミルクが必要で。冷凍フルーツピューレなら、(市販の)ココナッツミルクやクリームのように重たくならなくて良いんです。今使っているのは加糖タイプなんですけど、甘さが自然でちょうどよく、余計な糖分を加える必要がなくて使い勝手がいいです。
冷凍フルーツピューレで広がる可能性
-冷凍フルーツピューレをカクテルに使うメリットはなんでしょう?
(南木氏)
1年間味がブレないのも大きいですね。今日のこのイチゴはどうかな?みたいなことがないですし。僕以外のスタッフでも同じような味が作れるので、バーテンダー1年目でも10年目でも同じ味が再現できるようになるのは頼もしい。使いやすく仕込みの時間も減らせるので、勤務時間の削減にもつながりますしね。
(齋藤氏)
レモンやライムは絞り方によっても味が変わるので、ボワロンの冷凍フルーツピューレならそれを安定させられる。
それに、美味しさを追求していくと、自分の知識とか知見をアウトプットするためにいろいろ自分で作りたくなるんですよね。その時に、ボワロンの冷凍フルーツピューレは良きパートナーになってくれる。自分の知識欲を満たせるし、冷凍フルーツピューレはフレッシュに比べて気軽にトライできるので。
(南木氏)
たとえばバナナとか、食感がキーになっている食材の風味だけを冷凍フルーツピューレから取り出し、サラサラのバナナのカクテルにして、フレーバーと食感の誤差を大きく出すとか。記憶と味覚をバグらせる、想像を超えた世界が表現できると思います。
話が少し戻るんですけど、扱いやすい素材があることで若手の成長にもメリットがあると思うんです。僕らの知識を教えたり、こういった安定した材料を使うことで、たとえば気づくのに10年かかることが、極端な話1年で気づくかもしれない。そうしたらあとの9年でもっと違うことにチャレンジしたりできる。若手の成長が早まれば、業界全体も発展するんじゃないかと期待しています。
-冷凍のフルーツピューレの中でも、ボワロンを選ばれているのはなぜですか?
(齋藤氏)
合成着色料を使用していないことと、ほとんどが加糖されていないことですね。加糖されているものが悪いというわけではなくて、甘さを自分で調整できるところが僕には合ってるなと。
-あえてデメリットを挙げるとしたらなんでしょう?
(齋藤氏)
100%ピューレなんで解凍に時間がかかるんですよね。あと1パック1kgで、カクテルに使うにはかなり量がある。なので、使いやすい量に小分けしておいて、必要な分だけ解凍して使うようにしています。
でもそれぐらいかな、商品のクオリティは言うことなしなんで。
(南木氏)
小分けにするときは、お湯で温めた包丁を使うとだいぶやりやすくなります。
あと、白桃やスイカなどは海外の品種なので、日本人がイメージする味とは違うんですよね。白桃は日本のものより酸味があって、スイカは逆に甘くて凝縮された味。これは嬉しい誤算だったりすることもあるのですが、事前に確認が必要です。
知識とテクニックでフルーツのもつ粘度や繊維感も操る
(齋藤氏)
フルーツによっては粘度や繊維感が強いので、使いづらく感じる人もいるとは思うんですが、それはテクニックでいかようにもカバーできるので。逆にその食感を活かしても面白いかなと。
(南木氏)
確かにイチジクやさくらんぼなどは食感や繊維感がかなりしっかり残っているので、齋藤さんが言うように難易度は上がりますね。シェイクして茶漉しでこしたり、フローズンカクテルに合わせたりするのも手です。
シロップにしたり、リキュールに事前に風味を移したりして、食感や繊維を取り除いて使うこともあります。そもそも冷凍フルーツピューレのクオリティが高いので、二次加工しても本当にいいものができるんですよ。日持ちもするようになりますしね。
需要が伸び続けるモクテルにも
-モクテルの需要も高まっていると思いますが、モクテルにも冷凍フルーツピューレは応用できそうですか?
(齋藤氏)
応用できます。というか、むしろ共通点しかないと思います。
コロナ以降、モクテルの需要が増えて新しいフェーズに入ったなと感じてます。ただのミックスジュースにならないように創意工夫が必要なところが、作ってて面白いなって思いますね。
(南木氏)
冷凍フルーツピューレなら非日常的な素材を簡単に使うことができるので、アルコールを使わなくても複雑さや広がりを見せられますよね。飲む前と飲んだ後の印象をガラリと変える、化けさせることができる。
コロナの影響でお酒が出せなくなった時に、これってちょうど100年前、アメリカの禁酒法時代とリンクするなと思って。禁酒法がきっかけでカクテルが発展したように、お酒を出せないことで今回はモクテルの発展につながってるなと。100年前のバーテンダーがへこたれなかったように、今の僕らも立ち向かっているんだなって。
(齋藤氏)
モクテルがスタンダードになっていく、新時代の幕開けを感じたよね。いろいろな理由でお酒を飲まない人にも、モクテルをきっかけにカクテルの面白さを知ってほしいですし、それは僕らバーテンダーから発信していかないといけないと思います。
まとめ
イベントとインタビューから、レ ヴェルジェ ボワロンの冷凍フルーツピューレがカクテル、モクテルの進化を後押ししていると強く感じました。
参加されたバーテンダーのみなさんの反応を見ていると、冷凍フルーツピューレに大きな可能性を感じておられるようでした。またすでに使用されている方も、改めて種類の豊富さや初めて口にする商品の味に驚いておられました。ボワロンの冷凍フルーツピューレがさらに普及すれば、バーに行く楽しみがますます増えそうです。