2020/11/05

フランス在住パティシエのリアル1週間ルーティン【パティシエ通信Vol.16】

お気に入りの公園

Bonjour
約半年ぶりでございます。
パティシエ通信の岸です!!
ずいぶんとご無沙汰しておりました…
お察しの通りコロナの影響でフランスは派手に影響を受けております…
日本とは感染者数が三桁程レベルが違いますが日本国民のコロナにおける予防の徹底ぶりはフランスにも轟くほどのお手本でした。

この話題に関しましては次回の配信で「フランスのコロナ事情」ということで深堀りしたいと思っております。

さて、今回のパティシエ通信は恐縮ながら私「パティシエールのリアル1週間ルーティン」をお伝えしたいと思います!

私事ですが、田舎から大都会?パリに引っ越して来て早一年半程経とうとしております。
パリのパラスホテル「le Bristol」を退職し、ブティックスタイルに戻り、現在はBoulangerie Pâtisserie の2番手のポジションで働いております。
この職場がめちゃくちゃ楽しくて毎日張り切って働いております!!
パラスホテルの福利厚生は最強で色々な面で一流に触れる事ができ、貴重な経験をさせていただきました。

今の職場はスーシェフの紹介で入社させていただき、オーナーはとても優しくマダムがチャキチャキで (笑)。
何だか懐かしくて温かくて(←私の実家がケーキ屋だったもので…笑)リラックスした気持ちで伸び伸びやらせていただいてます。
新商品や今年のbûche の提案も採用して下さって今まで培って来た引き出しを思う存分使って充実した日々を送っております。

そんな中思ったのが、フランスで働くパティシエのリアルな生活って何となくしか知らんかったな(私が日本にいた頃…)。
しかもコロナで遠出できないし…じゃあ今回のテーマにしちゃおう!と言うワケです。

 

岸 綾子的リアル1週間ルーティンをご紹介します


今の私の生活が王道パターンではないかと思いますので、これから渡仏を考えていらっしゃる方はご参考程度にして下さいね。
このコロナ禍で渡仏を断念された方は気分だけでも感じてみていただけると幸いです。

ではでは始まり~。

始めに、
フランスの一般的なサラリーマンは週休2日制が当たり前です。
それはパティシエとて同じこと。
パティスリーフレッソン時代は、「1休・3休・1休・3休」と言うローテーションで仕事をしていました。要は週休2日です。
そして基本的に1日7.5時間労働が基本です。
しかし、パティシエの世界ではそれを実現するのがなかなか難しいのは、世界共通の悩みではないでしょうか。
ですので、実際は完全週休2日取得は難しいのですが、日本に比べると随分短い労働時間になります。
自己主張で成り立つのがフランス。
7.5時間の勤務を越えてくると労働者たちはブーブー言い出しますし、従業員が簡単に辞めてしまう引き金になるのでオーナーも機械導入や人材探しに力を入れ始めます。
私のお店は、9月から週7日間営業になったので残念ながらシフト制になり連休じゃない週もあります(贅沢な文句ですが)。

では実際に私のとある1週間(水曜日が週の仕事初め)を例にあげてご紹介していきます。

 

▼DAY1(水曜日)


●4:00『起床』
朝は出勤する1時間前に起きるようにしています。これも勤務時間が短いから出来ること(笑)
そして、朝食は毎日全く同じものを食べてます。しかもグラムまで計る徹底ぶり。
理由は、同じコンディションで働きたいのと、朝の時間は有効に使いたいからです。

BIOのグラノーラが私の定番の朝食

▲BIOのグラノーラが私の定番の朝食

食べる量もしっかり計量

▲食べる量もしっかり計量

●5:00『出勤』

5:00『出勤』
この時期の出勤は夜みたいに暗くて、ほぼ毎日小雨が降ってるんです。
そしてめっちゃ寒い。

仕事は日本と同じ様に朝出しから始まり仕込みに移ります。

仕込みの書かれたボード

▲ボードにそれぞれ今日何をつくるかを前日に書いてるので、それに添って仕込みを進めていきます。

●12:00『昼食』

12:00『昼食』

お店の屋根裏が倉庫になっていて、そこで従業員のみんなと昼食を摂ります。
アジア人の女の子が数人いるので持ち寄ったオカズをシェアしたり母国の料理自慢をしながらワイワイ20~30分ほど休憩です。

●15:00『終業』
はっ早!!
時期にもよりますが、大体このくらいの時間には終わるようにしています。
その後シェフと明日の仕事の打ち合わせや発注の相談や試作があれば残って仕事をします。

15:00『終業』
が、17:00には仕事は終わるようにして、帰ります。

●18:00『夕食』
休みの日以外はほぼ自炊しています。
日本にいる時は料理をする機会がほとんど無かったので、自炊生活はフランスに来てから始めました。
なので久々に日本に帰ると日本の食材で自炊したいと思うのですが、たまに帰ると外食祭りになってしまい、結局何も出来ないまま、またフランスに戻って来てしまいます(汗)
粕汁とかゴボウの入った豚汁とか作りたいなぁ~って冬になると思います。
いや、ただ食べたいだけか…?
お昼がお弁当持参なだけに相当疲れてない限り夜はちゃんと作ります(次の日のお弁当も兼ねて…)
今の職場で有難いのが、1日1本バゲットを持って帰っていいんです。
なのでオカズがあれば晩ごはんはOK!と言うワケです。
まぁでもやっぱりお米が食べたくなるんですけどね(笑)
この日はこの間の休みにスーパーで買ったcitrouille(カボチャ)をポタージュにしました。

休みの日に訪れたスーパー。旬のスーパーの野菜が並んでいます

▲休みの日に訪れたスーパー。旬のスーパーの野菜が並んでいます

ポタージュ用にカボチャを購入

▲ポタージュ用にカボチャを購入。日本では見ない形ですよね。

この日の晩御飯

▲この日の晩御飯

これも時間に余裕があるから出来ること。
実は、私はポタージュシリーズが好きでニンジンやじゃがいも、玉ねぎなどを使ってポタージュを作るんですが、中でも一番好きで作るのがベトラーブ(赤カブ)のポタージュです。
日本ではあまり見かけないと思いますが、フランスではベトラーブの水煮が真空パックで売られいて、サラダによく使われます。
人によっては土臭いと言いますが、美容にもいいし、飲む血液とも言うスーパーフードです!
美容食品好きの私にはぴったりの食材です。

夜は7時間は寝るように努めています。
フランスに来たばかりの頃は7時間寝てる友達を見て、そんなに寝られへんわ~
と思ってましたが、フランス人って本当によく寝るんですよぉ~(汗)
私もいつの間にやら、すっかり7時間しっかり爆睡してます(笑)
なので、平日はこんな感じです。
●4:00 起床
●5:00 出勤
●15:00~17:00 帰宅
●18:00ごはん、入浴、勉強、ボ~
●21:00 就寝
う~ん、かなり規則正しい!!

 

DAY2(木曜日)


DAY1と同じ流れで1日を終える

 

DAY3(金曜日)


DAY1、2と同じ流れで1日を終える

 

DAY4(土曜日)


ほぼ同じルーティンが続く3日間を終え、DAY4の土曜日を迎えます。
しかし!!土曜日は少し違う。
大抵のフランスにあるパティスリーは、土曜日の出勤時間がめちゃんこ早いっ。
フレッソン時代もそうでしたが、朝3時出勤っ…
ひぇ~(泣)
って思ったのは1日目だけでした。
なぜなら、朝出し終わったらソッコー帰りまーーす(笑)
仕込みナッシングなんです。
朝出し終わったら帰れると思ったら「っしゃー!全力出しきるでぇー」って、なりますでしょ?(笑)
まぁ、この土曜日の仕上げの量が中々なものなのです。
しかも、土曜日はスペシャル(パーティや特注案件)な予約も多く大抵は私が手掛けるのでテンションも上がってます。

クロカンブッシュ

▲クロカンブッシュを手掛ける事も多々あり

特注のアントルメも製造したり。

特注のアントルメ
特注のアントルメ

DAY5(日曜日)


賑やかな総出の3時出勤とはうって変わって、二人ぽっちの出勤です。
実は週7日間営業になってから現場での人数が足りておらず、でも週休2日は守らなアカンと言うことで今まで定休日だった日曜日、月曜日が手薄になっているというのが現状です。
この日曜日がクセモノで、人数2人にも関わらず土曜日の次に仕上げの量が多い「どないなっとんねん(怒)」な日なんですよ。
さすがにオーナーが見かねてバイトを1人入れて下さったので、今は何とか改善されました。

 

DAY6(月曜日)


月曜日、火曜日は私の休日なのですがーーー。。。
月曜日は自主的に店に来てちょこっとお手伝いしております。
でもパティスリーのラボじゃないですよ、惣菜のポジションです。
先程の自炊の時にも書きましたが、フランスに来てから料理をするようになった私はまだまだ料理が得意ではありません。
なので興味もあるし、学びたいのもあって手伝っていたところ、今では重宝して下さって月曜日はお店でパスタを作る日になっております!

でも作り始めるのは8:00からなので全く早くないですし、いつもと違うことが出来るし、今では色んなソースやパスタも作れるようになりました。

次の写真は、私が製造した惣菜達。

私が製造した惣菜
私が製造した惣菜
私が製造した惣菜
私が製造した惣菜

ゆっくり出来る休みは火曜日だけなので、月曜日の夜はの~んびり過ごします。
お風呂に浸かったり、わざわざ系の料理を作ったり、ワイン飲んだり。
最近はコロナのせいで友達と晩ごはんも行かなくなりましたし…

少し話がそれますが。
フランスは日本と違って水は有限の国なので、浴槽に浸かるのは特別なイベントにしています。
私が勝手にそう思ってるだけですけど…
フランスでは、各家庭にタンクが設置されており、水を使い過ぎると、まずお湯が出なくなり最悪お水が出なくなる悲劇が起こります(笑)

こいつが手ごわいタンク

▲こいつが手ごわいタンク

たまに入るお風呂は楽しみの一つ

▲たまに入るお風呂は楽しみの一つ

冬にシャワー出したまま温まっていると最後のトリートメント流す時、冷水…(´Д`)と言う事件には何度か遭って
るので目に見えて大量の水を消費する行為には抵抗を感じるようになってしまいました。。。
ゆえに入浴は特別なイベントと言うワケです。

 

DAY7(火曜日)


そして、休みの日。
私は、休みの日に予定があってもなくても朝出かける場所があります。
そこは、お気に入りの公園です。

朝日のミネラルと、自然のエネルギーを1週間分充電するイメージでボ~っと過ごしてます。

お気に入りの公園
お気に入りの公園

この日は午後から友達とランチをして、楽しく過ごしました。

友達とランチ
楽しいランチを終え、帰りにスーパーで1週間分の買い物をして帰宅。

 

まとめ


というのが、私のリアル1週間ルーティンでございました。
フレッソン時代、ホテル時代、それぞれ生活のリズムは違いましたが、共通していることは、
・休みの日でも起床時刻は同じ
・週一で自然の中に身を置く
・基本自分の作ったものを食べる(自炊)
この三つは張り切ってやっているのではなく、自分がそれを求めて自然とやってる感じです。

日本のパティシエに比べるとフランスのパティシエには膨大な時間の余裕があります。
これはパティシエの歴史も関係ありますし、食文化や国民性といった沢山の要素の違いで実現出来ているので、日本で同じようにするのは難しいと思います…

でも日本人はその分仕事に対してとてもタフですね。
勤務時間が7.5時間以上過ぎても心が折れたりしませんし。
単調な仕事をモクモクしていると思ったら、突然集中力が切れてお喋り大会になったりしませんし(笑)
これは海外で働く日本人パティシエの強みであり、重宝されるところなのです。

日本での経験があるから今を充実して過ごすことが出来ていますし、感謝も出来るんですね。

えのきをポン酢で食べることも(何のはなしやねん!)。

ポン酢えのき

▲フランスでいただくポン酢えのきに感謝!!

お風呂に浸かることも、日本にいたら感謝するポイントになっていなかったと思います…

大切なのは気付くこと。
仕事も生活も気付かないと感謝も成長も出来ませんよね。

皆さんも毎日を大切に過ごしていきましょう!

岸 綾子的リアル1週間ルーティンでした。

ではではまた次回の配信でお会いいたしましょ~。

 

 

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